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コンテナ製造の驚くべき中国依存度が招く海上輸送の混乱

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コンテナが不足する理由

パンデミックから先進国の経済が回復を始めた今、至る所で価格の上昇が見られています。

エネルギーや金属資源の高騰がその最たるものですが、商品の価格上昇に影響を与えているものとして、コンテナ船の不足並びに運賃の高騰が注目されています。

コンテナ船はグローバリゼーション化が進む中、運搬手段としてその使用が拡大してきましたが、米国の港湾労働者のコロナ感染などにより、港での積み下ろしに支障が生じ、世界中で積荷が滞留しています。

問題はこれだけではなさそうです。

上記の様な状況の中で、コンテナ船だけでなくコンテナそのものの不足が顕在化しています。

驚く事に、世界のコンテナの9割以上が中国で製造されているという中国への過度の依存も明るみにでました。

この問題について、仏紙Les Echosが「L'incroyable dépendance du monde aux conteneurs chinois」(中国製コンテナへの信じられない依存」と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約

フランスの大手メーカーの中国子会社の幹部にとって、今年の年末は頭の痛い問題が山積です。

「部品不足が解消されると、電力不足によって生産が妨げられます。そして、生産に成功すると、コンテナの不足に直面し、次に商品を輸出するための船舶の不足に直面します」と彼らは嘆きます。

結局のところ、遅延が長引き、コストが増大します。

コンテナの不足は、海上貨物輸送とグローバルサプライチェーンに影響を与える主なボトルネックの1つです。

40フィートのドライコンテナの購入価格は、春に6,500ドルを超え、年間で2倍以上になり、調査会社Drewryが価格を追跡し始めた1998年以来の最高値に達しました。

冷蔵コンテナとタンクコンテナの価格も上昇傾向をたどっています。 

Drewry社「海運会社が船隊を補充しようとしたため、新しいコンテナの需要の高まりに価格は押し上げられた。一方、コルテン鋼(対候性の高い鋼材)と床材のコストの増加も影響を及ぼした。」 と述べました。

「コンテナ」の不足と戦うために、中国当局は国内メーカーに増産を要請しました。

世界の商品の輸送は中国のコンテナメーカーに大きく依存しています。

中国は世界のドライコンテナの96%以上、温度管理された冷凍コンテナの100%タンクコンテナの90%以上を生産しています。

Drewryによると、今年の最初の6か月で、中国のドライコンテナの生産量は前年比で235%増加し、20フィート相当の300万ユニットに達しました。

「納期が長くなっています。数か月前は、タンクコンテナの注文から納品までに2か月強でしたが、現在は6か月或いははそれ以上です。」とEurotainerは分析しました。

 

中国の大手コンテナメーカーであるCIMCは、旺盛な需要を利用して、上半期の製造活動で43.9億元(約790億円)の純利益を計上し、年間で1,739%の利益増加を達成しました。

同社は110万個以上のドライコンテナを生産し、1年間で220%多く生産しました。

Drewryは、20フィート相当のコンテナの年間生産量が67%増加すると予想しています。

パンデミックが終わると、供給過剰になるリスクがあります。

コンテナは、アメリカの港を混雑させていますが、中国のターミナルでは不足している様に、コンテナの分布が悪いことが、海上輸送の混乱の一因となっています。

この修正には時間がかかります。

サプライチェーンの見直し

岸田政権では新しいポストとして経済安全保障担当大臣が設けられましたが、サプライチェーンの見直しは待ったなしで行われる必要があると思います。

気がつけば我が国も安い中国製の商品であふれており、一つの供給源に過度に依存するリスクはコンテナだけではありません。

しかし、気をつけなければならないのは、サプライチェーンの見直しは、経済安全保障上問題になる商品に絞るべきで、問題がない商品まで広げる必要はない事です。

サプライチェーンの見直しなどというと、便乗して高い価格で売ろうとする国内業者が必ず現れますが、そんなメーカーから高い商品を国民が買わされる様になれば、円安も相まってたちの悪いインフレに苦しむことになるでしょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。