至る所で見かける移民労働者
最近、都内でコンビニに入ると、多くの外国人が働いているのを見かけます。
胸の名札から推測するに東南アジアや中国、更にはパキスタンやアフリカなどその出身地は様々です。
日本は島国で歴史を振り返ってみても、これまで移民を積極的に受け入れて来ませんでした。
しかし日本は急速に少子高齢化が進み、労働力不足は深刻です。
今後移民を積極的に受け入れる様になるのでしょうか。
この点について英誌Economistが「Letting more migrants in by stealth - From a low base, immigration is growing quite fast」(不法に多くの移民を受け入れている - 移民は一気に増加している)と題する記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Economist記事要約
竹内まさのぶは同胞にメッセージを送っています。
「何かを注文すれば時間通りに到着し、コンビニに行けば安くておいしい食べ物があるが、それはすべて外国人によって支えられている。」
日本全土で、外国人は農業から小売業までの産業を支えています。
ベトナム人は与那国島の畑や北海道の工場で働いています。
東京のコンビニでは中国人やウズベク人をレジで見かけます。
群馬では、老朽化した旅館の経営者が布団を運ぶのをネパール人スタッフが手伝っています。
「彼らは日本の便利さを下支えする労働者です」と福岡の弁護士である竹内氏は言います。
福岡では、外国人労働者の比率が2009年の204人に1人から55人に1人に高まりました。
日本は移民政策を欠いているかもしれませんが、多くは不法に滞在してます。
外国人労働者の数は、まだ少ないながらも、10年で3倍になりました。
しかし、日本の移民システムは虐待に満ちており、それは今年、ビザが切れたため拘留された33歳のスリランカ人女性が死亡したことからもわかります。
パンデミックの影響下、厳格化された国境管理は何千人もの人々を海外に取り残しました。
政府は、低熟練労働者が恒久的に滞在することを許可するかもしれないと示唆しましたが、広範な改革には着手していません。
地方の指導者たちは、外国人に対して寛容を示そうとしています。
秋田県知事の佐竹敬久氏は、「海外からも含め、県外からの人を呼び込み、新たな視点を取り入れることが重要だ」と語りました。
「彼らが誠実で善良な人々であれば、私は彼らが来ることを心配していません。彼らに土地を与えて、ここに住まわせてください」と与那国町長の糸和氏は言います。
「出身国は関係ありません。私たちは皆、類人猿の子孫です。」
将来を見据えたビジネスリーダーもこれに同意します。
「今こそ、より良い移民政策を導入する時です」とユニクロの創設者である柳井氏は言います。
サントリーの社長、新浪剛史氏は、熟練労働者を惹きつけることが将来の競争力の「鍵」だと語ります。
自民党の野田聖子氏は、「日本人の国としての日本」という考えを終わらせることを検討する時が来たと語りました。
国民は外国人に対してよりオープンになっています。
2019年には約3,200万人の外国人が来日し、10年前の700万人未満から増加しました。
しかし、「地方自治体ができることには限界がある」と富山県知事の新田八郎は嘆きます。
企業は、語学研修と社会統合を処理する必要があります。
多くの外国人は彼らが必要とする支援なしに放置されています。
政府は「外国人に門戸を開こうとしているが、日本を『移民国家』として位置づけることを拒否している」と神戸市長の久元喜造は言います。
選挙で選択を迫られれば、有権者は移民のリスクが利益を上回ると判断する可能性があります。
移民に関する全国的な議論は塩漬けにされたままです。
移民を受け入れるには相当な覚悟が必要
急速に高齢化する我が国は若い労働力が必要で、特に過疎化する地方は外国労働者が喉から手が出るほど欲しい筈です。
日本の地方に行けば若者を見かけることはまれで、どこに行っても高齢者しか見当たりません。
このまま放置すれば、水道やバスなど公共サービスも十分に供給できない地方公共団体が続出するのではと危惧されます。
若い労働力不足を手っ取り早く埋めるのは外国人労働者ですが、これを無条件に受け入れるのは必ずしも得策ではないと思います。
理由は下記の通りです。
- ドイツやフランスなど過去に労働力不足で非熟練労働者を大量に受け入れた国は、その後様々な社会問題に悩まされています。非熟練外国人労働者は、移住した国のコミュニティーとの交流が少なく、人種問題等を引き起こしがちです。
- 島国の日本は外国人を受け入れた経験が欠けており、摩擦が起こりがちです。
外国人労働者は定住すれば、家族を呼び寄せ、彼ら独自のコミュニティーを作り上げます。
彼らは安い労働力ですので、日本の若者から職を奪います。
目先の利益のことを考えれば、企業にとって都合の良い労働力ですが、長期的にそれが本当に日本のためになるのか熟慮する必要があると思います。
私が今滞在しているトルコの様に、千年以上も移民を受け入れ続けて来た国でさえ、移民問題に悩まされている事は良く認識する必要があるでしょう。
最後まで読んで頂き、有難うございました。