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東京オリンピックの光と影

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オリンピックは同じ場所で行うべきか

オリンピックが終わりました。

始まる前は日本のメディアの反応もネガテイブなものが多かったのですが、競技が開始され、日本選手のメダルラッシュが始まるや否や、一気にお祭りムードに変わりました。

何時もの事ですが、日本のマスコミの豹変ぶりには驚かされます。

最終的に27個もの金メダルを日本は獲得し、大会は無事終了しました。

この時期のオリンピック開催に関して賛否両論があるのは理解していますが、私はやって良かったと思っています。

オリンピックが始まってから痛感したのはその競技数の多さです。

その殆どがオリンピックでしかお目にかかれないものでした。

裏を返せばその様な火の当たらないスポーツの選手は4年に一回の夢の舞台を目指して練習してきている訳です。

そんな彼らから夢の舞台を奪い取らずにすんだ事は本当に良かったと思います。

しかし、今回の五輪は一年遅れた上に、コロナで無観客となりました。

経済的損失は甚大です。

このつけはいずれ日本国民が支払う事になります。

今回の大会の経済的損失の大きさを見た他国は今後オリンピック誘致に二の足を踏むところも多いのではないでしょうか。

オリンピックは今後同じ場所で固定すべきだとの議論が出てきている様です。

米紙ウォールストリートジャーナルが「Move the Olympics to Athens—Forever - Why not eliminate the selection process that feeds nationalism?」(​​オリンピックを永遠にアテネに移す- ナショナリズムを煽る選択プロセスをやめましょう)と題した記事を掲載しました。

ウォールストリートジャーナル記事要約

私はギリシャ系アメリカ人である事に誇りを持っており、オリンピックは私の心の中で特別な場所を占めています。

数年ごとに、世界の厳選された会場で、見事な運動能力を楽しむことができます。

アスリートは、卓越性、友情、尊敬というオリンピックの価値観に応えようと努力することで、優れた品質の「オリンピズム」を体現しています。

オリンピックのウェブサイトには、大会が公正でオープンな運動競技が如何に国々を結び付けるかについてのメッセージが満載されています。

 

しかし、ゲームは、忌まわしいプロバガンダの発露の場(1936年のゲームはベルリンのナチス政権によって行われた)になったり、激しい地政学的議論の舞台となることがよくあります。

ソビエト連邦がアフガニスタンに侵攻した際、欧米諸国はモスクワ五輪をボイコットしました。

 

中国、ロシア、米国など大会を支える財政的能力を持つ大国は、大会を誘致すべく懸命に競っています。

当初期待されている経済的利益はめったに実現しないようです。

しかし、それはまた、味方、同盟国にソフトパワーを示し、敵にメッセージを送る機会でもあります。

会場を勝ち取ると、オリンピックの理想に反する強烈なナショナリズムが生まれることがよくあります。

 

解決策は、恒久的に使用できる、夏用と冬用の2つのオリンピック施設を建設することです。

それら施設の建設とその維持にかかる費用は、参加国間で、経済規模に応じて分担する事が可能です。

米国は15%、ヨーロッパは15%、中国は15%、インドは7%、日本は4%、小国の負担は非常に小さくなります。

 

そのような世界的なオリンピックのをどこに置くべきでしょうか?

季には、1928年と1948年に2回オリンピックを開催し、国際スキーの中心地として認められているスイスのサンモリッツが考えられるでしょう。

スイス人は組織的で効率的です。

スイスはその政治的中立性で知られており、信頼できる賢明な国際的プレイヤーしての評判を有しています。

 

夏季オリンピックはやはりギリシャでしょう。

何と言っても、ギリシャは大会の発祥の地です。

スイスと同様に、ギリシャは1896年と2004年の夏に、2回ゲームを主催しました。

ギリシャは北大西洋条約機構のメンバーであり、米国の親密な友好国ですが、ロシアや中国と比較的良好な関係を持っています。

トルコは異議を唱えるかもしれませんが、2004年のアテネを含め、両国は一緒にゲームに参加しました。

 

他にも多くの潜在的な候補地があり、すべては重要な交渉を必要とします。

しかし、高価で物議を醸す選択プロセスを終了することは価値があります。

とりわけ、固定された場所は、ゲームの真の目的を損なうナショナリズムとプロパガンダの一部を排除します。

ギリシャは適当な開催地か

この記事の著者スタブリディス氏は引退した米海軍大将であり、NATOの元最高連合国遠征軍司令官です。

私も彼の意見に基本的に賛成で、もはや膨大なインフラ投資を必要とする巨大な大会を4年ごとに異なる都市で開催する意味はないと思います。

オリンピックが経済的に採算が取れないだけではありません。

今後新型コロナの様な感染症が再び起きないとも限らないのです。

開催地には一方的に大会をキャンセルする権利は与えられていませんので、日本のケースの様に無観客でも大会を開催せざるを得なくなります。

 

しかし、ギリシャを永久の開催地にするのはちょっと問題がある様な気がします。

確かにギリシャは古代オリンピック発祥の地です。

しかし、前回のアテネオリンピックの赤字が最終的にユーロ危機を招いた事からもわかる通り、国の財政基盤は脆弱で、オリンピックを単独で行えるだけの財政的余裕はありません。

彼らの赤字は他国からの支援で賄うのでしょうが、経済力がないのに交渉だけは上手なこの国の赤字補填は物議を醸す事間違いありません。

近代オリンピックを始めたクーベルタン男爵の母国フランス辺りで行うのが無難かと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。