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大接戦のはずがあっさり終わった大統領選

トランプ大統領再選が世界に与える影響

トランプ氏とハリス氏の大統領選はあっけなくトランプ氏の圧勝に終わりました。

世界最強の権力者を決める選挙の結果は世界中の国に大きな影響を与えます。

BBCが「The view from countries where Trump's win really matters」(トランプの再選に大きく影響される国々の見解)と題した記事を掲載しました。

欧州と中国の見解について、かいつまんでご紹介したいと思います。

BBC記事要約

欧州の見解

ハンガリーの首相でありトランプ氏の同盟者であるオルバン氏は、喜びのメッセージを最初にFacebookに投稿した。「勝利は確実だ!」

しかし、他の多くのEU指導者にとって、トランプ氏の再登板は安全保障、貿易、気候変動に関する問題を引き起こす可能性がある。

フランスのマクロン大統領は、トランプ氏を祝福した数分後、ドイツのショルツ首相と「この新しい状況において、より団結し、より強く、より主権のあるヨーロッパ」に向けて取り組むことで合意したと述べた。

ポーランドとNATOのシコルスキ事務総長は、トランプ氏のトップチームと連絡を取り、「欧州は早急に安全保障の責任を取らなければならない」ことに同意したと述べた。

EUからの輸入品に対する米国の高関税の可能性も重くのしかかっている。

EU委員会のフォン・デア・ライエン委員長はトランプ氏を祝福したが、大西洋を越えた関係には「何百万もの雇用と何十億ドルもの貿易」がかかっていると指摘した。

中国の見解

中国はトランプ氏の復帰に備えており、同氏の大統領就任が新たな貿易戦争の引き金になるのではないかとの懸念がある。

トランプ大統領は過去に、3,000億ドル以上の中国輸入品に関税を課した。今回は関税が60%を超える可能性があると述べている。

北京は黙って見過ごすことはなく、報復するだろう。

しかし、中国経済はすでに悪化しており、2度目の長期貿易戦争に臨む気分にはなっていない。

しかし、権力と影響力をめぐる戦いにおいて、中国にチャンスがあると見ているアナリストもいる。

バイデン政権は過去4年間、韓国、日本、フィリピン、ベトナムなどアジア諸国との友好関係の構築に努めてきた。すべては中国封じ込めのためだ。

トランプ氏の「アメリカ第一主義」は、これらの米国同盟を孤立させ、弱体化させてきた。

彼は繊細な外交よりも取引を試みることを好み、しばしば米国の友好関係に値札を付ける。

2018年、彼は韓国に米軍の駐留を継続するためにさらなる資金を要求した。

間違いなく、中国は米国主導の世界秩序に挑戦したいのだ。

中国はすでに、いわゆるグローバル・サウスの新興経済国と同盟関係を築いている。

アジアや世界中でワシントンの影響力が低下した場合、それは習主席にとって勝利となる可能性がある。

当選予測を完全に外した西側メディア

それにしても今回の大統領選結果予測においてBBCを含む欧米の主要メディアは完全に読みを外しました。

史上最も激しい接戦を彼らは予想していましたが、蓋を開けてみればトランプ氏の一方的な勝利に終わりました。

これは英米の主なマスコミも日本の大手メディアも相当にバイアスがかかっている事を示しています。

明らかにトランプ氏の勝利確実なのにもかかわらず、Fox News以外の米国メディアは翌日まで当確を持ち越しましたし、日本のメディアも右に倣えで、トランプ氏の当確が決まった後のスタジオはお通夜の様な状態で、皆失望した様子がありありでした。

私はトランプ氏が道徳性の高い人間とは決して思いませんが、政治家に必要なのは結果を出す事ですので、結果で彼を評価すべきでしょう。

彼が今回勝った理由は彼が一言で大衆の心を掴む術を心得ているからだと思います。

「4年前に比べて暮らし向きは良くなっていますか。」この単純なフレーズを繰り返す事でインフレに悩む中低所得層の人たちを共和党支持に変えていきました。

今回の選挙で注目すべきはトランプ氏により、政党の支持層が変わり、共和党の票田が大きく膨らんだ事ではないかと思います。

トラック運転手労組など大手の労働組合が今回はどちらの候補にも支持を表明しませんでした。

労組は伝統的に民主党の支持基盤であると私も理解していましたが、今回の選挙はその常識を覆しました。

2016年の大統領選でトランプ氏は大卒のエリート層に反感を持つ非大卒の白人労働者に支持を拡大することにより当選したと言われますが、今回はそれだけでなく、スパニッシュ系や黒人にもその支持を広げた様です。

民主党は多様性に配慮し高尚なビジョンを掲げていますが、実際はエリート支配であり、低所得者には目をかけていないと愛想を尽かされたのではないかと思います。

労組の離反はこれを象徴する出来事でした。

このまま行くと民主党はその票田をどんどん共和党に侵食されていく可能性があります。

大統領選だけでなく、上院下院も共和党多数となりそうですので、民主党はここで作戦をしっかり練り直す必要がありそうですね。

トランプ氏はこれからどの様な外交政策を取るのでしょうか。

アメリカファーストがけしからんという方もいらっしゃいますが、自国の国益を追求するのは当たり前ですから、これは批判の対象にはならないと思います。

これまで米国におんぶに抱っこで来れたのは運が良かったので、これからは米国にただノリするのは許されなくなるでしょう。

米国は世界で唯一他国に依存せずに経済がまわる国ですから、その気になれば国境に蓋をして鎖国だって出来ます。

 

それにしても心配なのは石破首相ですね。

たった5分の電話(通訳入れると実質2分)で「フレンドリーな方だ。本音で話ができそうだ。」との感想を漏らされていますが、そんな短い会話で判断出来るわけがありません。

トランプ氏はディールが好きと言われています。

という事は交渉相手はその場で決断しないといけません。

少数与党に追い込まれた石破首相、党内基盤も弱いとなれば丁々発止トランプ氏と交渉ができません。

難しい交渉になりそうです。

 

最後まで読んで頂き有難うございました。