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予想通りなかったロシアのウクライナ侵攻

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大騒ぎした米英

ここ数週間というもの、欧米のメディア特にアングロサクソン系のニュースは、ロシアがウクライナを明日にでも侵攻するかの様に書き立てました。(日本のメディアもこれにかなり引きずられていました。)

バイデン 大統領は何回も記者会見を開き、ロシアの脅威を強調し、ウクライナ在留の米国人に離脱を促す勧告を行い、危機を煽りました。

欧州の政治家、英国のジョンソン首相やフランスのマクロン大統領もモスクワやキエフを足繁く往復して、この危機を解決しているのは自分だと見せつけようとしました。

しかし、彼らが強調するロシアのウクライナ侵略リスクというのはどれほどあったのでしょうか。

先日のブログで各国首脳の思惑を推測してみましたが、そもそもプーチン大統領にウクライナ侵攻の意図があったとは思えません。

 

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推測通り、昨日ロシアの軍隊は撤収を始めた様です。

昨日の仏紙Les Echosの「Ukraine : Macron et Biden s’accordent pour rester « très vigilants et attentifs」(ウクライナについてマクロンとバイデン は警戒を続ける事で合意)と題した記事を読みますと、米国と欧州大陸の間で微妙な差が生じている事に気付きます。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約

ウクライナ危機が始まってから4回目となるマクロン大統領とバイデン大統領の電話会談は火曜日に行われ、両者はウクライナの状況に今後も注意を払う事を強調しました。

一方、ロシアは今週水曜日の朝に軍事演習の終了と軍隊の一部撤収を発表しました。

 

フランス大統領府によれば、米国大統領との会談の中で、マクロン大統領は、緊張を緩和するため外交努力を続ける必要性を強調しました。

両者は火曜日に、ロシアに対する制裁やNATOの東側側面の強化についても議論しました。これはプーチンを最も苛立たせるテーマです。

一方、ロシアは、ウクライナに対して戦争を仕掛ける意図はないと主張し続けています。

「水曜日には攻撃がないことを保証できます。」とロシアのEU代表は水曜日の朝、ドイツのテレビ局に語りました。

欧州には「ヨーロッパで戦争が水曜日に始まることはめったにない」ということわざがあります。

これはロシアの攻撃が水曜日に開始されると主張した英紙「Sun」と「Mirror」など西側のメディアをあざける風刺です。

米英と独仏の間の隙間風

英米の政府やメディアがウクライナ侵攻が何時始まってもおかしくないと煽るのに対し、欧州大陸の受け止め方はかなり冷静だった様に思います。

これはロシアとの関係が独仏と米英とでは大きく異なるからではないでしょうか。

特にドイツは天然ガスの供給を受け、ドイツ製品の大輸出市場としても重要なロシアとの関係は特別なものがあります。

従い、ロシアに対して経済制裁を課したくないと強く思っていたのは、独仏の方だったと思います。

今週のベルリンでの国際会議に呼ばれたのはフランス、ロシア、ウクライナです。

要するに米英抜きでロシアと話をつけようと考えているのが独仏だったという事だと思います。

独仏には国民の間に根強い反米感情があります。

フランスの大統領選挙は2ヶ月先ですが、野党の有力候補ゼムール氏は「ロシアは欧州の友人である。ロシアがウクライナをNATOに入れるなと主張するのは理解できる。」と主張して、マクロン大統領の米国よりの姿勢を批判しています。

こういう欧州大陸の反米感情は、ロシアとの付き合い方に米英と大きな差を生む様に思われます。

 

注)「ヨーロッパでは戦争が水曜日に始まらない」は、週末はきっちり休みをとりたがる西欧人を揶揄することわざです。水曜日に戦い始めても土曜日に休みに入っては戦果が上がらない訳です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。