難民の受け入れ先
アフガニスタンからの難民はカブール空港からだけではありません。
その多くはパキスタンやイランそして更にはトルコ迄押し寄せてきています。
難民は隣国にも大きな負担を強いていますが、英誌Economistが「Neighbours fear that Afghan refugees could spark civil conflict - New research shows those fears are misplaced」(隣人はアフガニスタン難民が紛争を引き起こす事を懸念している - 新しい研究は、彼らの懸念が見当違いであることを示している)と題した記事を掲載しました。
この記事を読んで「この記事こそが見当違いである」と私は感じたのですが、英米のメディアが常に事実を正しく伝えているわけではない例としてご紹介したいと思います。
Economist記事要約
数千人の市民がタリバンから逃れるためにアフガニスタンから逃亡しました。
年末までに、国連は、この地域の難民の流出は50万人に達する可能性があると考えています。
多くの人が、推定140万人のアフガニスタン難民がすでに住んでいる隣国のパキスタンに避難場所を求めます。
しかし、パキスタンの政府は、これ以上迎え入れることはできないと主張し、新しい移民の洪水が不安定さの一因となるだろうと警告しました。
9/11のテロ攻撃以来、彼らはアフガニスタンからの亡命者を紛争の扇動者として、難民キャンプをテロリストの巣としてレッテルを貼ろうとしてきました。
しかし、難民と紛争との関連についての研究は、そのような懸念が誇張されていることを示唆しています。
ブリティッシュコロンビア大学のYang-YangZhouとカリフォルニア大学のAndrew Shaverは、1990年から2018年までの70か国の2,511の難民サイトの場所を分析し、難民コミュニティがある地域がそれ以外の地域と比べて紛争が多いか少ないか調査しあました。
彼らは難民の居住地の存在が紛争の可能性を増加させなかったことを発見しました。
著者らは、難民コミュニティが広大ではなく地理的に集中している場合、紛争が発生する可能性が低いことを発見しました。
著者らは、経済活動の証である夜間照明の衛星データを分析したところ、難民が集中している場所がより活発な経済活動を行っているという証拠を発見しました。
そのような証拠は、犯罪の増加から失業率まで、多くの問題で難民を非難している地域の指導者に対して客観的な反論となるでしょう。
世界最大の難民人口を抱えるトルコでは、野党党首のケマル・クルチダルオール氏が最近、「我が国の真の生存問題は難民の洪水である」と主張しました。
欧米メディアにのみ依存する危険性
この記事を読んだ読者の皆さんは「難民は犯罪の増加や失業率に悪影響を及ばさないどころか、経済面でもプラスの効果をもたらす存在なんだ。そんな難民を受け入れようとしないパキスタンやトルコはけしからん。」と思われるかも知れませんが、この記事は事実を公平につたえていませんので、注意する必要があります。
難民が隣国に押し寄せた場合、ホスト国は彼らの受け入れのために大きな犠牲を払います。
トルコの場合、8千万人の人口に対し、500万人もの難民を受け入れていますが、難民のために住居を提供し、医療、教育、食糧等生きていくため必要なものは全て無償で提供されています。
これはトルコ国民の負担、即ち税金によって賄われています。
トルコは欧米に比べて裕福でないにもかかわらず、よくあれだけの難民を受けいれているなと思います。
トルコ人に言わせれば、「我々の生活も厳しいが困った人に手を差し伸べるのは当然だ。」となるのですが、欧米の人たちはこれだけの寛容さを難民に示しているでしょうか。
殆ど難民を受け入れていない英国にパキスタンやトルコを非難する権利はないと思います。
客観的に見れば、欧米は中東をかき回すだけかき回して、後の難民は知らんぷりというのが現状と思います。
この様な一方的な記事が堂々と掲載されるとなると、英米のメディアが事実を客観的に伝えていないのではと疑いたくなります。
情けないことに、日本の報道機関は欧米のメディアに弱く、先日もトルコが更なる難民の流入を防ぐために、イランとの国境に壁を建設中という欧米メディアの記事をそのまま流していました。
トルコは5百万人も既に受け入れている事を合わせて説明することが最低限必要と思います。(因みに日本の難民受け入れは殆どゼロです。)
中国に関する欧米の最近の報道にもプロパガンダ性が感じられますので、今後、中国側の言い分(これも注意深い分析が必要ですが)にも聞く耳を持つ必要を感じています。
中国はそれでも自前の国際的報道手段を持っていますが、中東アフリカの国々は欧米メディアに言われっぱなしです。
この情報発信力の非対称性について認識し、できるだけ複数の異なった情報ソースを持つことが必要と思います。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。