独露ガスパイプライプロジェクトの凍結
ロシアのドネツク共和国独立省に音の動きを受け、欧米はロシアに対する第一次の制裁を行う事を決断しました。
その中で注目すべきはロシアとドイツを直接結ぶ新規天然ガスパイプライン「ノルドストリームII」の認可作業が停止されることが発表されました。
プーチ大塗料も大変強い関心を持っていたプロジェクトの凍結ともいってよい今回の判断はプーチン氏の今後の戦略にも何からかの影響があると思われます。
一方、今回の自治調和国独立騒ぎは、エネルギー価格を更に上昇させ、最高レベルに達しています。欧州はロシアのガスなしにやって行けるのでしょうか。
この問題に関して仏経済紙Les Echosが「Gaz russe : l'Europe durablement prise au piège」(ロシアのガス供給で欧州を罠にはめた)と題する記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Les Echos記事要約
どうしてこの様な問題に巻き込まれたのでしょう ?
問題は、ウクライナの危機とヨーロッパの入り口での戦争の差し迫った危険だけではありません。
これは、ガス価格の前例のない暴騰に直面して、冬の初めからヨーロッパ人を悩ませてきた問題でもあります。
オランダの卸売市場では、ガスの価格は、現在、通常の4倍の価格に急騰しています。
そして、電力価格は今や前代未聞のメガワット時あたり75ユーロを超えています。
ガスが結果的に電気価格にも影響を与え、フランスからポーランド、英国からイタリアに至るまで、エネルギー危機を引き起こす可能性があります、
冬の真っ只中にガスプロム(ロシア国営ガス会社)のEUへの輸出を制限することにより、プーチン大統領は強力な武器を振り回し、ヨーロッパ人が対応するのを思いとどまらせるか、少なくとも彼らを分裂させる可能性があります。
しかし、エネルギー危機の原因はこれだけではありません。ロシアがこのような形でで価格を高騰させることができたのは、需要と供給のバランスがすでに脆弱だったためです。
ポストコロナの活発な経済回復は、ガス消費を刺激しました。
ガスは、旧大陸のエネルギー需要の合計22%を提供し、すべてのタイプの消費(電気、輸送、暖房など)が行われています。
2020年から2021年の冬は通常より長く、ガスの在庫は異常に低いレベルでした。
ノルウェー沖のガス生産設備に技術的な問題を追加し、アジアで再び需要が急増している状況下、価格暴騰の要素が既に揃っていました
問題の根本は、ヨーロッパの生産量が減少しているため、ヨーロッパがますます多くのガスを輸入せざるを得ないことです。
ノルウェーやアルジェリアからヨーロッパに供給する他のガスパイプラインは、すでに能力限界まで稼働しています。
したがって、EUのロシアへの依存度は近年高まっています。
ガスプロムの市場シェアは、10年足らずで25%から40%近くまで上昇しています。
「それはさらに高くなる可能性があります」と、パリ政治学院のブロス教授は説明します。
冬の終わりまでにエネルギーが不足するリスクは実際ありません。
しかし、ヨーロッパ人は自らを寒さから守るため、現在高い代償を払っています。
米国やカタールから液化天然ガス(LNG)を購入するには、最大の消費者である中国、日本、韓国の輸入業者と同じくらい魅力的な価格を支払う必要があります。
これが現在起こっていることです。ヨーロッパは、特に米国から、今年の初め以来、前例のない量のLNGを輸入してきました。
競争が激化するこのゲームでは、価格が再び下がることは不可能です。
あなたがもっとたくさん払うつもりがあっても、ロシアからのガスを代替するノルウェーまたはアルジェリアのガスは十分ありません。
オックスフォードエネルギー研究所の研究者であるマイク・フルウッドは、「世界には十分な生産能力がないだろう」と要約しています。
投資サイクルは長く、LNGユニットの建設には最低3年から4年かかります。
「次の本当の波は2025-2026まで来ません」とマイクフルウッドは言います。そしてこの間、中国、インド、東南アジアではニーズが高まり続けています。
ヨーロッパでも、使用禁止となる発電用の石炭をガスに置き換える必要があるため、ガス消費量は2030年代まで実際には減少しません。
「私たちの大陸には、今後何年にもわたってロシアのガスが必要になるでしょう」と彼は結論付けています。
冬将軍の影
西側の制裁に対してロシアがどれだけの期間耐えられるかという記事を欧米のメディアで目にしますが、実際は「ロシアのガスなしに欧州はどれだけ耐えられるか」も論じる必要がある様な気がします。
プーチン大統領は今回真冬に西側に対して挑戦状を叩きつけてきました。
ロシアはナポレオンにしてもヒトラーにしても欧州の強敵と戦う時には常に冬将軍を味方につけました。
ロシアが過去の歴史に学んでいる事は間違いありません。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。