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カブールの陥落は台北でも起こりうるか

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バイデン 大統領の発言

バイデン 大統領が「台湾を守る」と発言した様です。

公式には中国は一つであると認めている米国の大統領が台湾を守ると発言するのは異例の事で、これは失言であると見る向きもあります。

しかしカブールのあっという間の陥落によって米国の威信が大きく傷づいた後だけに、バイデン 大統領もつい強い言葉を発してしまったのではないでしょうか。

仏紙Les Echosが「Pékin invoque la chute de Kaboul pour intimider Taïwan」(中国政府は台湾を威嚇するためにカブールを引き合いに出す)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約

「カブールと台北は同じだ。」

中国政府は、タリバンが政権を奪取した直後に「反政府勢力の島」と呼ばれる台湾に、戦争の際に米軍の支援を期待すべきではないと躊躇なく警告しました。

中国政府の立場を反映する「環球時報」新聞は、米国が「自分の利益を追求するために常にパートナーや同盟国を放棄する信頼できない国」であると断定しました。

1975年のサイゴンと今回のカブールの類似点を描き、同新聞はは次のように付け加えています。

「台湾の当局は、中国の侵略が発生した場合、その防衛は数時間で崩壊し、アメリカ軍は助けに来ない事を理解する必要があります。」

「環球時報」は、アフガニスタンのガニー大統領のように、台湾の指導者たちが飛行機で逃げると予想しています。

台湾の蔡英文大統領はすぐに北京のプロパガンダの危険性に気づきました。

彼女は「アフガニスタンの最近の進展が台湾に十分な警告を与えた」ことを認めながら、彼女の国の唯一の選択肢は「自分たちを守るという私たちの決意においてより強く、より団結する」ことであると主張しました。

 

米国共和党のリズ・チェイニーは水曜日に、「カブールの大失敗は米国の評判を損なうだろう。それはアメリカのライバルが私たちを脅かすことができることを意味し、私たちの同盟国は私たちをあてにできるか疑問に思っている」と語りました。

バイデン政権は、ブリンケン国務長官の言葉を借りれば、もはや「アフガニスタンで行き詰まる」ことはなく、太平洋における中国の積極的な政策に対抗する手段を提供できると主張しています。

バイデン大統領の安全保障担当補佐官であるサリバン氏は、「同盟国とパートナーへのコミットメントは神聖なものであると信じている。台湾とイスラエルへのコミットメントはこれまでになく強い」と付け加えました。

 

新アメリカ安全保障センターのアナリスト、リチャード・フォンテーヌ氏も、アフガニスタンの敗走が北京に台湾への介入を促す可能性があると推測するのは安易に過ぎると論じています。

彼によると、カブールからの撤退は、米国が現在太平洋に再び焦点を合わせようとする強い意思の発露として中国に理解される様です。

アフガニスタンとの違いは、台湾は30年間民主主義と法の支配が機能しており、民族的な混乱を知らず、40年も前にアメリカ兵が撤退してからというもの、自国を守り抜いている点です。

 

しかし、地政学の専門家は、北京がいつか台湾を侵略する可能性が高いと考えており、このシナリオは5年から10年の間で起こりうると考える人さえいます。

中国の権力は、「反政府勢力の島」を自発的または強制的に吸収することが歴史的な使命の1つであるという事実を公言しています。

習近平主席は、台湾の再統合は「中国の夢」の重要な部分であると述べています。

政権は、勢力均衡が経済的、政治的、軍事的に十分に有利であると感じたときに行動するでしょう。

中国は台湾の50倍の人口を抱えていますが、現在、特に強襲揚陸艦の数が不足しているため、島への上陸を現実的に検討できる軍事的優位性を持っていません

しかし、中国軍は急速に近代化を進めており、特に「キャリアキラー」として知られるDF21およびDF26ミサイルを装備しており、アメリカ海軍の12隻の空母の一部をこの地域に配備することを思いとどまらせることができます。

中国の艦隊は、総排水量の点では世界で2番目です。

しかし、1979年にベトナム戦争に参加した最後の戦闘以来、中国軍の戦闘能力を誰も知りません。

アフガニスタンと台湾の違い

カブールの陥落そして国外へ脱出しようと飛行機に殺到する人々の映像は、世界中に配信され、アメリカの威信を大きく傷づけました。

しかし、バイデン政権もある程度腹を括っていたものと推測します。

タリバンと闘わない国軍、国を捨てて脱走する指導者などを見ていると、この様な国を米国兵士の命をかけて守るわけにはいかないと思うのは無理もありません。

台湾はアフガニスタンとは違います。

韓国やイスラエルや台湾は自らの国は自分で守るとの強い意思があります。

米国は相手を良く選ぶ必要があります。

選択の判断基準は自分の国を守る強い意思があるか、政権が腐敗していないかです。

今後中東やアフリカの親米のいくつかの国では、政権がタリバンの様な反政府組織の挑戦を受けるかも知れませんが、米国はそう簡単に軍隊を派遣しないでしょう。

それは賢明な判断です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。