36,000ドルの大台突破
ダウ平均は先日36,000ドルの大台を突破しました。
今から約22年前の1999年10月にダウが36,000ドルに達する事を予測した書が、現在話題になっている様です。
彼らが予測した時期のダウ価格はなんと10,000ドルを若干上回る程度でした。
22年の間に米国の株式平均価格は3.5倍以上になったという事です。
この期間の日本の株式価格はどうであったかと言えば、TOPIXは1,515円から2,031円にしか上がっていません。
この驚くべき米国株式の値上がりについて米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Dow Crosses 36,000 - Making a Book’s Prediction Just Two Decades Ago」(ダウが36,000ドルを超えた - 20年前に予言された事が現実に)と題された記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
WSJ記事抜粋
今週、ジェームス グラスマンとケビン ハセットによる共著「Dow36,000」は予言の書となりました。
彼らは、ダウ工業株30種平均は、「すぐに」、さらには「今日」でさえ、36,000ドルに達すると書きました。
「合理的には今日の午後にも到達する」と両氏は書きましたが、「3年から5年」かかるかもしれないと認めました。
この本は1999年10月1日、ダウが10,273ドルで引けたときに発行されました。22年後、その本の予言はついに実現しました。
著者の一人、74歳のグラスマン氏は、元国務次官であり、ジョージWブッシュ研究所の初代常務理事です。
ダウがついに36,000ドルに到達したことについて、「私は非常に満足しています」と彼は言いました。
「多くの人がそんな事は起こらない思っていた時に、起こる可能性があるとあえて言いました。一方で、本の根底をなす考え方に誤りがあったことは自分にとっては非常に明白です。人々は株を恐れています。それを認識する必要があります。」と述べています。
彼の共著者であるハセット氏(59歳)は、トランプ政権の経済諮問委員会の議長を務めた元連邦準備制度のエコノミストです。
ハセット氏はメールで、「1998年3月30日から、WSJで我々が理論を提示した日から」そのアドバイスを受け入れた投資家は、 2021年8月中旬までにS&P500株価指数で配当を含めた累積で500%以上のリターンを稼いだだろうと指摘しました。
「ダウ36,000」については、この本の予測が正しいと何年にもわたって主張した後、グラスマン氏はついに2011年2月にジャーナルの意見記事に「私は間違っていた」と書きました。
グラスマン氏は1999年以来、世界は「より危険な場所」になっていると述べ、投資家に保有株式を縮小するよう促しました。ダウはその日12,068ドルで引けました。
それ以来、ダウは3倍になりました。
蚊帳の外だった日本人投資家
20年前に米ダウのETFを購入していれば、配当含めて5倍のリターンを手にできていたというわけですか。
この驚くべき株価の上昇から利益を得た日本人投資家はごく少数だと思います。
かくいう私もサラリーマン時代、家のローンやら子供の教育費などで手一杯で、米国株に投資する余裕などありませんでしたし、そもそも米国株を売ってくれる証券会社がありませんでした。
この株価の上昇の利益を享受したのはアメリカ国民、特に年金を401Kで運用していたアメリカのお年寄りだと思います。
株式会社を考えついた人はつくづく天才だと思います。
株式会社のメカニズムは、事業に必要な資金を経営者の個人債務を増やす事なく株式市場から調達させ、その事業が成功すれば株価が上がって株主も利益を得られると皆がウィンウィンになれるメカニズムになっています。
米国はこの20年間というもの次から次へと株式市場をリードするスタープレーヤーを輩出し、株式市場を活性化させてきました。
最初はオイルメジャーでしたが、GEの様なメーカーが牽引する時期もあり、最近はなんと言ってもGAFAに代表されるIT企業です。
アマゾンは1998年にその株価はたった400ドルでしたが、現在株価は69倍です。
アメリカ社会は起業を奨励し、支援する体制が整っていますので、今後もテスラの様な新しいスター企業が次々と生まれる可能性があります。
更には株の買い方が変わった事も株価を上昇させる上で大きな変化だったと思います。
以前は証券会社の店頭で売買された株式は今やネット上でワンクリックで購買できます。
ネット上の株式売買は若者に投資の機会を広げました。
そしてそれは今や国境を越えています。
先進国の多くでは米国のETFだろうがインドの個別株だろうがネットで簡単に購買できます。
この様な状況下、米国の株式市場が世界中から資金を集め、更に成長を続ける可能性は
高いと思います。
注意すべきは株式市場の過熱化です。
一攫千金を狙って信用取引やデリバティブと呼ばれるハイリスクハイリターン商品が人気を集めていますが、これらが暴落の引き金となる危険性はあります。
この辺り、投資判断の前にしっかりリスク分析を行う必要があるでしょう。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。