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いよいよアフリカの時代は到来するか

TICADで高まったアフリカへの関心

今年の8月日本政府が主催するTICADが横浜で開かれ、多くのアフリカの首脳が日本を訪れたため、話題になりました。

次はアフリカの時代が来ると言われ続けてかなり経ちますが、この巨大な大陸が目を覚ます日は来るのでしょうか。

米誌Foreieng Affairsが「The New African Order - How Nigeria and South Africa Can Lead the Continent to Prosperity and Stability」(新しいアフリカの体制 - ナイジェリアと南アはアフリカに繁栄と安定をもたらせるか)と題した論文を掲載しました。

著者のAmaka Ankuはユーラシアグループのアフリカ代表です。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Affairs論文要約

トランプ政権が第二次世界大戦後のリベラルな国際秩序を揺るがす中、アフリカ諸国にとってその変化が機会となるという見方がある。

民主主義や統治の質よりも取引重視の世界では、政治的条件なしに投資や貿易を得られる可能性があるからだ。

しかし、実際には「力がものを言う」取引主義の国際環境は、経済的影響力の小さいアフリカ諸国にとって危険である。

世界人口の約2割を抱えながら経済活動はわずか5%にすぎないアフリカが、この新秩序で生き残るには、国家間の協調によって交渉力を高める必要がある。

アフリカ統合は容易ではないが前例はある。

1950~70年代、植民地独立運動の時代には「アフリカの解放」という道徳的目的が各国を結束させ、ガーナのエンクルマらの主導で1963年にはアフリカ統一機構(OAU)が設立された。

この精神は独立支援や国際的世論形成に大きく貢献した。

しかし今日の取引的な時代には、理念よりも共通の経済利益が統合の原動力となる。

アフリカ最大の経済規模を持つナイジェリアと南アが連携すれば、大陸の大部分をまとめる経済的・文化的・外交的な力を発揮できる。

協調によって貿易交渉でより多くの譲歩を引き出し、世界の貿易ルール形成にも発言力を高められる。

ナイジェリアは2億3千万人を超える人口とアフロビーツ音楽やナイジェリア映画などの文化的影響力を持つ。

一方、南アは高度な金融市場と産業基盤を有し、G20やBRICSの初期メンバーとして国際的地位も高い。

2000年代初頭、両国は「アフリカの問題はアフリカで解決する」という理念のもと、OAUを発展的に改組してアフリカ連合(AU)を創設した。

しかしその後、両国とも国内経済の停滞に苦しみ、統合の牽引役を果たせなくなった。

南アは2008年以降の低成長で不平等と不満が拡大し、ナイジェリアは宗教・民族対立の激化で安定維持に追われた。

その結果、AUは求心力を失い、地域問題への影響力が低下した。

だが、トランプ政権の保護主義的な通商政策は、逆にアフリカ諸国に地域連携の必要性を再認識させた。

米国の関税引き上げを受け、南アのラマポーザ大統領は代替市場を求めてナイジェリアとの経済協力を強化。

両国の企業は鉱業や製造業で協力を模索し、アフリカ域内貿易の拡大が産業化の鍵になると一致した。

ナイジェリアと南アはアフリカ経済の約3分の1を占め、両国企業は通信、金融、小売などで大陸に展開している。

統合市場が実現すれば、生産規模の拡大とコスト削減が可能となり、消費者にも恩恵が及ぶ。

両国にとって経済成長は喫緊の課題である。

2050年に世界第3の人口国となるナイジェリアは毎年300万人が労働市場に参入し、産業化を進めなければ大量失業と社会不安が懸念される。

南アも民主化30年を経ても経済格差が残り、停滞が続けば急進的政治運動が台頭しかねない。

したがって、両国の繁栄と地域安定のためにも協調は不可欠である。

まずは外交面での相互支持を強化すべきだ。

ナイジェリアは南アの土地改革政策への支持を明確にし、南アはナイジェリアの国際的地位向上(G20・BRICS加盟)を後押しする必要がある。

さらに、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の実効化を両国が主導することが重要だ。

現在、加盟54か国・人口14億人・市場規模3.4兆ドルを誇るが、生産性やインフラ不足で取引は限定的にとどまる。

規制の標準化や産業政策の調整を進めれば、域内貿易の活性化と外資誘致につながるだろう。

将来的には、エジプト、モロッコ、アルジェリアなど他の主要国も巻き込み、大陸規模の連携を深化させるべきである。

ナイジェリアと南アが互いの補完的強みを認識し、共に行動すれば、アフリカは新しい時代の主導権を握ることができるだろう。

育つナイジェリア人人材

先日ナイジェリアのビジネスマンと東京で親しくお話しする機会がありました。

その方はイスラム教徒で、「礼拝したいのでモスクに連れて行ってもらえないか」」といきなり頼まれて驚かされました。

調べてみるとナイジェリアの人口の約半分の1億人はイスラム教徒なんですね。

トルコ人と付き合いの深い私は渋谷にモスクがある事を知っていましたので、お連れすると大変喜ばれました。

彼はアメリカの大学院を出た教養に溢れたビジネスマンでしたが、多くのナイジェリアの若者が欧米の大学で勉強しており、米国のMBAなどでも一大外国人勢力になっているとの事でした。

経済成長するには何よりも人材が必要ですので、ナイジェリアの成長の可能性を感じました。

それにしても、アフリカの人口の伸びはすごいですね。

2050年には25億人を超え、世界の人口の4分の1はアフリカ人になると言われていますが、それより驚かされるのはその若さです。

ナイジェリアの中位人口は17歳です。

わかりやすく言えば、人口の半分が17歳以下という事です。

若いと言われるトルコでも33歳、日本は49歳ですから圧倒的な若さです。

人口の伸び、若さと都市化の急激な進展は急速な経済発展を可能にします。

20代の頃、一時アルジェリアに駐在した経験のある筆者ですが、当時からアフリカの時代が来るといわれていました。

しかし、なかなか覚醒しなかったアフリカ、いよいよ目を覚ます時が訪れようとしています。

 

最後まで読んで頂き有り難うございました。