MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

イカゲームが映し出す韓国の世相

f:id:MIYOSHIN:20211227134406j:plain

若者が絶望する社会

Netflixで最大のヒット作となった「イカゲーム」は私が先日滞在したトルコでも高い視聴率を記録しました。

このドラマはK-Popで注目を集めた韓国に対するトルコ人の関心を更に高めた様で、日本よりも韓国に関心を持つ若者が増えた模様です。

しかし、「イカゲーム」が描く韓国の世相にはかなり暗いものがあります。

特に若者の現実社会に対する失望はかなり根深い様です。

この点について米誌Foreing Policyが「South Korea Is No Country for Young People - “Squid Game” reflects a landscape of despair.」(韓国は若者の国ではない - 絶望的な世相を映す「イカゲーム」)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Policy記事要約

超暴力的なNetflixサバイバルドラマ「イカゲーム」は、K-POPとK-Beautyのスターが輝く一方で、絶望する若者が溢れる韓国をセンセーショナルに映し出しています。

イカゲームでは、借金を抱える個人が大金を得るために命を賭けたゲームに参加します。

これは、韓国社会に対する断片的な見方です。

しかし、2007年以来、自殺が若者の最大の死因となっている国では、若者は絶望に喘いでいます。

 

過去20年間、先進国の中で最も高い自殺率を示しています。

2017年米国では10万人あたり14.5人が自殺しますが、2019年、韓国では24.6人です。

韓国国家統計局によると、2018年から2019年の間に、自分の命を奪った40歳未満の韓国人の数は10%増加しました。

 

この絶望の核心は、パンデミックによって悪化した経済的苦境です。

20代と30代の韓国人は、持つ人と持たざる人の間の格差を感じてきました。

彼らはこの国を「ヘル朝鮮」と呼び、死や移住によってのみ逃げることができる地獄の王国に例えています。

大学の学位は、仕事を保証していましたが、それも今はかないません。

新型コロナ感染が広がる中、若者の失業率は全国平均のほぼ3倍でした。

2020年11月には、新卒者のほぼ40%が仕事を探すことを断念しました。

 

韓国の人口のほぼ半分が住む首都圏での住宅価格高騰は、事態をさらに悪化させました。

ソウルのアパートの平均価格は、政府の誤った方針の下で、過去5年間で2倍になりました。

4年前、ソウルでアパートを購入するには、韓国の年間世帯収入の中央値の11年分が必要でした。現在、18年以上の収入が必要です。

家賃が急上昇する中、若者の貯蓄は限られており、避難場所もありません。

 

うつ病を経験している20代の人々の数は、過去5年間でほぼ2倍になっています。

しかし、それを弱さの兆候と見なす文化では、治療法を探すことは困難です。

実際、韓国人のほぼ30%が、人生のある時点でうつ病やアル中などの精神疾患に苦しんでいますが、治療を求めているのは15.3%にすぎません。

そこには、幼稚園から始まる苛酷な教育レースのように、絶え間ないプレッシャーと果てしない競争があります。

国立青年政策研究所によると、ソウルの中高生の3人に1人は、学業上の負担と将来やキャリアへの不安から自殺を考えているそうです。

 

1953年に朝鮮戦争が終結したとき、貧困は広がりました。

しかし、誰もが貧しかったので、不平等は感じられませんでした

最も重要なことは、将来への希望があったことです。

たとえば、1960年代と1970年代に西ドイツに行って炭鉱や病院で苦労した鉱山労働者や看護師は、母国の子供たちが良い生活を送れることを知っていました。

 

残念ながら、急速な経済成長は繁栄の共有にはつながりませんでした。

2017年、文在寅が一生懸命頑張れば家を入手できる公正な社会を作ることを約束した時、記録的な数の若い有権者が彼を大統領に押し上げました。

しかしそうはなりませんでした。

エリートの腐敗は続いています。

政府当局者は、家賃の値上げと土地の投機を通じて住宅危機の恩恵を受けました。

法務大臣は賄賂と詐欺で起訴されました。

告発の1つには、娘を不法に大学に入学させることが含まれていました。

 

韓国も若者のメンタルヘルスの改善に投資すべきです。

フィンランドから学ぶことができます。

北欧諸国は、世界初の全国的な自殺予防キャンペーンを使用して、1990年以来自殺者の数を半分に減らしました。

全国的なメンタルヘルスシステムとコミュニティレベルのサービスを確立し、より多くのメンタルヘルス専門家を訓練することは、明らかな前進となるでしょう。

現在、メンタルヘルスは国の総医療予算の3パーセントでしかありません。

 

2018年に新法により週労働時間の上限が68時間から52時間に短縮された際に、高齢者はそれを嘆きました。

彼らは「朝鮮戦争の灰から国をここまで育てたのは彼らの汗と涙だった今、飢餓を知らない若者たちは、経済を台無しにしている。今の若者は一生懸命働くかわりにうつ病を訴えている。」と主張します。

 

おそらく、これは若者が根性がないからではありません。

むしろ、時代は変わり、人々はそれに伴って変化したという事でしょう。

苦しんでいるのは韓国人だけではないでしょうが、豊かで文化的に成功している人々と多くの人々の絶望との間の格差は痛ましいほどです。

韓国にはまだ希望が

大金を掴むために命まで賭けるというのは普通では考えられませんが、そこまで現実に失望しているのでしょう。

ただ貧しいだけでなく、将来に希望が持てない若者が絶望の淵に立たされている事が窺えました。

過酷な受験競争を潜り抜けて大学を卒業しても、まともな職にありつけず、運良く就職できても、アパート1戸さえ手に入れる事ができないとなれば、希望を失うのも無理はありません。

でも韓国には大きなチャンスがあります。

それは朝鮮半島統一です。

あの北朝鮮と一緒になるってありえないと思われるかも知れませんが、ドイツやベトナムも統一前は皆そう思っていました。

挑戦半島に基地を維持したい米国が反対するので、簡単ではありませんが、その内実現すると思います。

統一されれば、朝鮮半島は好景気に沸くでしょう。

現在、韓国が抱える少子高齢化問題は若者の多い北朝鮮が解決してくれますし、物のない北朝鮮で韓国製品は飛ぶ様に売れるでしょう。

筆者は韓国の将来は実は明るいと見ています。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。