高まるBRICSの存在感
先日BRICSが南アでサミットを開き、新たに6カ国の加盟が発表されました。
新たな加盟国とはエジプト、エチオピア、イラン、サウジ、UAE、アルゼンチンです。
これら新加盟国を合わせるとBRiCSは世界人口の47%に達し、GDPでは36%を占めるに至った様です。
このグループは西側の支配体制に異を唱える集団として、益々存在感を高めています。
世界ではこんな地殻変動が起きているのに、西側のマスコミは我が国も含めて、このニュースをあまり大きく取り上げません。
どうも最近西側のメディアは聞きたく無いニュースには耳を塞ぐ傾向がある様です。
そんな中、米誌Foreign Policyが「BRICS Invites Six New Countries to Join the Bloc -
Expansion of the economic alliance furthers its efforts to counter Western dominance.」(BRICSが新たな6カ国をブロックに招待 - 経済同盟の拡大により、西側の支配に対抗する取り組みがさらに強化)と題する記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Foreign Policy記事要約
今週の地政学的に最も重要なニュースはBRICSの拡大です。
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカからなる経済圏)は木曜日、新たに6か国を参加国に招待し、ヨハネスブルグでの3日間の首脳会議を成功裡に終えました。
2024 年 1 月 以降、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦はすべて、履歴書に BRICS メンバーを追加できるようになります。
この動きは同組織にとって歴史的な決定であり、G7、国際通貨基金、世界銀行など西側主導の機関に対する対抗勢力としての立場をさらに強固にし、将来の拡大の可能性への道を開くものです。
南アフリカのラマポーザ大統領は、「BRICSは、公平な世界、公正な世界、包摂的で豊かな世界を構築する取り組みにおいて、新たな章に乗り出した」と述べました。
しかし、参加に関心を示した40カ国以上の中からなぜこれら6カ国が選ばれたのかは複雑です。
ブラジルとインド両国は当初、米国との関係を傷つける可能性があるとして、ブロック拡大に躊躇を表明していました。
UAEやサウジアラビアなどの国々が参加することで、こうした懸念が和らぎました。
ペルシャ湾岸の両国は米国政府と緊密なパートナー関係にあり、国境内に米軍を駐留させています。
これらをBRICSに加えることで、このブロックに加盟するには反米である必要が無いことを示すことになるでしょう。
サウジアラビアはまだBRICSに参加するかどうか公式には確認しておらず、加盟に必要な条件についてさらなる詳細を待ちたいと述べています。
サウジアラビアの加盟は他の意味でも重要となるでしょう。
サウジがBRICSに加わることで、この経済圏には世界最大の石油輸出国であると同時に最大の石油輸入国である中国、そしてもう1つの主要なOPECプラス加盟国であるロシアが加わることになります。
そうなれば、世界市場に多大な影響を与える可能性のある石油生産の決定に関する協力関係の強化につながる可能性が高まります。
しかし、BRICSが米国に友好的な2カ国を仲間に加えるからといって、西側諸国に対する防波堤として機能するという目標を放棄するわけではありません。
イランは米国にとって断然の敵です。
BRICSへの加盟はイランの世界的な孤立を軽減し、それによってイランの核開発計画など将来の米国との交渉において米国に対するイランの影響力を増大させるでしょう。
アフリカからはエジプトとエチオピアが追加されます。
米国、ロシア、中国がアフリカ大陸への足がかりを求めて争っているため、BRICS加盟を目指す人々の間で最大の関心がアフリカ大陸に寄せられています。
BRICSにとって、エジプトとエチオピアの加盟を確保することは、経済救済では中国に、武器取引ではロシアにますます依存する地域における西側の影響力を弱めることになります。
両国はまた、BRICSの不干渉政策の下で利益を得ることができ、人権侵害の告発を政府はうまく交わす事が出来る様になります。
最後に、ラテンアメリカで唯一メンバーシップへの招待を勝ち取ったのはアルゼンチンです。
特にアルゼンチンが米ドル外貨準備の減少に苦しんでいる中、新開発銀行によるBRICS支援が同国の財政危機の悪化を後押しすることを同国は期待しています。
BRICS加盟国はサミットの大半を、貿易で米ドルの代わりに自国通貨や中国人民元を使用するなど、発展途上国の経済を支援する方法について議論することに費やしました。
増大する反西側勢力
注目すべきは今回正式に招待された6カ国以外にも多くの国々がBRICSに参加を希望している事です。
正式に参加を表明した国だけでも22カ国(今回正式に加盟が認められた6カ国を含む)に上ると言われています。
これは何を示しているかというと、西側の主張する価値観に異を唱える国が多くなっているという事でしょう。
我が国も含めて西側諸国はすぐに法の支配や自由競争を持ち出しますが、そのルール自体が西側が作ったもので公平では無いとグローバルサウスの国々は感じているものと思われます。
経済制裁で痛い目にあい、経済破綻に陥れば、世界銀行の管理下で締め上げられてきた国々はもはや西側の言う法の支配など信用していないのでしょう。
この流れは止まりそうもありません。
上記Forein Policyの記事では、サウジが親米の国として描かれていますが、米国の強い反対を受けながらもイランとよりを戻したサウジはもはや米国の言うことを聞く国ではないと思います。
今後BRICS加盟国間でドル以外の通貨を積極的に貿易に使用することになると思います。
ドル覇権が崩れるかどうかが勝負の分かれ目になるものと思います。
我が国もアジアで唯一G7に入れてもらって浮かれている場合ではなさそうです。
自国の国益を真剣に考え直す時期に来ているのではないでしょうか。
最後まで読んで頂き、有難うございました。