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ドーピングで制裁を受けた筈のロシア選手がオリンピックに参加している理由

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ロシア選手の活躍

火曜日の体操男子団体戦は大接戦でした。

最後の種目までもつれこみ、僅差でROCが日本を上回り、金メダルを獲得しました。

ところでROCって何でしょうか。最初この名前を聞いたときは、最初のRはRefugeeで難民代表団を示しているのかと思いましたが、正しくはRussian Olympic Committeeの略でした。要するにロシア選手団です。

しかしロシアはドーピングに組織的に関与していた事から、オリンピックの様な国際的な大会への参加を禁止されていた筈です。

何故彼らは東京オリンピックに参加を許されたのでしょうか。

英誌Economistが​​「Why are Russian athletes competing at the Tokyo Olympics despite the country’s ban?」ロシアは公式協議参加を禁止されているのに東京オリンピックに何故ロシア人アスリートは参加しているのか)と題した記事でこの問いに答えています。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

公式には、ロシアは以前のドーピング違反をめぐって東京大会に参加する事を禁じられています。

しかし、ロシアからの335人のアスリートのチームが「ROC」の名前で参加し、たくさんのメダルを獲得しています。

ロシアはドーピング防止法に繰り返し違反してきました。ルールは十分に厳しいでしょうか?

 

2010年にバンクーバーで開催された冬季オリンピックで、ロシアは15個のメダルを獲得し、11位になりました。

4年後、ロシアのリゾート地ソチでは、30個のメダルを獲得し、一位になりました。

これはホームアドバンテージにもよりますが、ロシアのアスリートは、国が後援する広範なドーピングプログラムのお陰で、後押しを受けました。

2016年、国のドーピング防止研究所の所長を務めていた化学者のグリゴリー ロドチェンコフは、彼と彼のチームが、シーバスリーガルウイスキーに溶かした「公爵夫人」と呼ばれる非常に効果的なステロイドカクテルを開発した事を明らかにしました。

いくつかの大会で、当局者はドーピングを行ったアスリートからの尿サンプルをスパイによって供給されたきれいなものと交換しました。

ソチ大会では、スポーツ省と警備員が選手村内の隠し部屋を使って切り替えを行いました。 (現在アメリカで保護されているロドチェンコフ氏は、彼の関与についての興味深い回想録を発表しました。)

これらの詳細は、2016年のリオデジャネイロ大会で発表されました。

国際オリンピック委員会(IOC)は、全てのスポーツの大会からロシア選手を締め出す事を一括で決定するのではなく、各スポーツの国際団体に、ロシア選手をボイコットするかどうか決めさせました。

その結果、重量挙げと陸上競技の2つだけが完全な禁止を行い、ほとんどの場合、資格があると思われるすべてのロシア人が参加することを許可しました。

失敗はこれだけに止まりません。

2018年、世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は、分析のために検査と情報のデータベースを引き渡すようロシアに要求しました。

しかし、データが改ざんされました。

15,000を超えるファイルとフォルダーが削除されました。

これに応じて、WADAは2019年に4年間、ロシアの国際スポーツ競技会への参加を禁止しました。

しかし、この罰は、裁判所の訴えにより半分に削減されました。 

 

スポーツ当局がロシアを完全に孤立させなかった理由はいくつかあります。

第一に、無実のアスリートを罰することへの恐れです。

ロシアのドーピングは広範囲に及んでいますが、普遍的ではありません。

第二に、この国は、特にオリンピックにおいて、重要な国です。

2018年のサッカーワールドカップなど、一流の大会を主催するのにお金がかかります。

また、国営のロシア企業、特にガスプロムは、多くのスポーツトーナメントの有力なスポンサーです。

WADAとIOCは、大きな市場を失うがその価値を維持するか、お金を稼ぐが評判を損なうリスクを冒すかという選択に直面しました。

彼らはお金を選択しました。

ROCチームは競技の最初の5日間で19個のメダルを獲得しましたが、国際的な信頼を取り戻すにはかなり長い時間がかかるでしょう。

ドーピングの脅威

ロシアの選手全てがドーピングを行っている訳ではないと思いますが、ロシアには旧ソ連時代からドービングを組織的に行ってきた過去があります。

ドーピングには興味深い事実があります。

陸上の女子の記録には1980年代の世界記録が未だに残っているものがあります。

特に投てき記録(砲丸投げ、ハンマー投げ、円盤投げ等)はその傾向が顕著です。

当時、筋肉増強剤を射たれた女子選手は男子の様に声変わりしたと語り継がれています。

これは旧共産圏(特にソ連、東独)で組織的なドーピングが行われた結果です。

ドーピングは技術の進歩により、ますますそれを暴くのが難しくなっています。

オリンピックが公平な競争の場を提供したいのであれば、ドーピングを徹底的に調査し、ドーピングを行う選手、もしそれが組織的に行われているのであれば、選手団を厳しく罰する必要があると思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。