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電力価格の暴騰に苦しむ欧州

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将来のエネルギーミックスに関する説明責任

日本では総裁選が盛り上がりを見せています。

今日、野田聖子幹事長代行が出馬を表明し、これで4名の候補者が少なくとも参加する事となります。

総裁選の中で、原発をどうするかという問題は重要な争点として注目される事は間違いありません。

電力は国の経済の最も重要なインフラの一つであり、カーボンニュートラルに関する公約を日本政府が発表した以上、その目標をどの様に具体的に達成するかは、日本国民だけでなく、国際的にも次期総理は説明責任があると思います。

グリーン政策で世界の先頭を走る欧州で、最近電力価格が高騰している様です。

この問題について、英誌Economistが「Why has the price of electricity in Europe reached record highs? - A shortage of natural gas and wind are to blam(欧州で電力価格が記録的高値をつけた訳 - 電力と風の不足が理由か)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

ヨーロッパで電気代が高騰しています。

9月の初め以来、ドイツとフランスの卸電力価格はそれぞれ36%と48%上昇しました。

価格は現在、メガワット時あたり約160ユーロ(20,800円)で高止まりしており、これは記録的なレベルです。

英国では、価格は数週間前の147ポンドから、なんと385ポンド(58,000円)になっています。

急増の理由は何でしょうか?

1つの問題は、ヨーロッパの電力の約5分の1を生成するために使用される天然ガスの供給です。

不足がその価格を押し上げています。

ヨーロッパの供給の約3分の1はロシアからのものです。

もう5分の1はノルウェーから来ています。

シベリアの加工工場での火災などの混乱に見舞われ、予想よりも少ない供給を引き起こしました。

国営ガス会社などのヨーロッパのバイヤーは、不足分を補うために液化天然ガス(LNG)市場に目を向けています。

しかし、LNGの需要が高まっている中国や日本のバイヤーと競争しなければなりませんでした。

調査会社のウッドマッケンジーは、1月から7月の間にヨーロッパへのLNG輸入量は昨年の量を15%下回ったと述べています。

さらに、ヨーロッパは今年寒くて長い冬に苦しみ、在庫を使い果たしました。

在庫は長期平均を約25%下回っています。

 

通常、ヨーロッパの電力会社は、ガス価格が高い場合、より多くの石炭を使用することで対応します。

しかし、中国の電力需要と生産のボトルネックを背景に、石炭の価格も過去最高を記録しています。

ヨーロッパの排出権の費用も記録的な高さです。

これは、保有者に一定量の温室効果ガスを排出する権利ですが、石炭は天然ガスよりも多くの温室効果ガスを排出するため、価格をさらに上昇させます。

 

もう1つの要因は、風の欠如です。

ヨーロッパの電力の約10分の1は風によって生成されます。

ドイツやイギリスなどでは、風力のシェアはその2倍です。

しかし、最近、空気の移動が異常です。

たとえばドイツでは、9月の最初の2週間、風力発電は5年間の平均を50%下回っていたと調査会社ICISのロイマヌエルは述べています。

 

高い電力価格は英国で最も顕著です。

それは特に天然ガスと風に依存しているからです。

2つの電源は、英国の電力の約60%を生成します。

これは、ヨーロッパの平均のほぼ2倍です。

もう1つの要因は、英国が近隣諸国よりもヨーロッパの送電網に接続されていないことです。

この送電網により、電力の需給が大陸全体に広がり、価格の変動が少なくなります。

しかし今週、英国とフランスの間の相互接続が火災のためにシャットダウンされたときに悪化しました。

アナリストは、暖房と電力の需要がピークに達する冬の間、価格は上昇し続けると予想しています。

これは、コストの多くを負担するヨーロッパの消費者にとっては悪いニュースです。

スペインでは、内閣はガスの価格と公益事業会社の利益を制限するための緊急措置を可決しました。

しかし、政策立案者は、天然ガス不足の最も極端な影響から消費者を保護することはできません。

一部のアナリストは、特に寒い冬が停電を引き起こす可能性を予測しています。

その最悪のシナリオに比べれば、目を見張るような光熱費はヨーロッパにとって些細な心配事かも知れません。

我が国にとってベストの電源構成は

これは他人事ではありません。

EUがカーボンニュートラルで世界最先端を突っ走れる理由は、フランスに巨大な原子力発電能力があるからだと言われています。

フランスの原子力発電が同国の全発電量に占める割合は何と7割を超えています。

必要な時に電気が来ないと言う事態を起こしかねない風力や太陽光の比重が高まっても、フランスの原子力発言がベース電源となり、EU各国に足りない分を補う仕組みができているのです。

原発は確かに危険を伴う発電方法であり、長期的には比率を減らしていく方向が正しいとは思います。

しかし「脱原発」と耳障りの良いスローガンを唱える政治家には、カーボンニュートラルを原発なしでどの様に達成するのか具体的な方法論を示してもらう必要があると思います。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。