アルジェリアでの経験
水というのは無尽蔵に見えますが、実は有限です。
若い頃、アフリカのアルジェリアという国に住んだ事があって、1日の内半分断水するという生活を経験しました。
この時水がないというのは本当に大変であることを痛感しました。
日本の様に水が空気の様に当たり前の国では感じられませんが、水はとにかく重いのです。
運ぶのが大変で、我が家の場合水タンクや浴槽に水を貯めて使っていましたが、台所やトイレに水を運ぶのが一仕事です。
その上、水質の問題があります。
日本の様に水道の水をそのまま飲める国はまれで、アルジェリアでは水道の水を煮沸してコーヒーフィルターで濾して使っていました。
アルジェリアはそれでも水道があるからまだましです。
世界の多くの国で、水道がない生活を送っている人が無数に存在します。
そんな水不足問題への新しい解決法に関して、英BBCが「Finding answers to the world's drinking water crisis」(世界の飲料水危機に対する新しい解決法)と題して記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
BBC記事要約
間違いなく、水は地球上で最も豊富な資源です。
それは地球の70%以上をカバーしていますが、私たちは迫り来る危機に直面しています。
気候変動、世界的な紛争、人口過多は、世界中で水供給を破壊している要因のほんの一部です。
これは、20億人(人口の4分の1)が安全な飲料水を利用できないことを意味します。
潜在的な解決策を提供しているのは、紛争や気候変動に見舞われた世界の遠隔地に飲料水を届けるために大気から水を取り出す技術を使用しているイスラエルを拠点とする企業、Watergenです。
薄い空気から水を引き出すことは空想科学小説のように聞こえるかもしれませんが、技術は実際には見た目よりも単純です。
大気には130億トンの淡水が含まれています。
Watergenの機械は、この水蒸気を空気からろ過することによって機能します。
「大気中の水を使用することの大きな利点は、水を運ぶ必要がないことです。たとえば、パイプ内の重金属やペットボトルで地球を汚染したりする心配がありません。」
この技術に関する障害の1つは大気汚染であるように思われます。
たとえば英国では、インペリアルカレッジロンドンの調査により、人体に有毒な鉛が、1999年に禁止されたにもかかわらず、2021年にはまだ都市の空気中に存在していることがわかりました。
しかし、これは問題ではないかも知れません。
テルアビブ大学の研究によると、テルアビブのような都市部でも、世界保健機関が設定した基準まで飲料水を抽出することが可能であることがわかりました。
言い換えれば、きれいな水は、汚れた空気や汚染された空気からも変換することができます。
Watergenの最大の機械は、1日に6,000リットルの水を供給することができます。
ガザ地区の病院全体や中央アフリカの農村を支援するためにすでに使用されており、これがなければ人々は水を見つけるために何時間も歩く必要があります。
世界保健機関(WHO)によると、20億人以上が、糞便で汚染された水にしかアクセスできません。
一口飲むだけでコレラや腸チフスなどの病気にかかる危険性があり、その結果、年間約50万人が亡くなっていると推定されています。
きれいな水を見つける上で、私たちの海には資源があります。
氷山には、数千年前に形成された氷河として、世界で最も純粋な水が含まれています。
しかし、巨大な氷の塊は輸送の際、危険を及ぼす可能性があり、それらが溶けると大量の淡水で海洋生態系に損害を与える可能性があります。
それを商業的に利用する事は最初にカナダで始まりました、
しかし、その慣行は今や世界の他の地域にも及んでいます。
起業家で環境保護主義者のアブドゥラ・アル・シェヒは、アラブ首長国連邦の氷山プロジェクトに取り組んでいます。
気候変動により、すでに地球上で最も暑い場所の1つは気温が上昇しているため、水不足は大きなリスクをもたらします。
「平均して、巨大な氷山は3〜5年の間、100万人に水を供給することができます」と彼は主張します。
しかし、その輸送にはリスクが伴います。
氷山は輸送中にひっくり返り、致命的な事故を引き起こす可能性があります。
また、輸送中の融解速度を下げるために、特別に設計された断熱材で包む必要があります。
したがって、このプロジェクトに費用がかかるのは当然のことです。
アラブ首長国連邦の氷山プロジェクトは、小さな氷山を西オーストラリアのパースまたは南アフリカのケープタウンに運ぶことから始まります。
「推定コストは6000万ドルから8000万ドルの範囲であり、プロジェクト全体のコストはおそらく1億5000万ドルから2億ドル(165億円から220億円)になるでしょう」とアル シェヒ氏は言います。
氷山の有効利用
随分前に、フランスのエンジニアリング会社が氷山を中東に曳航し、地域冷房に使おうというプロジェクトを検討したと聞いた事がありました。
南極から中東まで長距離移動させれば、その間に熱で溶けるのではと私は思ったのですが、彼らの計算ではそれほど溶けないとの事でした。
地球上にある氷塊として最大の体積を誇るのが、南極氷床で、その表面積は地球全体の約10%を占めると言われており、その氷床には地球上の淡水の約90%が含まれていると言われています。
フランスのプロジェクトが実現しなかったのは、環境に与える影響が危惧されたものと思います。
氷山の近くの大気は一気に冷え込むと思われますので、生態系への影響は大きいでしょう。
しかし、この氷山を熱伝導率の低いカバーで覆い、目的を地域冷房でなく、飲料水の供給とした場合、このプロジェクトは生き返る可能性があります。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。