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米国ビッグテックの野望と脅威

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MAAMAとは

GAFAという言葉は米国のビッグテックを称する言葉として有名でしたが、マイクロソフトの復権と共にGAFAMという言葉に変わり、更にFacebookがMetaと改称した事により、最近は「MAAMA」という言葉が使われる様になった様です。

彼らの時価総額は優に日本の会社全体の時価総額を上回り、トップのアップルは3兆ドルを超えています。

彼らの投資意欲は衰えを知らず、先日はマイクロソフトがビデオゲーム会社を8兆円近い金額で買収し、話題になりました。

彼らが抱える問題とその戦略について英紙Economistが「Big tech’s supersized ambitions - From metaverses to quantum computing」(ビッグテックの巨大な野望 - メタバースから量子コンピューターまで)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

ビッグテック企業の野心と貪欲さに限界はあるのでしょうか?

10月、Mark ZuckerbergはFacebookの名前をMetaと変更しました。

1月18日、マイクロソフトは、ビデオゲーム会社であるActivision Blizzardを690億ドル(7.8兆円)で買収しました。

これらの決定は、アメリカの5大企業であるAlphabet、Amazon、Apple、Meta、Microsoftでの大規模な新規投資の一部であり、彼らを総称してMAAMAと呼んでいます。

彼らは過去1年間に2800億ドルを投資しました。これは、米国の投資の9%に相当し、5年前の4%から倍増しました。

 

彼らは過去の巨大企業の衰退の歴史に目を向けています。

フェアチャイルドセミコンダクターは1950年代に支配しましたが、現在は存在していません。

かつて携帯電話では無敵に見えたノキアは、スマートフォンへの移行に失敗しました。

パンデミックは、ビッグテックの売り上げを一気に押し上げましたが、彼らすべてが次に来るものに備えようとしています。

問題は、それが何になるか誰にもわからないということです。

しかし、それはおそらく、人々を情報やサービスに接続する手段として、スマートフォンに取って代わる新しいデバイスを伴うでしょう。

これは、AppleがMetaやMicrosoftに対抗してVR(仮想現実)ヘッドセットを開発する理由を説明しています。

Alphabet、Apple、Amazonはすべて自動運転車に巨額の投資をしました。

そして、新しいデバイスに高度な処理能力を提供するために、特殊な半導体の設計や量子コンピューティングなどの新しいアプローチの追求に莫大な金額が費やされています。

 

MAAMAのもう1つの優先事項は、ユーザーを引き込むことで毎月の使用料を引き出すことができるプラットフォームを作成し、ネットワーク効果を利用してさらに顧客を増やすことです。

Alphabet、Amazon、Microsoftが運営するクラウドコンピューティングプラットフォームは、文字通り、他社のコンピューティング環境をホストするために定額払いを請求します。

 

これらの企業があまりにも強力であることを顧客は警戒するかもしれません。

1つの見方は、彼らの大規模な顧客基盤と、AIをトレーニングするための膨大なデータの蓄積が、競合先が乗り越えられない利点を与えるというものです。

しかし、これらの新しい分野はすべて、当面は競争が確保されている様に見えます。

Epic Gamesが作成した「Fortnite」には世界中で3億人以上のプレーヤーがいますし、半導体会社のNvidiaもこの分野に参入しています。

Microsoftは今回のActivision買収で、ゲームの市場シェアを10〜15%に引き上げるだけであり、独占ではありません。

自動運転車では、ビッグテックはテスラ、GM、フォルクスワーゲンなどと戦わなければなりません。

世界の新興企業は2021年に6,210億ドルのベンチャー資金を調達し、ビッグテックが投資した額をはるかに上回っています。

さらに、将来、ビッグテックの有する集中型プラットフォームによって支配される可能性が低くなるという推測があります。

今日のAIの主流である深層学習技術は、大量のデータに依存していますが、将来はWeb3と呼ばれるユーザーが所有および運用する分散型ブロックチェーンサービスが普及すると予想されています。

現時点では、Web3は多くのエネルギーを消費し、見た目ほど分散化されているとは限りません。

しかし、分散型ファイナンス(DeFi)という分野では、急速な進展が既に見られています。

 

それにもかかわらず、規制当局は先手を打って取り締まりたいとの誘惑に駆られるかも知れません。

現在アメリカの独占禁止法の最高責任者であるリナ・カーンは、大手ハイテク企業が隣接分野に進出することを禁止することを推奨しました。

しかし、現時点では軽い規制が最善のポリシーです。

テクノロジーへの投資は生産性の向上に関連しており、ビッグテックが再投資したキャッシュフローのシェアは10年前からほぼ2倍になっています。

それはまだ危険ではありません。

歴史は、テクノロジーの巨人が新しいテクノロジーを習得できなかったために衰退した事を示唆しています。

現在の巨人がその運命を回避するために新しい分野に移動するために何十億ドルも費やしたいのであれば、それを止める理由はありません。

我が国はどう対処すれば良いのか

上記の記事の中でWeb3に関しての記述がありますが、これはもう少しかみ砕いてご説明する必要があると思います。

現在、我々はアップルやGoogleといったビッグテックの用意したプラットフォームで情報をやり取りしており、彼らは吸い上げた膨大なデータをAIを使って解析する事により、他社を寄せ付けないアドバンテージを得ているのが現状です。

しかし、Web3と呼ばれる次世代のインターネットシステムはブロックチェーンを使った分散型になり、ビッグテックがデータを一方的に吸い上げるわけではなくなります。

これがゲームチェンジャーになるのではと期待されているわけです。

 

それにしても、1980年代に一斉を風靡した日本企業の名前は上記の記事には一切出てきません。

最近日本企業の影は薄くなるばかりです。

米国以外の企業が全て埋没しているかといえばそうではありません。

韓国のサムスンや映画、音楽は世界市場で存在感を示しています。

先日日本の芸能プロダクション、エイベックス社の会長さんが韓国の芸能市場における成功について「韓国は自国の市場が小さいので、最初から世界市場で勝負しようと国際スタンダードを採用している。日本は中途半端に自国市場があるので、ドラマの長さなども日本しか使わない仕様になっている。」と語っていました。

ここでもガラパゴス化極まれりです。

全部がそうとは言いませんが、そろそろ日本も茹でガエル状態から脱する必要がありそうです。

本日の日経は、円の実力は50年前の水準に低下したと報道しています。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。