経済制裁の抜け道を探すロシア
ロシアに対する経済制裁は日に日に厳しさを増している様ですが、ロシア人はこれに対抗手段を取ろうとしている様です。
仏紙Les Echosがこの点について「Guerre en Ukraine : frappées par les sanctions occidentales, les entreprises russes privilégient le yuan」(ウクライナ戦争:欧米の制裁に対抗して人民元に注目するロシア)と題する記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
Les Echos記事要約
ウクライナへの侵攻を開始して以来、国際的な制裁に直面したロシアでは、ますます多くの企業がユーロとドルに代わるものを探しています。
これは、特に銀行の大部分が銀行間決済ネットワークであるSWIFTから切り離されているためです。
ロシアのいくつかの主要銀行を対象にロシアの日刊紙「コメルサント」が行った調査によると、彼らは現在、中国と人民元に目を向けています。
コメルサントが提唱した数字は雄弁です。
3月に作成された新しい通貨口座の3分の1は人民元でした。
3月だけで、サンクトペテルブルク銀行で開設された人民元の口座数は3.5倍になり、中国通貨建ての商業契約の数は2倍になりました。
年初以来、人民元の資金額は、ティンコフ銀行では8倍、MTS銀行では4倍になっています。
西側の制裁を考えると、「人民元での支払いはより安全で予測可能である」と信じるロシア企業が増えていると、「コメルサント」は要約しています。
人民元の選択は、中国との協力の長い歴史に裏付けられていますが、支払いにドルまたはユーロを使用することを伝統的に好んでいた企業を含むすべての企業に影響を及ぼしています。
中国のコンサルティング会社Fengwei Energy Information Serviceを引用したBloombergによると、いくつかの中国企業は人民元を利用してロシアの石炭を購入している様です。
ロシアの原油売り手も、鉄鋼業界と同じように、元で支払いを受ける可能性を提供しています。
経済制裁は諸刃の刃
SWIFTからのロシア銀の排除は業界人も驚かせる正に「金融の核爆弾」でしたが、もう一つ世界を驚かせたのは、ロシア政府が外国に保有するドル資産の凍結でした。
これはロシア政府が「盗人猛々しい」と批判した措置ですが、この措置は米国政府が対立する国のドル資産を恣意的に差し押さえる事が可能だと言う事を示していますので、今後世界各国にドル以外の資産を持つ様に促す可能性があります。
実際、インドなどもルビーによるロシア原油の購入を検討している様です。
金融制裁は短期的には目的を達成するかも知れませんが、制裁を受けた側は必ず抜け穴を探しますので、諸刃の刃になる可能性があります。
将来、ドルが基軸通貨としての地位を失ったきっかけは今回のロシアに対する制裁だったと記憶されるかも知れません。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。