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眠れる巨人ドイツ覚醒か

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潮目を作ったドイツ首相

今回のウクライナ紛争において潮目があったとすると、それはドイツのショルツ首相がプーチン氏に三下り半を突きつけた時ではなかったかと思います。

それまでドイツは米国の強い要請にもかかわらず、ノルドストリーム2(ロシアとドイツを直接結ぶ新しいガスパイプライン)を中止しようとしませんでしたし、ウクライナへの軍事援助についても、ヘルメットを送る事でお茶を濁していました。

これはドイツがロシアの天然ガスに大きく依存していることもあったと思いますが、ショルツ首相はパイプライン案件を凍結するにとどまらず、ドイツの軍事支出を米国の要求に応じてGDPの2%まで増加することを決めた様です。

このドイツの様変わりについて、英誌Economistが「Pacifist no more - A big defence budget shows Germany has woken up」(平和主義は過去のもの - 大きな軍事支出へ舵を切ったドイツ)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

ドイツの戦後の平和主義は、かつてはその隣人やドイツ人自身にとって居心地の良いものでした。

しかし、ここにきて、その態度は変わりつつあります。

時代の動きに敏感なヨーロッパ人はずっと前にドイツを脅威と見なすことをやめました

それどころか、その受け身の外交政策は、プーチン氏のような侵略者に隙を与え、近年、大きな危険をもたらしています。

プーチン氏のウクライナへの侵略は、遂にドイツ人に安全保障を真剣に受け止めるよう促した様です。

ショルツ政権の最近の予算編成が明らかにしているように、ドイツはその責任を果たす準備を行おうとしています。

ドイツの新しい首相の任務は、その努力が持続的かつ効果的である事です。

 

3月16日にドイツの連立内閣に提示された予算には、1,000億ユーロ(約13兆円)相当の特別防衛基金を創設する法案が含まれていました。

これは、ドイツの防衛費をGDPの約1.5%から少なくとも2%に引き上げるために使用されます。

この基準は、NATO加盟国が満たすべき支出レベルですが、ドイツは一貫してこの基準に達していませんでした。

今回の措置でドイツは世界で3番目に大きな軍事支出国になるでしょう。

 

戦争が始まってから2日後の2月26日に発表された、ドイツの武器のウクライナへの輸出を許可するという決定も画期的でした。

以前は、ドイツは戦争地帯に武器を送ることを拒否しただけでなく、侵略の犠牲者を守るのを助けるためにさえ、ドイツの武器が第三国経由で戦争地帯に再輸出するのを禁止していました。

 

ドイツの強化された国防費は、有効に使われるならば、多くを達成するでしょう。

しかしこれまでは、ドイツの国防費の多くは退役軍人の年金や役人の給与に費やされ、飛行機や潜水艦には行き渡りませんでした。

戦争が始まった日、ドイツ軍トップは彼の軍が「十分装備されていない。」と不平を漏らしました。

ロシアと国境を接するNATO諸国は防衛される必要があり、この任務は米国に依存すべきではありません。

欧州は自助努力する必要があり、ドイツは適切に装備された戦闘部隊でその役割を果たすべきです。

 

ロシアはヨーロッパにとって最大の脅威であり、今後数年間はそうなるでしょう。

しかし、他にも安全保障上の課題があります。

バルカン半島はいつ再燃するかわかりません。

ヨーロッパの南には、サヘルを横切る不安定な弧があり、ロシアの傭兵が干渉しています。

英仏は、紛争地帯に軍隊を派遣することが多いですが、成功はまちまちでした。

彼らはドイツの援助を期待しています。

その規模と富を考えると、ドイツは主導的な役割を果たすべきです。

 

ショルツ氏のドイツの外交政策の変革は、防衛に留まりません。

ウクライナでの戦争は、彼がメルケルとその前任者であるシュレーダーから受け継いだエネルギー戦略の愚かさを露呈しました。

原子力発電を廃止し、ロシアとのパイプラインを推進する事で、ドイツはロシアの炭化水素に依存するようになり、結果的にプーチン氏の善意に依存するようになりました。

ショルツ氏は、緑の党の支援を受けて、ドイツのエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーのシェアを大幅に増やし、ガス供給を多様化しようとしています。

これには、遠くから液化天然ガスを処理するための新しいターミナルを建設することも含まれます。

しかし、詳細はまだ明らかにされていません。

 

新しい、より自律的なドイツは、ヨーロッパがロシアの脅威に立ち向かうのを助けるために必要なものです。

ヨーロッパの眠れる巨人を目覚めさせるのに戦争が必要だったのは残念です。

しかし、遅くなるよりはましです。

覚醒するドイツは再び脅威にならないか

上記Economistの記事を読むと、英国がドイツの軍事大国になることを期待している様ですが、本当に大丈夫でしょうか。

ご存知の通り、過去の二つの世界大戦はドイツが開戦の大きな原因となっています。

彼らが米中に次ぐ第三の軍事支出国(ロシアも上回る)事が確実視されますが、覚醒したドイツが危険な存在になる可能性はないのでしょうか。

英米の世界戦略はおそらくロシアとドイツを仲違いさせ、両者を疲弊させた上で、主敵である中国に対峙するというものでしょうが、彼らのシナリオ通りに物事が進むでしょうか。

ドイツの最新の世論調査では、ドイツがロシアに対して課した厳しい制裁に関して反対の声が若干ながら賛成を上回った様です。

ドイツの中には、ロシアと中国との関係をうまく維持したメルケル前首相のやり方に同調する人も多いものと思われます。

シュルツ首相の今後の舵取りに注目しましょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。