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エコノミスト誌から選ばれたシリア

難民が母国に帰り始めたシリア

今年も英誌エコノミスト「カントリー・オブ・ザ・イヤー」を発表しました。何と選ばれたのはシリアです。

日本のメディアが同様の企画をすれば、遠い中東のシリアが選ばれることはないと思いますが、やはり欧州にとって中東は身近な存在なのでしょう。

著者がしばしば滞在するトルコにとってシリアは隣国であり、つい最近まで350万人に及ぶ難民がシリアからトルコに押し寄せ、長期間滞在していました。

多くのシリア人は着の身着のままトルコに逃げてきたのですが、そんなシリア人をトルコ人は持ち前の寛容さで受け入れました。

シリア人難民は医療も教育も無償で与えられ、数年間に及ぶ難民生活をトルコで無事に送る事が出来たのです。

知り合いのトルコ人の多くは彼らの払う税金でシリア人が暮らしていることに不満は持っていましたが、やはり根っこはイスラム教徒なのですね。

困った人には手を差し伸べる精神の持ち主でした。
エコノミストの記事をかいつまんでご紹介したいと思います。

エコノミスト記事要約

『エコノミスト』誌は、2025年の「カントリー・オブ・ザ・イヤー」にシリアを選出しました。

この賞は、単に富や力を持つ国ではなく、過去1年間で最も状況が改善し、世界に希望や教訓を与えた国に贈られるものです。

2025年、シリアは50年以上にわたる独裁政権の終焉と、13年におよぶ凄惨な内戦からの脱却という、歴史的な転換を遂げました。

選出の背景:独裁政権の崩壊と「解放」

選出の最大の要因は、2024年末に起きたバシャール・アル=アサド政権の崩壊です。

化学兵器の使用や凄惨な拷問、国家規模の麻薬ビジネス(カプタゴン)で悪名高かった独裁体制が崩れたことは、シリア国民にとって数十年ぶりの自由を意味しました。

2025年は、この「解放」後の混沌を乗り越え、国家再建の第一歩を記した年として評価されました。

社会的・経済的進歩

2025年における具体的な改善点として以下の要素が挙げられます。


「恐怖」からの解放: かつて国民を支配していた治安機関による監視や拷問の恐怖が消え、表現の自由や社会的自由が飛躍的に向上しました。

 

難民の帰還: 治安の回復と希望の兆しにより、周辺国から約300万人もの難民が自発的に帰還しました。

これは新体制に対する国民の信頼の証と見なされています。

 

制裁の解除と経済再建: アフマド・アル=シャラア氏率いる暫定政権の外交努力により、米国の「シーザー法」を含む国際的な経済制裁が緩和・撤廃されました。

これにより、インフラ復旧に向けた外国投資が始まり、経済は緩やかな回復軌道に乗り出しています。

他国との比較

最終候補には、大胆な経済改革を進めたアルゼンチン(次点)や、民主主義を守り抜いた韓国、ポーランド、ブラジルなどが挙がっていました。

しかし、シリアが経験した「地獄からの生還」とも言える劇的な変化の規模は、他のどの国をも圧倒しました。

依然として残る課題と教訓

もちろん、課題は山積しています。

沿岸部での武装勢力による暴力や、行政機能の脆弱さ、部族・地域間の対立など、依然として不安定な要素は残っています。

しかし、完璧ではないにせよ、シリアの人々が「ごく普通の日常生活」を取り戻しつつあること自体が奇跡的です。

今後の課題

アサド政権の崩壊は、単なる内部崩壊ではなく、支えを失った構造的帰結と言えます。ウクライナ侵攻の長期化により、ロシアという最大の「後ろ盾」がシリアに割くリソースを失ったことが、地政学的なパワーバランスを決定的に変えました。

しかし、将来的にロシアが余裕を取り戻せば、中東の橋頭堡であるシリアへの再介入は十分にあり得る懸念材料です。

また、隣国イスラエルの動向も無視できません。

イランの影響力を排除したイスラエルにとって、理想は「強固な隣国」ではなく「分断された脆弱な隣国」です。

彼らの介入が復興の足かせとなるリスクは常に孕んでいます。

一方、驚くべきは、新政権が示す「寛容さ」という変化です。

過去の経緯から不安視されていたリーダーが、今、多様性を認める統治へと踏み出している。これがシリアの人々が待ち望んだ「真の夜明け」であると信じたい。

近隣諸国のエゴに翻弄されることなく、シリアが「自由で寛容な国」として自立していく。その困難な道のりを、どうかうまく泳ぎ抜いてほしい。切にそう願います。

 

最後まで読んで頂き有難うございました。