MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

相続税のない中国で拡大する経済格差

世襲エリート層の増大

中国は失われた30年を経験した日本を尻目に驚くべき経済成長を遂げました。

今や米国の世界覇権を脅かすのは中国と誰もが認める存在となった訳ですが、そんな中国では意外な社会問題が生じている様です。

それは今後起きる資産相続の問題です。

この点について英誌Economistが「China’s hereditary elite is taking shape - The Communist Party is afraid to tax inherited wealth」(増大する中国の世襲エリート層 - 世襲財産への課税を恐れる中国共産党)と題する記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist誌記事要約

中国はこの50年で、貧しい社会から巨額の富を生み出す国へと変わった。

しかし今、私が重要だと感じるのは、その富が次の世代にどう受け継がれるかという問題だ。

これから中国では、近代史上はじめて大規模な資産相続が起きる

その結果、格差がさらに広がり、富裕層の特権が固定され、社会の不満が強まるおそれがある。

1978年には平均的な世帯資産は現在価値で1500ドルほどしかなかったが、今では約17万ドルに達している。

ただし、その富は一部に集中しており、上位10%が民間資産の約70%を持つ

しかもその富裕層は高齢化しており、今後その資産が子どもたちへ一気に移る可能性が高い。

中国で特有な点は、この相続社会がまだ新しいことだ。

1990年代に住宅所有が広がり、同時に企業ブームで多くの富豪が生まれた。

つまり、いま老いているのは「富を築いた第一世代」であり、これから「受け継ぐ第二世代」が本格的に登場する。

また一人っ子政策のため、都市部では両親の資産が一人の子に集中しやすい。

富裕層同士の結婚を後押しする仕組みまで現れ、資産の集中はさらに強まっている。

私には、対策は極端なものではなくてもよいように見える。

相続税や固定資産税、資本課税を整えればよいのに、中国はそこに踏み込めていない。

政府は成長への悪影響や資産流出を心配するが、それ以上に恐れているのは、資産の透明化によって腐敗や特権の実態が明るみに出ることなのだろう。

結局、この問題でいちばん深刻だと思われるのは、中国が「努力でのし上がれる社会」から、「生まれで差が決まる社会」へ変わりかねない点である。

対策を先送りすれば、将来の中国には、幻滅した大衆の上に世襲の富裕層が居座る構図が定着してしまう。

相続税のない中国

中国に相続税がない事を知りませんでした。

共産主義の基本は国民は私有財産を持たず、富を等しく分け合うと学校時代教わりましたが、中国の場合こんな制度はとうの昔にお払い箱になり、1990年代に住宅私有が認められてからというもの、国民は財産をせっせせっせと溜め込んで来た訳です。

これは国民の勤労意欲を引き出す上ではプラスに働きました。

当然ですよね。

マイホームを持ち、家族に少しでも良い生活を送らせるというのは人間の自然な感情です。

結果的にこの富への渇望が中国を経済大国にしたと言えるでしょう。

一方でこれは大きな経済格差を生む事になりました。

外国で高額不動産を買い漁る大金持ちを生み出す一方で、多くの中国人は貧しいままです。

相続税がない中国では富の再分配を行うこともできません。

既に貧富の格差を測るジニ係数では西側諸国を上回る貧富の差があると言われる中国は今後この問題をどう解決するのでしょうか。

相続税を課す事が最も手っ取り早い解決法の様に思われますが、これは個人の資産を明るみに晒す事になるので、二の足を踏む可能性があります。

中国では所得税を払っているのは国民のわずか2%だそうですので、相続税が無い事も相俟って、金持ちにはまさにタックスヘイブンと言えるでしょう。

共同富裕を目指す中国政府は国民の大部分を占める貧困層の支持を維持する上で難しい判断を迫られそうです。

 

最後まで読んで頂き有難うございました。