IOT時代のサイバー攻撃
全てがインターネットに繋がる(IOT)時代が到来しましたが、これは人々の生活を豊かにする一面もありますが、サイバー攻撃にさらされるリスクもあります。
今やサイバー攻撃の対象は相手の軍事施設にとどまりません。
鉄道や発電所といった重要インフラも対象となっています。
新幹線の管制システムに敵が進入すれば、パニックを起こさせることが可能です。
発電所の制御システムにハッカーが侵入すれば、大規模停電を起こすことも可能です。
インターネットに繋がるというのはこういうリスクもはらんでいます。
そんな中、英誌Economistが「A new global ranking of cyber-power throws up some surprises」(サイバーパワーの最新世界ランキング意外な結果も)と題して記事を発表しましたので、ご紹介したいと思います。
Economist記事要約
世界の国々の中で、誰が最もサイバー能力が高いでしょうか?
ハーバード大学のベルファーセンターによるNational Cyber Power Indexは、30か国をランク付けしています。
攻撃的なサイバーパワー(コンピューターネットワーク内またはコンピューターネットワークを介して害を及ぼす能力)は、1つの指標です。
そして、防御の強さ、サイバーセキュリティ業界の高度化、宣伝と拡散への対応能力ももう一つの重要な指標です(図を参照)。
アメリカがリストのトップに立っていることは驚くべきことではありません。
2020年度のサイバーセキュリティ予算は170億ドル(1兆8千億円)を超え、その情報セキュリティ機関である国家安全保障局(NSA)の予算は100億ドルをはるかに超えています。
アメリカのデジタルスパイ活動の驚異的な規模は、2013年に元NSAの請負業者であるスノーデンによって漏洩されました。
中国は2位であり、海外での活発な産業スパイ活動と、国内インターネットの強力な検閲を示しています。
英国の国家サイバーセキュリティセンターは、2016年の創設以来、1800件を超えるサイバー攻撃を回避しており、3位につけています。
前回の米国大統領選挙を妨害したロシアは4位です。
大きな驚きは、オランダがフランス、ドイツ、カナダを抑えて5位につけていることです。
マルウェアの分析におけるオランダの専門知識は特に鋭い、と専門家は述べています。
オランダ警察は、オンライン犯罪者を逮捕することに長けていることを証明しています。
また、2014年には、オランダの諜報機関で働いているハッカーが、ロシア諜報機関であるSVRのコンピューターネットワークに侵入し、ビルの警備用カメラを利用して、アメリカ国務省がハッキングされた様子を監視することに成功しました。
サイバー能力の測定には困難が伴います。
多くの専門家は、その卓越したハッキング能力にかかわらず、イスラエルの順位が低い事に戸惑っています。
イスラエルの秘密主義が今回のランキングに影響したのかも知れません。
アメリカとイギリスは、ロシアと中国への警告として、テロリスト組織、イスラム国家のネットワークを破壊した事を誇示しましたが、多くの国は自国の能力を秘密のベールで覆っています。
シンクタンクである国際戦略研究所(IISS)のサイバーパワーに関する研究では、長期的に最も重要なのはモバイル通信や主要アプリを実行するデジタルインフラストラクチャの制御であると結論づけています。
その観点から見れば、中国だけが首位の米国を脅かす存在です。
個人もターゲットにするサイバー攻撃
サイバー攻撃と言うものは敵国をターゲットにするだけではありません。個人や企業も狙われています。
皆さんのパソコンやスマホも狙われています。
ゆうちょ銀行から不正にお金が送金された事件も怖いですね。
ハッカーはなりすましの技術を磨いていますので、ちょっと油断すればあなたの財産は持っていかれます。
コロナの影響で自宅で会社のパソコンを使っておられる方も多いと思いますが、脆弱な自宅のファイアウオールを産業スパイは見逃しません。
あなたのパソコンから侵入して、会社の企業秘密を盗み出そうと虎視淡々と狙っています。
政治の面でも民主主義はハッカーの攻撃にさらされています。
TikTokを通じて共和党の選挙集会に大量の空予約を行い、集会をがらがらにさせた事件が今年起きました。
首謀者が、集会を妨害する意図を持っていた事は明らかですが、彼らは罪に問われていません。
SNSを通じた選挙工作は立件が非常に難しいのです。
例えばFacebookが大統領選でどちらの候補に票を入れるか迷っている人を対象に、ある政党のCMを集中的に流す様にアルゴリズムを操作すれば、世論の操作は簡単にできてしまいます。
中国やロシアが米国のSNSを操作できる様になれば、米国大統領は外国政府が決める様な時代がきてもおかしくありません。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。