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フランスから見た日本のオミクロン対策

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ジレンマに悩む日本

我が国でもオミクロン株の感染が広がっています。

全国の新規感染者数は22日、5万人を超えました

一足先にオミクロン株の洗礼を受けた欧米の国々は日本政府のオミクロン対策をどの様に見ているのでしょうか。

仏紙Les Echosが「Zéro risque ou zéro croissance : le dilemme japonais face à Omicron」(ゼロコロナか経済成長か:オミクロン株のジレンマに直面する日本)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約

東京で深夜営業は不可能となりました。

オミクロン株の急速な拡大を懸念して、政府は東京都と他の十数の都道府県を「緊急事態宣言」に近い状態に置きました。

これらの地域の知事は、「人間との接触」を制限するために、レストラン、バー、その他のナイトライフ施設を夕方早く閉店するよう呼びかけることができます。

レストラン等のオーナーが公的資金によって補償される一方で、一連の制限は、経済を圧迫し始めています。

それは、岸田政権のオミクロン対策に疑問を投げかけています。

 

極めて少ないPCRテスト

1億2600万人の人口を持つ国は、今週の金曜日に47,000を超える新規症例を特定しました。

記録的な数字をマークしていますが、流行の正確な範囲については何も述べていません。

常にクラスターを特定することだけを求めており、フランスが毎日200万人近くをテストする一方で、日本でのテストは25万人にも達しません。

 

今のところ、対策がなまぬるいと批判される事を恐れる日本の指導者は、西側各国で既に確認されている重症化率の低さを無視して、デルタ株と同様にオミクロン株を扱っています。

岸田首相は、すべての感染者に10日間の隔離を課し、感染者と同居の濃厚接触者には最大20日間の隔離を課しました。

 

労働力不足

この処置により、少子高齢化によってすでに弾力性を失っている労働市場から毎日何十万人もの人々が、「撤退」してます。

全てのセクターが影響を受けています。

20日に世界一の自動車メーカーであるトヨタは、労働者と下請け業者の従業員の感染により、国内11工場の21の生産ラインを数日停止する事を発表しました。

 

サービス部門でも、懸念が高まっています。

東京の原宿地区にある大手携帯電話会社の従業員は、「感染者は一人しか出ませんでしたが、店内を消毒してチーム全体を検査するために2日間閉店する必要がありました」と述べています。

政府は、観光セクターを支援することを目的とした「Go-To Travel」キャンペーンを延期したばかりです。

そして、「現在の不確実性は、企業が投資をすることを思いとどまらせるでしょう」と専門家は警告します。

日本経済は昨年第4四半期に回復した後、再び低迷する可能性があります。

 

コロナの法的​​位置付け

強い影響力を持つ元首相の安倍晋三氏は、インタビューで、経済活動を解放するためにコロナの法的位置付けを変更する事を提案しました。

彼は、現在感染者が出るたびに展開される非常に厳格な管理および医療処置に言及し、 「私たちは季節性インフルエンザのようにコロナを扱う事ができるでしょう。」と主張し、ワクチンと治療が今では重症化を予防していると述べました。

日本は非常に高齢化していますが、80%がワクチン接種を受けています

21日夜の時点で、日本ではウイルスによる重症者は287人に過ぎず、1日あたりの死亡者数は12人未満です。

 

「緩和」する必要

この「緩和」という概念が一部の経済エリートによって支持されている一方、専門家は慎重なままです。

「このウイルスの重症度を下げるのはまだ時期尚早です」と、感染症専門医で神戸大学の講師である岩田健太郎教授は言います。

「緩和は医療制度にあまりにも多くの影響を与えるでしょう」と彼は説明します。

「突然、すべての病院がコロナ患者の受け入れを余儀なくされることになります。現在、彼らはコロナに適応した全国で450の医療施設によってのみ受け入れられています」と研究者は指摘します。

「さらに、オミクロンが単純なインフルエンザのように扱われた場合、患者は医療費の30%を自己負担する必要があり、高価な治療費を払えない人も出るでしょう。」と岩田教授は付け加えます。

 

政府は、他人に感染させるリスクのない感染者を「無視」すれば、450の医療センターの仕事を軽減することができます。

彼らは医療センターによってテストされることなく、医師によってオンラインで聴診する事が可能でしょう。

そろそろWithコロナへの移行を

「同居の濃厚接触者は最長20日間の隔離が必要だ。」との記述にちょっと驚きました。

これはフランス人記者の事実誤認かと思い、調べたところ間違いではありませんでした。

感染者と同居している人間は、感染者の療養期間が終了してから更に10日間隔離が必要の様です。

20日間も出勤、登校ができないとなると、確かに社会生活に大きな影響が出かねません。

それとPCRテストの数、日本はこんなに少ないんですね。

実際の感染者数はもっと多い可能性があります。

 

日本は高齢化していますので、用心は必要ですが、そろそろWithコロナを考える時期に来ていると思います。

しかし岸田政権は慎重姿勢を崩さないでしょう。

6月に参院選挙があり、岸田首相の任期がそこで決定する事を考えれば、同首相は安全策をとる可能性が高いと思われます。

菅政権のコロナ対策が最近見直されていますが、同政権はワクチンを大量にかき集める事に成功する一方で、Go toトラベルなどで経済を回そうとの意欲も持っていました。

結果的にGo toトラベルは不評で、政権の命取りの一つになってしまいましたが、人流を制限する一方では、経済が死んでしまう事を前政権は理解していたと思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。