ベーブルースとの比較
大谷選手の話題は今や日本のお茶の間を占領していると言っても過言ではないと思います。
野球の本場MLBで、多くの人がそんな事できるわけないと予測していた投打の二刀流を完璧にやってのけ、ホームラン数ではトップを快走中です。
二刀流を高いレベルで実証した大谷選手を野球の神様ベーブルースに例える人も出てきていますが、中にはベーブルースの比ではない、ルースより遥かに上であるとの論評が米国で見られる様になってきました。
米誌ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Angel’s Star Shohei Ohtani Isn’t the Best Two-Way Player Since Babe Ruth. He’s Better.」
(エンゼルスのスター大谷はベーブルース以来の二刀流のベストプレイヤーではない。ルースを上回っている。」と題した記事を掲載しました。
米国の一流紙が大谷選手を激賞しているこの記事、日本人にとっては嬉しい限りですが、なるほどと思える内容です。
かいつまんでご紹介したいと思います。
WSJ記事要約
デンバー—大谷翔平が2018年にエンゼルスに入団ししたとき、彼はすぐに「日本のベーブルース」と騒がれました。
その後、彼がアメリカのスポーツ史の中で最も偉大な人物の一人と比較されることは、極めて不公平だったかもしれないことがわかりました。
大谷がやっていることははるかに衝撃的です。
マウンドではノーラン・ライアン級の速球を投げ込み、打者としてはケン・グリフィー・ジュニア並みの破壊力を持ち、投打の二刀流センセーションを巻き起こしている大谷は、シーズン前半を終了しました。
とんでもないシーズンになる可能性があります。
現在、大谷は33本塁打でメジャーリーグのトップを走っています。ホームランの内5本は450フィート(約137メートル)以上の飛距離を記録しました。
彼の長打率.698はメジャートップで、12の盗塁を記録しています。
彼はそのすべてを達成し、同時にエンゼルスのエースとしての地位も確立しました。
彼は13回先発を任され、3.49の防御率を記録しています。
これは、先月のヤンキースとの対戦での初回の大量失点がなければ、ほぼ1ポイント低くなった事でしょう。
彼は67イニングで87打者、つまり9イニングあたり11.7人の打者から三振を奪いました。
彼の速球の平均球速は95.5マイル(約154キロ)を記録しています。
大谷は投手と打者の両方でオールスターに選ばれた史上初の選手となりました。
この水準の成績をあと数カ月継続することができれば、常識を打ち破る大谷の活躍は野球で可能だと思われていたことをすっかり変えてしまう可能性があります。
このようなことは伝説のベーブルースさえ今まで成しえなかった事です。
MLBの公式歴史家であるジョンソーンは言いました。 「100マイルの速球とホームランの組み合わせは前例のないものだ。」
大谷が登場する以前には、プロのレベルで打ったり投球したりできる選手はいなかったので、ルースは二刀流の代表的な例と見なされていました。
従来の常識では、5日ごとのピッチングの間に打者としてプレーする事は、心身に大きな負担をかけると言われていました。
現実には、その理屈はルースにも当てはまりました。
ルースは、実は、ほとんど二刀流のプレーヤーではありませんでした。
ルースはボストン・レッドソックスで左利きのスター投手としてキャリアをスタートさせました。
特に1916年と1917年には、47勝を挙げ、650イニングで防御率1.88を記録しました。
しかし、ルースが投手として持っていたのと同じくらい打者としても才能があることが、すぐに明らかになりました。
1917年には123打席で打率3割2分5厘を記録し、この頃から、ルースの投手としての出番は少なくなっていきました。
1919年に彼は野手として111試合、投手としてわずか15試合にしか先発しませんでした。
二刀流の試みはここまででした。
ヤンキースは1920年にルースを獲得しましたが、その後の16シーズンで投手としての出場は5回にとどまっています。
仮にルースが二刀流で活躍できるほどの投手だったとしても、肉体的にそれが可能だったか、本人も定かではありませんでした。
ルースは1918年、米誌「ベースボール・マガジン」とのインタビューで「決まった間隔で投手を務め、それ以外の試合では他のポジションでプレーし、毎年そのペースを維持できる人間はいないと思う」と発言しています。
ルースが100年前に予言したように、大谷に負傷の心配はつきまといます。
彼は2018年の米シーズン1年目に肘の手術を受け、実質的に2シーズンはマウンドに上がることができませんでした。
だが、大谷はあきらめませんでした。
そして、野球界で最も大きな話題を集める存在となりました。
大谷は日本のベーブ・ルースではありません。最初の「ショウヘイ・オオタニ」であり、唯一無二の存在です。
唯一無二の存在
確かに、ベーブルースの時代と現在では野球のレベルが格段に違い、二刀流の難易度も遥かに高まっていると推測するのが自然です。
ルースの時代には90マイルを投げる投手さえ存在しなかったでしょうし、打者の力量も遥かに劣っていたことでしょう。
そんな高度に分業化された野球界で二刀流を完璧にこなしている大谷選手はやはり唯一無二の存在なのでしょう。
日本だけでなく世界中の多くの野球少年に夢を与える大谷選手。今や日本の顔とも言って良い存在です。
スポーツ好きの米国人と仲良くなりたかったら、今や大谷選手の話をするのが手っ取り早いかもしれません。
大谷選手はグラウンドに落ちているゴミを拾ったり、飛んできた折れたバットを打者に手渡したり、なんてマナーが良いのかと思うほど素晴らしい青年です。
彼がこれから怪我をせず、メジャーリーグに旋風を巻き起こし、多くの記録を作ってくれる事を心より祈っています。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。