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海外メディアから見た自民党長期政権の功罪

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迫る投票日

いよいよ総選挙投票日が今週末に迫ってきました

世論調査によれば、自民党は単独過半数が無理にしても、公明党の議席を加えれば安定多数を確保しそうです。

自民党が今後も政権を担当する事はほぼ確実ですが、この党は1955年の結党以来、ほぼ一貫し政権を担ってきました。

これほど長期間にわたって同じ党が政権を維持するという事は、民主主義国家では極めてまれです。

この例外的な長期政権の功罪について英誌Economistが「How the LDP dominates Japan’s politics - The party has been in power almost continuously since 1955. That does not mean voters are happy」(自民党が日本を支配する理由 - 1955年以降ほぼ途切れなく政権を担当する党に選挙民が満足しているわけではない)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

1955年の創設以来、日本の自民党は日本の政治を支配してきました。

党は1993年から1994年と2009年から2012年に2回の短い期間を除き、途切れる事なく政権を担ってきました。

2012年に政権を取り戻した後、自民党とその連立パートナーである公明党は6回連続国政選挙で勝利しました。

今週末に衆議院選挙でも、自民党が再びトップに立つ可能性が高いと予想されます。

これは権威主義的なシステムではなく、自由で公正な選挙を伴う民主主義国家において起きている事です。

自民党はどのようにして権力の掌握を維持しているのでしょうか。

 

自民党は、戦後のアメリカによる日本占領と冷戦の坩堝をきっかけに誕生しました。

1955年に左派勢力が単一の日本社会党に統合された後、日本の保守党は、アメリカのCIAの支援を受けて、2つの主要な保守党である自由党と民主党を統合することを決定しました。

その後自民党が優位に立ち、日本の経済成長の奇跡を演出し続けました。

また、地方に偏った有利な選挙制度の恩恵も受けました。

党の中で派閥が競争し、政権交代は内部から起こりました。

「1955年体制」として知られるこの一連の自民党支配は、自民党の大物のグループが党を割り、野党との代替連立政権を形成した1993年に終わりました。

反自民の連立政権は翌年崩壊しましたが、小選挙区制の導入など選挙制度改革は民主党政権を2009年に誕生させ、遂に真の二大政党時代を迎えたと思わせました。

しかし、民主党は日本の強力な官僚機構をないがしろにし、政策の実施に苦労しました。

3年に2回首相を交代させて争いに屈しました。

また不幸にも、2011年に東日本大震災が発生し、福島第一原子力発電所でメルトダウンが発生したこともありました。

民主党の不安定な危機への対応は、自民党の復活の舞台となりました。

その後の数年間で、野党は分裂しました。

その化身である立憲民主党は依然として人気がなく、大震災時の不手際との関連を断ち切るのに苦労しています。 (立憲民主党の党首である枝野幸男が大震災時、民主党の官房長官であったことはプラスになっていません。)

自民党はまた、1999年に始まった公明党との同盟に依存して、ここ数十年で権力を維持しています。

公明党は、全国に約800万人の会員を擁する創価学会の非公式党であり、自民党が弱い都市部で特に強い。

これは、国の47都道府県全体にわたる自民党の広範な政治ネットワークと組み合わさり強力であることが証明されています。

 

少なくとも表面的には、自民党の支配により、日本の政治は、ポピュリズムと極端な党派主義に苦しんでいる他の豊かな民主主義国家よりも安定しているように見えます。

しかし、それはコストを伴いました。

競争の欠如により、有権者は無関心になっています。

過去10年間で投票率は着実に低下しており、自民党には願ったりの傾向です。

それはまた、政治家と自民党自体の国民に対する説明責任を弱めました。

9月下旬の総裁選で、党は岸田文雄を選びました。

岸田文雄は、党の有力者を満足させましたが、国民の支持は限られた、攻撃的ではない元外相です。

また、自民党の優位性は現状への満足を示すものでもありません。

最近の世界的な調査で、人口の半数以上が「政治、経済、医療システムの大幅な変更または完全な改革」を望んでいる6つの国として、アメリカ、フランス、ギリシャ、イタリア、日本、スペインを挙げました。

自民党は今回、多少議席を失う可能性があります。

しかし、実行可能な代替案が出現するまで、そして公明党との同盟が維持される限り、自民党の政権へのグリップは安全なままです。

待たれる政権交代可能な野党の登場

現在の野党のていたらくを見れば、自民党以外に政権の選択肢は無いと思いますが、これだけ長い間政権を担っていれば、様々な弊害が出てくる事は避けられません。

一昔前の自民党は派閥に元気があって、内部で活発な政策論議が戦わされていましたが、小選挙区制になってからというもの総裁、幹事長の力が強くなり、皆おとなしくなってしまいました。

中選挙区制であれば党内で冷飯食っても、選挙では当選できる可能性があったわけですが、今は公認を取り上げられればおしまいです。

今回の総裁選も高市さんは明確にタカ派の立場を押し出していましたが、他の候補者はみなとんがった意見を封印してしまいました。

河野さんの年金問題に関する問題提起はなるほどと思わせる処があったのですが、猛反発に遭って口をつぐんでしまいました。

同氏は改革派の代表格ですが、国民的な人気のわりに党内で人気がありません。

いっそのこと、お父さんの河野洋平氏がやった様に、自民党を出て改革を旗印にした政党を作ってみてはどうかと思います。

日本は今改革を必要としています。

このままでは平和で安全ですが元気のない国になってしまいます。

政権を任せるに足る野党が生まれる事を期待します。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。