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クラウド業界が通信業界に侵食する可能性

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クラウド業界の通信業界への参入

昨年、5Gの運用サービスが世界中で開始されました。

しかし、どの国でもその利用はかなり限られている様です。

映画がほんの数秒でダウンロードできると言われても、現在ストリーミングで十分に鑑賞できているのに、敢えて5Gを利用する価値を消費者が感じていないというのが実情だと思います。

しかし、通信業界には今年大きな動きが生じるかもしれません。

5Gでは膨大なデータの処理が必要になってきますが、この扱いに長けたクラウドコンピューティング業界が通信業界に参入してくる可能性がある様です。

英誌Economistが「Will the cloud business eat the 5G telecoms industry? (クラウドビジネスは5Gで通信業界を食い荒らす事ができるか?)と題する記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

これまで、アメリカで実際に5Gネットワ​​ークに接続する機会は限られていました。

現在3大キャリアの1つであるT-mobileだけが、幅広い5G接続を提供しています。

しかし AT&Tとベライゾンが、ついに今週5Gサービスを開始することを発表しました。

 

しかし、業界の話題となっているのは、5G通信に別のプレーヤーが登場したことです。

今後数か月以内に、衛星テレビサービスで最もよく知られているDish Networksが、アメリカで4番目の大手通信会社を立ち上げると予想されています。。

さらに重要なのは、Dishのネットワークは、ほぼ完全にクラウドコンピューティングに依存するアメリカで最初の通信ネットワークになることです。

アンテナとケーブルを除いて、そのサービスは主に、アマゾンののクラウドコンピューティング部門であるアマゾンウェブサービス(AWS)で実行されます。

これによりクラウドコンピューティングが通信業界を「食い荒らす」かもしれません。

この試みが成功した場合、米国だけでなく、年間収益が約1兆ドルの世界のモバイル通信市場を塗り替える可能性があります。

そして、それは通信をクラウドビジネスと密接に結びつけるでしょう。

 

現在、AWSやマイクロソフトのAzureなどのコンピューティングクラウドは急速に成熟しており、最終的にはモバイルネットワークにデータを供給するという厳しいタスクに対処できるようになっています。

モバイルテクノロジーの最新基準である5Gは、最初から交換機やその他のハードウェアのコレクションとしてではなく、ソフトウェアまたは「仮想化」に変換できる一連のサービスとして考案されました。

これはすべて、Dishのネットワークで実現されます。

従来のモバイルネットワークで使用されていた大きな基地局の代わりに、その技術はアンテナポストに取り付けられた細いボックスに収容されています。

これらはAWSクラウドに直接接続されており、同社が通信機器メーカーから購入しているのはソフトウェアだけです。

その結果、Dishのネットワークの構築とオペレーションは安価になります。

Dishはこの「クラウド化」において先端を走っていますが、世界中の他の通信事業者もそれほど遅れをとっていません。

6月、アメリカ最大の携帯電話会社であるAT&Tは、5Gネットワ​​ークのコアを強化するテクノロジーをマイクロソフトに販売し、マイクロソフトはAzureクラウド上のAT&Tでそれを実行します。

インドのテクノロジーの巨人であるRelianceJioは、クラウドベースの5Gネットワ​​ークを構築するという野心的な計画を立てています。

大手クラウドプロバイダーのAWS、マイクロソフト、グーグルは各社とも通信会社と提携を始め、対応を開始しています。

 

新規参入者もまた、ビジネスを開始しています。

日本のオンライン大手である楽天は、すでに日本でクラウドベースのネットワークを構築しています。

楽天は、クラウド運用をアマゾンなどビッグテックにアウトソーシングするのではなく、独自に構築し、楽天シンフォニーという子会社を立ち上げ、他の事業者にシステムを提供しています。

彼らは、ドイツのWebホスティング会社である1&1がネットワークを構築する事を支援しています。

「私たちは通信会社のクラウドにはなりたくありませんが、彼らが自分でそれを構築できるようにします」と楽天シンフォニーの責任者であるターリク アミンは説明します。

 

既存のモバイルネットワークは一夜にして置き換えられることはありません。

楽天のネットワークは遅れに直面し、Dishは当初昨年末に立ち上げられる予定でした。

いくつかの技術的な障壁が残っています。

5G基地局の制御は非常に複雑で、何百ものパラメータを監視する必要があります。

少なくともしばらくの間、必要な制御ソフトウェアは、アンテナの近くの特殊な機器で実行する必要があるかもしれません。

先駆者である楽天

菅前政権が実現した公約の中で出色だったのは通信料金の低減でした。

それを実現させたのは、楽天に通信ライセンスを与え、通信各社の価格競争を激化させた事でした。

その楽天ですが他通信大手と一つ異なる点があります。

同社は、いち早くネットワークの仮想化を実現し、実際に通信キャリアとしてそのネットワークを運用してきました、

この点では、世界の先駆者の一人と言って良いと思います。

以前、楽天の本社を訪れた際に、インド人と思われるエンジニア集団をたくさん見かけました。

国籍を問わず優秀な人材を登用する同社のカルチャーが感じられました。

自前のクラウドサービスを利用する楽天がAWSなどビッグテックに対抗できるかという点に不安はありますが、今後の楽天の動きに注目です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。