MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

中国が採用する「ゼロ感染」政策のデメリット

f:id:MIYOSHIN:20211101153418j:plain

ワクチンにより激減した感染者数

東京の昨日(10月31日)の新規感染者数はたったの22人、死者はゼロでした。世界でこれほど新型コロナの抑え込みに成功した国は稀だと思います。

しかし隣国の中国だけは例外です。

14億近い人口を有するこの国の新規感染者数は過去4週間で約千人、死者はゼロです。

公表数字ですので、現実を正確に表しているか疑問がありますが、いずれにせよ中国がこの厄介な感染症を上手に押さえ込んでいる事は事実でしょう。

中国は大規模な検査と追跡キャンペーンを組み合わせて、いかなる感染者もあぶり出し、徹底的に抑え込む「ゼロ トレランス(ゼロ感染)」政策を展開している事で知られています。

この方法は感染症の拡大防止には有効ですが、一方デメリットもある様です。

本日は中国紙「環球時報」米Bloombergの報道をご紹介したいと思います。

中国「環球時報」記事要約

中国北西部に関連する新型コロナ感染がまだ解消されていないにもかかわらず、中国東部の江西省や中国北東部の黒竜江省を含むより多くの地域が、新たな感染が見つかっています。

中国の専門家は、最近のコロナ感染復活は国のゼロ トレランス政策の下で1ヶ月以内に効果的に制御されると予想していると述べました。

江西省のホリデーリゾートで働いている少なくとも2人が陽性でした。

リゾートのある硯山県は、大量の交通流を抑える手段として、土曜日にすべての信号が赤くなると伝えました。

すべての信号機を赤に切り替える義務は、それが全国的な見出しになった後、日曜日の朝にすぐに撤回されました。

 

ゼロ トレランス政策の信用を傷つけようとする声が高まっており、厳格なエピデミック対策によって引き起こされた悪影響を強調したい人もいます。

この政策は、少数の人々の生活を制限するという代償を払って、ウイルスが国全体に広がるのを防ぎます。

「この政策により、中国は国内の感染症を一掃し、輸入された新型コロナの復活の波を経験することから国を守りました。」と北京大学第一病院の呼吸器専門家である王広発氏は環球時報に語った。

「これは、エピデミックが全国を席巻している多くの西側諸国の状況とはまったく対照的です。彼らはそのような政策を運用する能力がないため、自由放任主義のアプローチをとらなければなりません。これを行うことができるのは中国だけであり、これは成功であることが証明されています」と王氏は語りました。

「まだ発展途上国である中国は、全国で均一な医療資源を持っている訳では無いので、非常に伝染性の高いデルタ変異体によってもたらされるリスクは言うまでもなく、冬の寒さは容易に耐えることができるものではない。」とも王氏は述べました。

 

より多くの経験が得られるにつれて、中国のゼロ トレランス政策は、悪影響を最小限に抑えるように調整され、対処措置ははるかに狭い地域に限定される様です。

中国が門戸を開くのに最適な時期については、王は、大部分の人々がワクチン接種を受け、中国に集団免疫をもたらした場合にのみ起こり得ると信じています。

「中国は、発生を非常に低いレベルで制御できれば、主要経済国だけでなく近隣諸国にも門戸を開くことを検討できる」と王氏は予測します。

 

土曜日の時点で、中国は22.6億回以上のワクチンを投与しており、ワクチン接種の全コースを完了した人の数は10億7000万人を超えました。

ワクチンの展開が続く中、中国は3歳から11歳の子供にワクチン接種を勧めます。

米Bloomberg記事抜粋

中国政府は北京五輪や第12回共産党大会がある来年までは少なくとも「ゼロ感染」を目標とした厳しい感染防止措置体制を取り続け、その後も継続する可能性があるとする一方で、厳しい感染防止戦略による経済的、政治的な代償も高まり続けており、変異株の発生により防疫の壁がいとも簡単に突破されるリスクを抱えています。

その上で、感染症が専門の陳錚鳴(チェン・ジョンミン)オックスフォード大学教授は「中国は早晩、抑え込み方式の戦略を諦めざるを得ない」としつつ、「ゼロ感染」という思考がすでに固定化してしまっているために、進んで戦略の調整を行いたがらない可能性があることに懸念を示しました。

また、中国の「ゼロ感染」戦略は投資家にも影響を及ぼしており、中国の投資会社・上海保銀投資管理有限公司のアナリストが「中国の貿易政策は中国国内の環境を安全にする一方で、外部との隔絶という代償も生む」との見解を示したことを紹介しました。

厳しい入国規制によって幹部が中国に入国できない状況が続いている外国企業関係者の間でも憂慮が広がっており、中国欧州商工会議所のヨルグ・ヴトケ会長も「もし中国が引き続き容赦ない措置を講じ続けるようであれば、他国が門戸を開く中で中国は『孤島の様に世界世から隔絶される』ことになるかもしれない」と語りました。

ゼロ感染政策のデメリット

中国は現在鎖国状態です。

水際で外国からの変異株の侵入を徹底的に防ぐという方針ですので、外国人が中国に行くのも、中国人が外国に旅行するのも、中国に入国する際に長期間の隔離が必要となりますので、大変不便です。

これと同様の処置を取っているのが、我が国で、事実上海外出張は禁止されている様なものです。

このまま中国と同様に鎖国政策を取り続けるべきでしょうか。

中国と我が国の間には一つ大きな差があります。我が国ではファイザー、モデルナと言った変異株にも一定の効果があると言われているワクチンが使用されているのに対して、中国では変異株に対する効果が不明な自国産のワクチンしか認可されていません。

もちろん海外からの渡航者に対してワクチン接種証明を提示させ、PCR検査を行う必要があると思いますが、今の様な長期間の隔離は軽減しても良い様な気がします。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。