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ウォールストリートジャーナルが社説で唱えるTPP復帰

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中国、台湾の加盟申請

環太平洋パートナーシップ貿易協定(TPP)を巡って、慌ただしい動きが見られました。

中国が正式に加盟申請を行った直後に台湾も同様の申請を行いました。

中国の申請は先日の米英豪三国による新しい軍事協定(AUKUS)の発表が影響したとも言われていますが、インド太平洋地域を巡る覇権争いは激しさを増しています。

そもそもTPPはオバマ政権時代に米国のイニシアチブで始まったものです。

しかし、その後トランプ大統領が離脱を決め、バイデン大統領も民主党の票田である労組が反対していることから復帰に及び腰だと言われています。

しかし、米国では新たな動きが見られている様です。

米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が社説でこの問題を取り上げました。

China’s Answer to Aukus - Where is the Biden Administration on the Pacific trade deal?」(AUKUSに対する中国の反応 - 環太平洋貿易協定に関するバイデン政権のスタンスは)と題した記事をご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

環太平洋パートナーシップ(TPP)貿易協定からトランプ大統領が2017年に離脱した事は、今振り返ってみると、彼の外交政策の最悪の一手の様に見えます。

他の11か国は最終的に環太平洋地域での貿易を自由化する協定を締結しましたが、米国の離脱は、アジアで中国が覇権を握ることに対抗したトランプ氏の真剣な試みに水をさしました。

このミスは重大です。

中国は現在11カ国の貿易パートナーシップに参加し、太平洋で米国を出し抜こうとしているのです。

先週米国が英国、オーストラリアとの戦略的防衛協定であるAUKUSへの参画を表明した後、習近平主席はTPPの後継協定への参加申請を発表しました。

この申請のタイミングは、太平洋地域の貿易協定が単なる経済協定以上のものであることを喚起させるものです。

また、それは世界で最も重要な経済地域における戦略的パワーバランスにおいても重要です。

バイデン政権は、米国の貿易協定への再加入に向けて動くことで、AUKUSの成功をさらに発展させることができます。

 

中国が申請を受け入れられる事が困難な事は明らかです。

TPPのメンバーであるオーストラリアは、すでに抵抗を示しています。

中国は昨年、オーストラリアがコロナウイルスの起源についての独立した調査を求めた後、脅迫キャンペーンの一環としてオーストラリアの輸出に懲罰的な関税を課しました。

貿易協定は、中国の重商主義的な商取引慣行を制度化するのではなく、抑止するべきです。

 

それにもかかわらず、中国の申請は、環太平洋地域における貿易の戦略的重要性を彼らが評価していることを示しています。

米中競争の1つに、どの国が次世代のコンピューティングおよび通信技術の国際的な条件を設定するかという問題があります。

中国がTPPに加盟していれば、国家安全保障上の脅威と見なされているHuaweiに対する米国の制裁キャンペーンはあまり成功しなかったでしょう。

 

TPPへのアメリカの参画はまた、米国が中国の覇権に抵抗する上で必要とする友好的または中立的な国家の経済を強化するでしょう。

トランプ氏の協定からの離脱は、国内経済改革を目指した安倍晋三前首相の計画に打撃を与えました。

協定への米国の加盟は、ベトナム、マレーシア、そして今週貿易協定への参加を申請した台湾を助ける可能性があります。

 

バイデン政権は、反貿易ポピュリズムを恐れ、政治的理由からオバマ時代にまとめられた協定について沈黙しています。

しかし、2017年以降、中国に対する態度は変化しています。

TPPは適切に売り込むことが出来れば、超党派で実現できるチャンスがあるかもしれません。

バイデン政権思い切った決断できるか

環太平洋貿易協定には、中国、台湾に先立ち、英国も加盟申請を行っています。

世界で最も経済成長率の高いこの地域にほとんどの大国が首を突っ込むチャンスを窺っていると言えるでしょう。

米国はAUKUSの締結によって、安全保障面ではこの地域にくさびを打ち込むことが出来たでしょうが、経済面で中国に主導権を握られていては、片手落ちです。

TPPは失われかけたこの地域における米国のリーダーシップを取り戻す上で、この上ないツールとなるでしょう。

これまでバイデン政権はTPPに反対する労組の意向をくんで、TPPへの復帰に消極的でした。

しかし保守派の新聞WSJがこれだけ積極的にTPPを支援しているところを見ると、米国でもTPPに対する風向きが変わってきている様です。

バイデン政権の決断が期待されます。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。