極端に低い出生率に悩む韓国
韓国では小型の犬を載せたベビーカーが日常風景の一部になっている様です。
韓国の出生率が世界でも最低水準であることは良く知られていますが、ベビーカーの販売台数を犬用のカートのそれが上回ったというニュースは人々を驚かせました。
何故韓国の若者たちは子供の代わりに犬を選んだのでしょうか。
この点について米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Soaring Sales of Dog Strollers」(犬用のカート販売が急増)と題した記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
WSJ記事要約
米国を含め、子どもがいない生活や子供を産むのをためらう傾向について、世界的な議論が巻き起こっている。
しかし、世界で最も出生率が低い富裕国である韓国では、この懸念が最も深刻かもしれない。
また、韓国ネット通販大手のGmarketによると、犬用カートの売り上げが昨年初めてベビーカーの売り上げを上回ったという。
そしてこの傾向は、今年上半期も続いた。
韓国の当局者たちはこの問題に不安を募らせている。
韓国は全国出生率が0.72、つまり人口維持に必要な水準のわずか3分の1という状況に直面している。
昨年の若者向け円卓会議で、現在の労働大臣であるキム・ムンス氏は、「私が心配しているのは、若者がお互いを愛さないことだ。その代わり、彼らは犬を愛し、連れて歩き、子供を作らない。」
左派少数党のメンバーはキム氏の発言に抗議し、ペットのせいにする前に、過酷な労働条件と低賃金について考えるべきだと述べた。
最近の地元世論調査では、20歳から49歳の韓国女性の2人に1人が、子供を持つことは不必要で経済的制約もあるとして、子供を持つつもりはないと答えた。
中央政府は若い世代にペットよりも子供を選ぶよう呼びかけている一方で、韓国の尹錫悦大統領は結婚しているが子供はおらず、犬と猫を少なくとも10匹飼っているのだ。
それでも、大統領は6月に韓国の出生率の低さをめぐって「人口統計上の国家非常事態」を宣言した。
彼は政府省庁に対し、「存在の危機」を避けるために出生率の急落を解決するよう求めた。
32歳のフリーランスウェブデザイナー、キム・ボラさんは、子供を持つことは考えていない。
彼女は、韓国は子育てには競争が激しすぎて費用がかかりすぎると考えている。
その代わり、彼女はペットの犬のために、犬用カートを改造した。
彼女の犬は冬はカイロ、夏はアイスパックを載せたカートに乗って贅沢に過ごしている。
乳幼児の数は減少しているが、韓国の登録犬の数は昨年、過去最高を記録し、2018年から2倍以上に増えた。
韓国を笑えない我が国の状況
犬用のカートの販売台数がベビーカーのそれを上回ったというのは驚きですね。
しかし韓国の問題は他人事ではありません。
日本の出生率も急速に低下しており、少子高齢化は顕在化しています。
東京はともかく地方に行けばそこには若者の姿がほとんど見当たらない事に驚かされます。
地域の経済は冷え込み、公共サービスの質は低下しています。
バスは運行を間引き、ゴミ捨ての回収も減らされます。
人口問題は日本の国力を低下させ、経済を疲弊させます。
年金問題を始めとした日本の深刻な社会問題の多くは、人口問題に原因がある事は明らかなのに、歴代の政権がまともな対策を講じてこなかった事に起因すると思います。
現在行われている自民党総裁選においても人口問題を主なテーマとして掲げ議論している人はいません。
若い人たちが犬猫ではなく子供を安心して育てていける社会を作ることが、日本の将来を明るくする一番重要な事だと思います。
自民党がこの問題を軽視していると、野田さんがこの問題を取り上げて、政権交代のテコにするかもしれませんね。
最後まで読んで頂き、有難うございました。