米国株価の急落
昨日の米国株価は大きく下げました。
その主因はビッグテックの一角を占めるMetaの業績が急速に悪化したことから生じた様です。
フェイスブックとインスタグラムを有するこの会社の成長に急ブレーキがかかった理由は何故でしょうか。
英誌Economistが「How Apple’s privacy push cost Meta $10bn」(アップルのプライバシー村長がMetaに100億ドルもの損害を与えた訳)と題する記事を掲載しました。
100億ドルとは日本円にしてなんと1兆1千億円です。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Economist記事要約
Metaにとって、iPhoneを動かすAppleのiOSオペレーティングシステムは、頭痛の種です。
2月2日、FacebookとInstagramを所有するMetaは投資家に、iOSのプライバシーに焦点を当てた変更は、2022年に約100億ドルの損害を与えたと語りました。
ユーザー数の伸び悩みは、Metaの株価を23%急落させ、Appleの力を示しました。
しかし、Appleは実際に何をしたのでしょうか。
デジタル広告の魅力は、常に人々を正確に標的にできる能力でした。
デジタル時代以前は、企業は新聞などに広告を配置していました。
オンラインでは、企業は代わりに、人々の閲覧履歴と興味に基づいて広告をターゲティングする事が可能になりました。
これにより、ユーザーに関する膨大な量のデータを保持しているMetaのような企業の利益が高まりました。
何年もの間、Appleは「広告主のための識別子」(IDFA)を提供することで支援し、広告主に人々の行動を追跡する方法を提供しました。
しかし昨年、プライバシーの懸念を理由に、AppleはデフォルトでIDFAをオフにし、アプリに閲覧履歴の追跡を希望するかどうかを尋ねるように強制しました。
ほとんどの場合、人々は希望しない様です。
12月の調査では、Appleユーザーの54%が閲覧履歴の追跡を希望しなかった様です。
この変更により、デジタル広告は非常に扱いにくくなりました。
Metaは、この変更により広告ターゲティングの精度が低下し、広告が機能するかどうかを示すデータの収集が遅くなると投資家に語りました。
これらの変更は「ダイレクトレスポンス広告」を作成する広告主にとって魅力的ではなくなります。
Metaのような広告販売者への経済的影響は著しいものでした。
Metaが推定した100億ドルの損害は、2021年の収益の8%以上に相当します。
一方、Appleは好調です。見積もりによると、Appleは、アプリ追跡ポップアップを導入して以来、自社の広告ビジネスが大幅に成長していることを示しています。
Metaとその競合他社にとって、問題はおそらく悪化するでしょう。
Googleはまもなく、Androidとそのモバイルオペレーティングシステムのほとんどのユーザーに、広告追跡を確認する機能を提供する予定です。
課題を認識しているメタは、問題から抜け出す方法を検討しています。
彼らは、メタバース用の独自のオペレーティングシステムを開発することで、GoogleとAppleの手の届かないところに行こうとしています。
これは、次の大きなコンピューティングプラットフォームになる可能性があります。
オペレーティングシステムを制御することで、Appleのような企業が将来Metaのビジネスモデルを覆すことを防ごうとしています。
ビッグテックの熾烈な主導権争い
1兆円を超える損害とは穏やかではありませんね。
このままMetaが黙っているとは思えず、熾烈な主導権争いが続くのは間違いなさそうです。
それにしても、いつのまにかパソコンの画面上に広告が頻繁に登場する様になったなと思いましたが、それはこのダイレクトレスポンス広告とやらのせいだったのですね。
しつこく登場する広告をモグラ叩きの様に消して行こうと無駄な努力を払いましたが、今後アップルが退治してくれるなら歓迎です。
でもおそらくアップルは自分の広告を増やすんでしょうね。
広告を全部消してくれる様なアプリがあればすぐ飛びつきます。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。