ヨーロッパとアジアに跨がる都市
大都市における交通渋滞はしばしば耐えがたいレベルにまで達します。
筆者が過去に住んだ事のある大都市(イスタンブール、ロンドン、パリ)の中で、交通渋滞が最悪なのは何と言ってもイスタンブールでした。
この街はヨーロッパとアジアに跨がる都市と言われており、ボスポラス海峡を挟んで東西に広がっています。
その海峡を毎日膨大な人々が通勤で往復するため、朝晩気の遠くなる様な渋滞が発生します。
もちろん海峡に橋はありますが、何十万人もの通勤者の往来を捌くには不十分です。
この街で仕事を効率よく行うためには、先ず脇道を熟知する有能な運転手が不可欠です。
表の道しか知らない運転手と付き合っていれば、車の中で無為に時間を浪費する事になります。
私の運転手は、場合によっては、一方通行も逆に入るし、誰も知らない脇道を疾走するのを得意としていました。
カーナビやグーグルマップの様な交通アプリの登場により、熟練した運転手でなくても、近道を見つける事ができる様になってきました。
欧州においてカーナビの大手メーカーであるTomTomが世界の都市の渋滞度に関するランキングを発表した様です。
仏紙Les Echosの「Quelles sont les villes les plus embouteillées en France et dans le monde ?」(フランス及び世界都市の渋滞度ランキング)と題した記事をご紹介したいと思います。
Les Echos記事要約
2020年は、ロックダウンのために、大都市の道路が数週間にわたって封鎖されました。
したがって、2021年は、世界の交通渋滞レベルは2020年よりも高くなりましたが、それでも2019年のレベルよりも10ポイント低いままでした。
これはGPSナビゲーションシステムTomTomが、世界58か国404都市の交通渋滞を分析した結果です。
渋滞の金メダルはイスタンブールで、渋滞率は62%です。
これは、この都市の車での移動時間が、自由に流れる交通状況よりも62%長いことを意味します。
イスタンブールに続いて、61%のモスクワと56%のキエフが続きます。
この3都市は2020年よりも渋滞率が上昇しました。
コロンビアのボゴタとインドのムンバイもその後に名を連ねます。
フランスでは、パリが最も混雑している都市であり、世界ランキングで37位です。
パリは2021年に36%の渋滞率を記録し、パンデミック前のレベルと比較して3ポイント減少しましたが、2020年と比較して4ポイント増加しました。
TomTomは、世界中の多くの都市でパンデミック前の時代からのピーク時間の変化に注目しています。
フランスでは、道路の混雑が2019年と比較して平均で3%減少しましたが、この減少はピーク時に9%とより顕著になります。
これは、働き方の変化、または終日行われる宅配の増加によって説明することができます。
この研究はまた、初めて、都市の混雑の環境コストを調査します。
パリでは、2021年に自動車交通が13.80メガトンのCO2を排出しました。
これには、交通渋滞に関連する1.85メガトンが含まれます。
TomTomによると、ディーゼル車がこれらの排出量の71.5%を占める一方、ガソリン車は24%、ハイブリッド車は0.5%、電気自動車は4%でした。
TomTomによれば、ソフトモビリティの開発と消費者の行動や習慣の変化は、自動車交通の改善につながる可能性があるとの事です。
渋滞を凌駕するイスタンブールの魅力
イスタンブールで渋滞に巻き込まれないコツは、渋滞が起きそうな時間帯(朝晩のラッシュアワー)には絶対に橋を渡らない事と、アポイントは出来るだけ空いている時間帯に入れる事でした。
それでも渋滞にはまって天を仰ぐ事は珍しくなく、そんな時は車の中で寝る様にしていました。
やはりイスタンブールは世界一の渋滞都市なんですね。
でも愛するイスタンブールのために弁護するならば、渋滞率の高さはこの大都市が多くの観光客を魅了し、経済活動が活発な証拠だとも言えると思います。
コンスタンチノープル時代からの小道が多く残るこの街で渋滞にはまるのは当たり前です。
皆さん多少の渋滞はありますが、イスタンブールは魅力満載です。
是非お越し下さい。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。