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ライス元国務長官が振り返る9.11

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ライス元国務長官の寄稿

9.11が20周年を迎え、ニューヨークでは大規模な式典が行われた様です。

その後二十年続いた「終わりなき戦争」のきっかけとなったこのテロ事件に関して、事故当時に国家安全保障顧問であったコンドリーザ ライスさんが米紙ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)に寄稿しました。

彼女は2001年から2005年までジョージWブッシュ大統領の国家安全保障顧問であり、2005年から2009年まで米国国務長官でした。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJの記事要約

「飛行機が世界貿易センターに突っ込みました。」と私のアシスタントが叫びました。

私は尋ねました。 「何ですって。小さな飛行機なの?」

「いいえ」と彼は答えました。 「民間旅客機です。」

数分以内に2番目の飛行機が突っ込み、更に3機めが。アメリカは永遠に変わりました。

 

その恐ろしい日から20年が経過し、同じものは何もありません。

翌日、ブッシュ大統領がアメリカ人に安心して普通の生活に戻ってほしいと言ったのを覚えています。

私たちはそうしましたが、普通の生活は以前と異なりました。

私たちが空港を通過する方法から、現在私たちが当たり前と思っている機関(国土安全保障省)の名前までです。

 

今も、私は何故この様な事が起こったのだろうかと考えています。

それが起きてしまったことは今も痛恨の極みです。

この種の攻撃に遭遇したことは一度もないため、従うべき手引きはありませんでした。

しかし、後続の攻撃を恐れて、1つのことが要求されました。

嵐が静まるのを待つことができませんでした。

その土曜日の朝、キャンプデービッドのテーブルにある大きな地図を見て、「アフガニスタンは大国が死ぬ場所だ」と思ったのを覚えています。

私たちが行くのは傲慢からではありませんでした。

アフガニスタンは大きな国益を賭けた戦争でした。

それは難しい戦いでした—しかし私たちには他の選択肢はありませんでした。

彼らに私たちの近くで二度とテロを起こさせないために、私たちはテロリストと戦いました。

 

以前は、他国を守るために、ドイツ、日本、韓国に前方展開を行いました。

今度は、私たちはNATOの同盟国と一緒に、自分たちを守るためにそれを行わなければなりませんでした。

私たちは、1993年の世界貿易センターから、ケニアとタンザニアの大使館、米駆逐艦コールへの爆撃まで、アルカイダがより大胆になるのを見てきました。

遠距離ミサイルはアルカイダを駆逐する事も、タリバンとの絆を断ち切ることもできませんでした。

私たちの地上部隊とアフガニスタンの同盟国の近接航空支援任務を飛行できる飛行場が必要でした。

私たちは、ウズベキスタンの独裁者であるカリモフ大統領(当時)に多額の金を支払って飛行場を借りました。

パキスタンは依然として問題でした。

時には私たちの目標を支持することもありましたが、しばしば治安部隊と諜報部隊は敵側を助けました。

 

国造りに関しては、私たちはアフガニスタンを、より民主的でより安定した場所にすることを望んでいました。

しかし、それは自分たちの利益のためでもありました。

破綻国家は、テロリストの巣窟になるからです。

 

今、米国のプレゼンスは終了しましたが、戦争は終わっていません。

私たちは、戦いで私たちの側に立っていたアフガニスタン人が危険にさらされないようにする必要があります。

 

それでも、その運命的な朝よりも米国は安全です。

難攻不落であったと無邪気に信じ込んでいた米国とは違います。

アフガンを失ったにもかかわらず、私たちは遠く離れた東アフリカの様な場所でもテロ対策を維持しています。

連邦捜査局(FBI)と中央情報局(CIA)は、9/11以前にはなかった方法で、情報を共有して、アメリカ国内と外界との間の情報ギャップを埋めています。

国際社会のメンバーは、テロが引き起こす被害を知っており、それは中国やロシアなどライバルも含めた共通目的の基盤となっています。

国境を越えたテロリストの資金源を追跡し、不審な貨物を阻止することもできます。

私たちはより安全になりましたが、完全ではありません。

 

今日、9.11の20周年にあたり、我々は反省と感謝を行う必要があります。

崩壊するビルに最初に駆けつけた消防士等の勇気を覚えておいてください。

自由の最前線で私たちを守るために志願し、二度と戻ってこなかったり、人生を変えるような怪我を負ったりした男性と女性を思い出してください。

飛行機が国会議事堂に衝突するのを防ぐために機体を墜落させたユナイテッド航空93便の乗客を含め、その日に亡くなった2,977人の魂を思い出してください。

 

何よりも、私たちがアメリカ人として共有した団結、回復力、共通の目的の感覚を覚えておいてください。

9月14日金曜日の朝、追悼礼拝に向かう途中の男性の姿を心に留めています。

彼は「米国に神の御加護を。私たちは決してテロに屈しない。」

9/11を生きた私たちは、それを決して忘れません。

そして、その日の恐怖と悲しみを経験していない若い人々に話さなければなりません。

どうして?それは常に私たちの一部であり、忘れた人々は将来いつか別の悲劇によって思い知らされる運命にあるからです。

米国が反省すべき点

9.11は本当に衝撃的な事件でした。

ボーイング機が世界貿易センタービルに突っ込む映像を見た瞬間、これは映画だと思いました。しかしそれは現実だったのです。

この事故の黒幕であるビンラーディンとその一味に対して、米国政府が報復を行う事は致し方ありません。

これは米国の威信がかかっていますので、ライスさんが述べている様に、他に選択肢はなかったと思います。

しかし、ビン ラーディンはかれこれ十年も前にパキスタンに隠れているところを米国特殊部隊に急襲され、命を落としました。

これで米国の報復は終わった筈ですが、その後更に十年も戦争を継続したのは何故だったのでしょうか。

ライスさんが今反省しないといけないと言っている対象が何か、今一つ明確ではありませんが、米国が本当に反省しないといけないのは、アフガニスタンに自分の言う事を聞く政権を作ろうとして、二十年も居座り、結局民主的とは名ばかりの腐敗した政権を作ってしまった事ではないでしょうか。

9.11の際の米国民の勇気ある行為は後世に語り継がれるべきと思いますが、一方で、アフガンで米国が無駄な戦争をどれだけ長期間戦ったかも同時に語り継がれるべきと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。