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Netflixで人気の「イカゲーム」が映し出す韓国の世相

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韓国芸能界の国際的成功

韓国の芸能界は最近海外で大きな成功を収めています。

音楽界ではBTSが米国市場で大成功し、ヒットチャートの常連になった事は記憶に新しいですが、映画でも昨年アジアで初めてアカデミー作品賞に​​「パラサイト - 半地下の過去」が輝きました。

今年も「ミナリ」でアカデミー助演女優賞を獲得し、完全に日本を置き去りにした感のある韓国芸能界ですが、これも長い年月をかけて国をあげて芸能界の国際進出を図ってきた努力が実を結んだものと思います。

「冬ソナ」で韓国ドラマに初めて触れた私ですが、よもやここまで国際的に評価を得る様になるとは思っていませんでした。

最近、Netflix上で韓国ドラマ「イカゲーム」が大変な人気を博している様です。

このドラマは借金漬けになった韓国の貧困者たちが自らの命をかけてゲームに参加し一攫千金を狙うという荒唐無稽の内容ですが、韓国国内だけでなく、米国など海外でも大きな反響を呼んでいます。

このドラマが韓国の世相を反映していると、米国の一外交官が国務省に報告した公電が外部に漏れて話題を呼んでいる様です。

米誌Foreign Policyが「State Department Cable Sees Echoes of Korean Politics in Netflix’s ‘Squid Game’ - The dystopian series reflects a “winner-take-all” mentality and South Koreans’ economic frustrations ahead of presidential elections.」(​​国務省宛て公電は、Netflixの「イカゲーム」が韓国の政治を反映していると分析- 大統領選挙に先立つ「勝者総取り」の精神と韓国人の経済的欲求不満を反映している」と題した論文を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Policy論文要約

韓国のドラマ「イカゲーム」が先月Netflixでデビューし、世界的なセンセーションを巻き起こし、すぐにストリーミングサービスの史上最も人気のあるシリーズになりました。

れは米国国務省での話題にさえなった様です。

小誌が入手した外交公電は、この暴力的なサバイバルドラマが、来年の大統領選挙に先立つ厳しい経済状況に対する韓国社会の欲求不満を反映していると説明しています。

公電の中で、当局者は、韓国の債務者が生命をかけてゲームに挑み、互いに競い合う架空のコンテストを描いたこのシリーズが、文在寅大統領の後任を決める2022年の選挙戦において、韓国の2つの主要政党の政治家が捕まったことにより、高度に階層化された国の実情を反映している事を示しました

「この暗い話の中心にあるのは、平均的な韓国人、特に雇用、結婚、または上昇の可能性を見つけるのに苦労している韓国の若者が感じる欲求不満です。厳しい経済見通しが明らかに韓国社会の苦境の中心にあることを証明しています。」と国務省に報告しています。

2つの主要政党の大統領候補が「公正な」社会の構築を呼びかけていますが、彼らのキャンペーンは、若者の間では嘲笑の対象になっています。

公電は、韓国は2003年以来、OECDの中で一貫して最も高い自殺率を示しており、2020年には、若者が生活レベルの向上に関してますます悲観的になっているため、19〜29歳の韓国人の主要な死因となったと述べています。。

国務省は、この公電に関するコメントの要求にすぐには応答しませんでした。

 

公電を書いた外交官は、イカゲームが主要政党の汚職によってダメージを受けた大統領選挙の時代精神を捕らえたと考えています。

京畿(キョンギ)地域知事であり、民主党の大統領候補である文大統領の後継者である李在明(イ・ジェミョン)氏は、不動産会社を優遇した疑いが持たれています。

一方、野党の有力候補であるユン・ソクユル氏は家族から経済的不正行為で告発されています。

 

1970年代以降、外交公電は、海外の外交官が各国の傾向を分析し、政策提言を行うために使用されます。

若手外交官は、ワシントンの人々から注目を集めるためにそれらをしばしば利用してきました。

最もよく知られている例は、冷戦中の米国の「封じ込め」政策の基礎を築いた、ジョージ ケナンがモスクワから送った,000語の分析である「長文電報」です。

 

イカゲームは、韓国の最新作であり、国内および世界中のクラスの状況を描写していることに共感を呼んでいます。

2019年のダークコメディー「パラサイト」は、カンヌ映画祭でパルムドールを獲得し、裕福な家庭で仕事を見つけることを計画している貧しい家族の描写でアカデミー賞最優秀作品賞を受賞しました。

国務省は、ドラマの魅力が韓国の「勝者が総取りする社会」と「階級の不平等」の描写に起因すると述べました。

 

Netflixは北朝鮮では利用できませんが、国営ウェブサイトはこのドラマを引用して、韓国の資本主義システムの「野獣的な」現実を攻撃し、韓国を「人間が極端な競争に追い込まれ、 人間性が破壊される社会だ。」と批難しました。

韓国社会の闇

韓国ドラマを見ていますと、社会が少数の大金持ちと多数の貧者に二極化しており、後者は何とか上流社会に這い上がろうとしますが、その間には大きな障壁がある事が良く描写されています。

それだけに大財閥の御曹司に見初められた孤児院出身の「冬ソナ」のヒロインの様な玉の輿物語が大受けする訳です。

最近はこの二極化が更に進んでいる様です。

ソウルの地価が急上昇した事から、一般の庶民は都内に小さなアパートも買えなくなったと文政権が批判を浴びていますが、社会的弱者の味方だと信じていた文政権さえも、幹部が不動産価格高騰で一儲けしていた事が明るみに出て、支持率の低下に繋がっています。

韓国が本当に勝者が総取りする社会であるならば、今後韓国社会が不安定になる可能性があります。

北朝鮮の指摘もこの面ではあながち的を外していない様な気がします。

それは資本主義システムの野獣的な側面を反映しています。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。