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欧州からアジアに回帰するロシア

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中国、インドとの関係を深めるロシア

ロシアはヨーロッパなのかアジアなのかどちらでしょうか。

これはなかなか難しい問いです。

モスクワなど大都市を見ると、欧州に近く感じますが、ロシアは世界最大の国です。

その中にはタタール人等アジア系の人も多く含まれます。

ロシアには「タタールのくびき」という表現があり、これは13世紀にモンゴル族によってロシアが征服された結果、アジア系とヨーロッパ人の混血が生じ、文化的にもアジア系のものがかなり導入された事を指します。

ロシアはこれまで、欧州への帰属を望んでいた様ですが、欧米からの厳しい経済制裁を受けて、一気にアジアへの志向を高めている様です。

この点について、米誌Foreign Policyが、「Russia Joins the Asian Club」(アジアに加わろうとするロシア)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Policy記事要約

プーチン大統領がウクライナを侵略しなかったとしても、ロシアはアジアへの傾倒を高めていたでしょう。

ロシアは欧州評議会からの脱退を発表しましたが、国連では、中国とインドが、ウクライナの侵略を非難することは共に拒否しました。

米国が制裁対象にしているにもかかわらず、中国が軍事、金融、外交面で支援しているベネズエラ、キューバ、イラン、シリア、リビア、ミャンマーなどいわゆる不正な政権のリストがあります。

今回このリストにロシアを加える事になるでしょう。

一方、インドのウクライナ侵攻に関する判断は、インドがますます米国に傾倒していると感じていた西側の多くの人々を驚かせました。

しかし、インドとロシアとの関係は依然として堅固で良好です。

ロシアは、石油を20%割引でインドに販売し、ルピーで支払いを受ける契約を結んだばかりです。

インドはもはや、すべての自信を持っている国がそうであるように、その目的に合うように政策を自由に選択します。

 

サウジアラビアの指導者であるモハメッド ビン サルマン皇太子は、バイデンからの電話を受けていませんが、プーチンと何度か話し合い、中国への石油輸出の人民元での価格設定を開始することに暫定的に合意しました。

中国とロシアは制裁にもかかわらずイランとの貿易を継続し、アジアのクラブでの関係をさらに強化しています。

 

侵略前、ロシアのアジアとの貿易は成長していました。ロシアに対する欧州の需要が激減することで、ロシアはアジアの経済家臣になるでしょう。

ルーブルが紙屑になり、西側ではロシアのお金も市民も歓迎されないため、中国との二国間貿易は急増し、ロシアはウクライナでの戦争を継続するために要求した武器システムを含む中国からの輸入にさらに依存するでしょう。

ロシアの中国へのエネルギー輸出は、様々な商品購入に関連する中国への支払いを賄うのに十分な人民元を生み出します。

銀聯のATMカードと、中国の人民元国際決済システムとロシアのミール決済システムの統合が加速します。

HuaweiとZTEは、NokiaとEricssonが提供しなくなったインターネットおよび5G通信機器を提供します。

 

ガスプロムの「Power of Siberia」パイプラインは、2019年に開通しました。

ドイツ行きのNord Stream 2パイプラインが停止されたため、ロシアと中国は、さらに2つの直接的なロシアと中国のパイプラインの完成を加速することに合意しました。

一方、今年、中国はロスネフチからのロシア石油の購入を増やすことにも合意した。

 

人口動態のレンズがなければ、アジアにおけるロシアの将来を見るのは困難です。

ロシアの広大な東側には、水と食料、石油とガス、木材と金属など、考えられるあらゆる資源が豊富にあります。しかし、そこはほぼ完全に過疎化した地域です。

この地域の取り組みには中国の季節労働者が不可欠であるだけでなく、昨年、ロシアはインドとスキルパートナーシップ協定を締結し、急増する小麦の生産量を管理するために、より多くの農家と食品加工労働者を採用しました。

 

子供たちが地理を学ぶとき、彼らはアジアとヨーロッパの間の境界を見つけるのが難しいことに気づきます。良くも悪くも、この問題は解決されました。

ロシアの人々は自分たちをヨーロッパ人と見なすかもしれませんが、彼らの国はアジアの大国のように振る舞い、彼らの地理はアジアの未来に属しています。

中国にロシアを接近させる米国

現時点では、欧米はロシアをコーナーに追い詰めていると感じていると思いますが、彼らの思う様な結末が待っているかどうかは、歴史の審判を待たなければならないでしょう。

バイデン 大統領の発言「プーチンは政権に留まってはいけない」は、どう見てもロシアの政権交代を要求している様に思われます。

この呼びかけは、ロシアの反体制派の政権奪取を期待しているのかも知れませんが、この発言でロシア国民は米国の内政干渉を嫌い、米国の思惑とは逆に結束が固まるのではないかと思います。

また、経済制裁も短期的には効果を生じるかも知れませんが、制裁された国は当然抜け穴を考えます。

ロシアが石油やガスの購入者にルーブル払いを求めたそうですが、これはドルの世界覇権に挑戦する狙いがありそうです。

ロシアだけなら何とか押さえ込む事が可能かも知れませんが、ロシアが中国やインドと手を組み、ドル払いを止めて、中国元や露ルーブルでの支払いを行う様になると、基軸通貨ドルの覇権が脅かされる事になります。

米国は今回ロシアを追い詰めて満足しているかも知れませんが、将来彼らの逆襲をくらうきっかけを作ってしまったかもしれません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。