習近平主席の発言
先日、中国の習近平主席は9日、台湾統一に意欲と自信を見せ、「必ず実現できる。」と語りました。
これに先立ち10月1日と2日には中国の軍用機が台湾空域に大量に侵入しました。
合計77機もの侵入は過去に見られない数字です。
どうも背景には米国の存在がある様です。
英誌Economistが「Does America have troops in Taiwan? Having left in 1979, America is quietly giving the island more support」(米軍は台湾に存在するのか?1979年に島を離脱してからも米国は台湾に支援を続けている)と題した記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Economist記事要約
1979年4月26日、米軍台湾防衛司令部は、島に25年間駐留した後、国旗を下ろしました。
1週間後、最後のアメリカ兵が台湾を離れました。
司令部の跡地には現在、台北市立美術館が建っています。
しかし、10月7日、ウォールストリートジャーナルは、アメリカの特殊部隊と海兵隊が1年以上島に滞在し、台湾軍を訓練したと報じました。
台湾周辺の空域で中国の軍事的示威活動が拡大する中、このニュースは騒ぎを引き起こしました。
1949年に中国共産党が内戦に勝利した時、敗北した国民党関係者は台湾に逃げました。
島はその前50年間のほとんどの間日本によって支配されていましたが、中国はその新しい共和国の一部として領土を主張しました。
1954年、アメリカと台湾は、アメリカ軍と核兵器が島を守ることを定めた条約に署名しました。
ベトナム戦争中、3万人もの軍隊が駐留していました。
ニクソン政権がソ連を孤立させるために中国との和解を開始した1971年にそれはすべて変わりました。
アメリカはその外交代表を台北から北京に切り替え、最終的に島から完全に撤退することに合意しました。
それは1979年までに行われましたが、同じ年に議会は米国政府に「防御的」武器を台湾に販売することを要求する台湾関係法を可決した。
それ以来、アメリカは島に大きな軍事的存在を持っていませんでしたが、全くいなくなった訳ではありませんでした。
事実上の米国大使館である米国在台湾協会が2019年に新しいサイトを開設した時、広報官は、世界中の大使館を守る海兵隊と、陸軍、海軍、空軍の現役職員が過去14年間台湾で任務についていた事を認めました。
彼らの存在は明確には公表されていません。
国防総省によって発行された文書によれば、6月30日の時点で、23人の海兵隊員と海軍の2人と空軍の5人がいたことを示しています。
他の多くのサービスメンバーは、より短い期間訪問します。
ある情報筋は2018年にエコノミストに、毎年約3,500〜4,000人の国防総省関係者が台湾を訪れたと語りました。
また、これらの訪問者の一部が台湾の軍事技術を磨いていることも明らかにされていません。
アメリカは台湾にたくさんの武器を販売しており(昨年の50億ドルに加えて、8月に7億5000万ドルのパッケージが承認されました)、これらは通常、維持と運用のための訓練を必要とします。
11月、台湾の海軍は、アメリカの海軍特殊部隊が「上陸用舟艇と高速艦艇の潜入作戦」で台湾の対応者を訓練していたとうっかり口を滑らせました。
これは中国の侵略に対抗するのに役立つ戦術です。
アメリカの特殊部隊は何年もの間そのような訓練を行ってきた、と情報筋は言います。
島でのアメリカの軍事的存在と台湾軍への支援についての報道は、米中の緊張が高まる中行われました。
10月6日、台湾の国防相は、攻撃の「コストと損耗」が受容可能になる2025年までに中国が侵略する可能性があると警告しました。
中国は、アメリカの台湾への軍事的関与の主張は、何十年にもわたって台湾海峡全体の平和を維持するのに役立ってきたアメリカと中国の間の相互理解から逸脱していると確かに主張するでしょう。
アメリカは、中国の島に対する攻撃的な行動には対応が必要だと反論するかもしれません。
アメリカ政府にとって、台湾に支援の合図を送ることは、平和をより長く保つのに役立つ一種のジェスチャーかもしれません。
これは、抑止と挑発の間の微妙なバランスであり、今後何年にもわたってこの地域を定義します。
中米の誤解が生じる危険性
抑止と挑発は確かに紙一重です。
米国は米軍関係者の台湾での存在をちらつかせて中国を抑止しようと考えているのかも知れませんが、中国にしてみれば、これは約束違反だという事になります。
習近平主席も最近の西側からの締め付けに対して、弱腰を見せようものなら、国内の保守派や軍部から突き上げをくらいますので、強硬姿勢に出ざるを得ません。
両国のちょっとした誤解が台湾海峡での武力衝突を生む可能性があります。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。