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石炭の使用を解禁した中国 - カーボンニュートラルの公約はどこへ

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エネルギー不足に悩む各国

世界中でエネルギー価格の高騰と供給不足が大きな問題を引き起こしています。

特に中国やインドといった発展途上国では、停電などで工場が停止し、市民生活にも大きな影響が出はじめています。

この問題について、フランスの経済紙Les Echosが「Climat : La Chine relance sa production de charbon à un mois de la COP26」(気候:中国はCOP26の1か月前に石炭生産を再開)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約

世界の主要な電力生産源(世界の電力構成の40%)と温室効果ガス排出の主要な原因(20%)の両方である石炭を過去のものにするまでにはまだ時間がかかりそうです。

中国でのエネルギー需要の爆発は、2030年までにCO2排出量のピークに達するとの公約とはうらはらに、中国政府にこの化石燃料の復活を促しています。

世界最大の石炭消費者である中国は、オーストラリアからの輸入を再開したばかりでなく、自国の生産も再開しています。

中国政府は、国内最大の石炭生産地域の1つである内モンゴル自治区の生産目標を修正したとフィナンシャルタイムズは金曜日に報じました。

 

中国の新聞「SecuritiesTimes」によると、72の地方火力発電所は、国家経済の停滞を防ぐために、さらに1億トンの石炭を必要としています。

この追加容量は、この地域の年間生産量の10%に相当します。

中国東北部が何度か暗闇に陥っている間、電力不足のために、ハイテク製品の工場は生産を減らすか、あるいはそれを閉鎖さえしなければなりませんでした。

 

グラスゴーでの11月1日から14日までの気候変動に関する国際会議COP26の開催まで1ヶ月を切った現在、これは良い兆候ではありません。

幸いなことに、一つ励みになる知らせがあります。「パリ協定以来、石炭火力発電所の数は76%減少しました。」

これは、エネルギーと気候の研究のための独立したセンターであるエンバーが金曜日に発表した数字です。

 

2015年以降、OECDに属する27カ国を含む44の国家が、新しい石炭火力発電所を建設しないことを公式に約束しました。

これらの先駆者に加えて、OECDの8か国および欧州連合に属する他の40か国は、もはや石炭火力発電所を検討しておらず、ほぼゼロに近いと見なされています。

そのうち、日本、韓国、アラブ首長国連邦、カザフスタンの4カ国が最後の工場建設を完了しようとしていますが、これ以上建設する予定はありません。

 

しかし、まだ37の国が、新しいプロジェクトの立ち上げを検討しています。

これは大きな数字ですが、65の国がほとんど石炭火力に頼っていた6年前のほぼ半分です。

中国だけで、建設中または今後の発電所プロジェクトの半分以上(55%)を占めており、153ギガワットの追加容量が想定されています。

インドは地球環境対策が遅れていますが、中国に比べれば追加容量は遥かに少ないです。(21ギガワットが計画されています)

しかし、2人のアジアの巨人は新規プロジェクトの多くを放棄しました。

2015年以降、中国は484ギガワットの容量のプロジェクトをキャンセルし、インドは326ギガワットの容量のプロジェクトをキャンセルしました。

 

ベトナム、インドネシア、トルコ、バングラデシュも、新しい建設計画を持っています。は異なります。

 

最後に、多くのプロジェクトが中国からの資金提供に依存していることに注意する必要があります。

専門家によると、ジンバブエ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ロシア、トルコからインドネシアまで、24カ国以上が資金提供を受けています。

中国はごく最近、国際的に新しい石炭火力発電所の建設への資金提供を停止したいと表明しました。

石炭の使用に関する自らの公約を覆す決定を行なったばかりの中国政府が、パートナーに対して資金提供を止める事は可能でしょうか。

一帯一路政策に対する対抗策の必要性

省エネ先進国の我が国は地球環境に優しい技術という観点から言えば、世界の最先端を走っています。

一方、一帯一路政策を強引に進める中国は、世界中に公害を撒き散らす様なプラントを融資付きで売りつけているのですが、これを指を加えて黙って見ている手はありません。

石炭火力発電でも日本はCO2排出量の少ない石炭火力発電の技術を有しているのですが、現在の国際環境ではこれを対外輸出するのは難しいと思われます。

しかし、地球環境に優しいエネルギー技術は日本の得意とするところですので、中国の向こうを張って、質の高いインフラを世界に売り込むべきと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。