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プーチン大統領がウクライナ侵攻に踏み切った訳

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プーチン大統領の決断

ロシアはウクライナへの軍事侵攻に踏み切りました。

西側の経済制裁を考慮し、ウクライナ侵攻は思いとどまるだろうと筆者は予測していましたが、プーチン大統領は経済制裁を課せられても絶対にやり遂げたい事がある様です。

それは何でしょうか。

どうもプーチン氏は旧ソ連が失ったものを一部取り返そうとしている様です。

筆者はプーチン氏のこの執念を過小評価していました。

米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が(Ukraine Crisis Kicks Off New Superpower Struggle Among U.S., Russia and China - Beijing and Moscow now hold a stronger hand in confronting the West than during the Cold War」(ウクライナ危機は新たな米中露の新たな戦いのはじまり- 冷戦時代より西側に対して強い手を持つ中露)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

ロシアのウクライナに対する大胆な軍事攻撃は、国際政治における新たな秩序を示す最初の大規模な衝突であり、アメリカの優位性を脅かす方法で3つの大国が争っています。

これは、冷戦時代の状況とは異なります。

ロシアと中国は、米国の力を弱めるという共通の関心に基づいて、パートナーシップを築いてきました。

現在、ロシアはヨーロッパへの重要なガス供給国である一方、中国は貧しく荒廃した国から超大国にのしあがりました。

 

プーチン大統領は、木曜日に彼が「特別軍事作戦」を命じた際に、西側に冷戦後のヨーロッパの安全保障秩序を書き直すことを要求しました。

これを行うために、プーチン氏は中国との国境から軍隊をウクライナ国境に移しました。

中露両国は、正式な同盟には至っていないものの、世界秩序を有利に再形成するために実質的に協力しています。

この新たな状況下、米国は、2人の敵と同時に戦うことになります。

 

オバマ政権時代に国防総省次官を務めたミッシェル・フロノイは、次のように述べています。

「私たちは、プーチンがKGB流のやり方で周辺国を不安定にすることを知っていました。しかし、主権国家への大規模な侵略は全く別次元の問題です。中国はプーチンの戦術を心から支持していないが、彼らは西側に対して権威主義国家として団結することをいといません。」

 

中国共産党の指導部も、旧ソビエト共和国での民主化運動を、最終的には中国に対して使用される可能性のある米国が設計した陰謀と見なしています。

これに応えて、中国の指導部は、軍事力を倍増させながら、国内での統制を強化しました。

この傾向は、習近平が10年前に政権を握ってから加速しました。

民主主義を支持する抗議者が香港で立ち上がった時、習氏は厳しい安全保障法を課し、かつての英国の植民地に与えられた自治権を打ち消しました。

 

米国国防長官オースティンは繰り返し中国を「最重要課題」と指摘しましたが、ロシアはそれほど長期的な危険とは見なされていませんでした。

寧ろロシアとの関係を改善することは、中国との競争に役立つと考えられていました。

この目的のために、米露は核兵器削減条約の延長を行い、ホワイトハウスは、アフガニスタンでのテロの脅威を防ぐために中央アジアのロシアの基地を使用する事を検討する様国防総省に指示しました。

ロシアと中国の両方に対抗しなければならないことはバイデン政権が同盟国に更に大きく依存するように導くでしょう。

既に米国政府内では、インド太平洋地域に集中すべきか否かとの議論が始まっています。

 

欧州対外関係評議会による最近の世論調査は、ほとんどのヨーロッパ人がウクライナ危機をヨーロッパへの広範な脅威と見なしていることを指摘しています。

しかしロシアに対する意見は様々です。

「今、誰もがロシア人がしていることに憤慨している」と、NATOの元米国大使であるアレクサンダー・バーシュボウは述べました。

「しかし、NATOの防衛態勢を強化し、核問題配備を再検討する点については、各国で意見が分かれる可能性があります。」と彼は続けました。

今後のシナリオ

筆者も見落としていましたが、北京オリンピック開催中にプーチン大統領が参加し、習近平主席と会談を行っています。

この時にプーチン氏はウクライナ問題について、習氏から了解を取り付けたものと思われます。

確かに、オリンピック観戦だけでプーチン大統領が北京に足を運ぶわけがありません。

プーチン氏は米国が中国を主敵とする事で、欧州に権力の真空状態が生まれる事を予測し、欧州の安全保障秩序に大きな変革を起こす事を狙っている可能性があります。

 

今後のシナリオはどうなるでしょうか。

米国はウクライナに派兵しません。

NATOに加盟していない同国を守る義務はないからです。

戦いはロシアに有利に運ぶでしょう。

EUは独仏ともロシアに厳しい制裁を課す事を躊躇しますので、米英との間に相違が生じる可能性があります。

中国は表向き無関係を装いますが、経済面ではロシアを支えるでしょう。

プーチン氏はバイデン政権の限界も十分考慮した上で、判断を行っている様です。

最近の国際情勢を見ていますと、香港の民主化運動に対する中国の圧力、ミャンマーの軍事クーデター、そして今回のウクライナ危機いずれにおいても、西側が強権的な国家に対して効果的な手を打てていません。

今回ロシアがウクライナを実質的にコントロールする様な事が起これば、中国は台湾侵攻に自信を深める事でしょう。

何故ならロシアは他国のウクライナに侵攻していますが、中国が侵攻しようとしている香港は、国際法的には中国の一部だからです。

西側はこの辺りで作戦をしっかり立てないと、強権的な国家の勢いを止められない可能性があります。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。