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証券会社の外国人幹部逮捕を米国メディアはどう見るか

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SMBC日興証券の事件

外国人のビジネスマンが日本で収監されたケースとしては、カルロス ゴーン氏がすぐに思い出されますが、最近SMBC日興証券の外国人トレーダーが逮捕されました。

今回の事件については日本のメディアでも大きく取り上げられていますが、外国から見るとこの事件はどの様に見えるのでしょうか。

米紙ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)が「American Finance Executive Arrested in Tokyo Describes His Ordeal」(東京で逮捕された米国人証券会社幹部試練を語る)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

トレヴァー・ヒルは、検察官が自宅に現れたとき、引っ越し後の空になったマンションでテイクアウトディナーを取っていました。

日本の証券会社の幹部に上り詰めた数少ない外国人の一人である彼は、当局がいくつかの取引を捜査していることを知っていましたが、何が自分の身にふりかかってくるか見当もつきませんでした。

 

数時間以内に、ヒル氏は逮捕され、弁護士の立ち会いなしの尋問を受けるために東京の刑務所に連れて行かれ、全国メディアで報道の対象となりました。

検察はヒル氏とSMBC日興証券で彼のために働いていたトレーダーを相場操縦の容疑で非難しました。

元自動車業界に君臨したカルロスゴーンの事件を彷彿とさせる逮捕劇で、日本のメディアは今世紀の最も重大な金融犯罪の1つとして取り上げました。

「市場の中核をなす証券会社が適切な価格設定を歪めたのは重大な犯罪だ」と日経新聞は書いています。

 

ヒル氏は、困惑し、憤慨しており、徹底して争う覚悟だと言います。

彼は、問題の取引は適切で、審査も受けていると話します。

いずれにせよ、取引は彼を巻き込むには小さすぎ、壮大な陰謀には程遠いと主張しました。

プリンストン大卒の彼は、インタビューで「私はいかなる取引についても話していないし、取引を行うように指示したり命令したりしていませんでした」と語りました。

 

SMBC日興証券の元エクイティ責任者であるヒル氏を含む合計5人が起訴されました。

日本のメガバンク、三井住友フィナンシャルグループの傘下にあるSMBC日興証券は、調査に協力しているとし、「このような深刻な状況を引き起こしたことを深く遺憾に思う」と述べました。 」

 

有罪判決を受けた場合、ヒル氏は最長15年の懲役に直面することになりますが、日本では刑期が短くなる傾向があります。

彼は先週保釈され、裁判の準備をしています。

しかし裁判を開始するのに何年もかかるかもしれません。

会社との雇用契約は既に失効しています。

 

ヒル氏は、刑務所での尋問の際に、検察官が彼が有罪であることを示すいくつかの証拠の断片を示して、自白することを要求したと語りました。 

しかし、彼は、検察官の話に合わせる事は偽証を意味すると悟り、 真実を語ることに専念したそうです。

東京検察の広報官はコメントを控えました。

検察庁は、尋問は適切に行い、容疑者の権利を保護していると述べました。

 

ヒル被告は自身の手腕により、SMBC日興証券の赤字部門を収益の柱へと変え、その成功に対して十分な報酬も受け取ったと話しました。

友人らは、ヒル被告の出世が嫉妬を招いたのではないかと勘ぐっているといいます。

ヒル被告はこう語りました。「これまで日本人の上司がやり遂げられなかったことを、外国人がやって来てそれを成し遂げれば、自らを標的に置くことになる。」

オープンでスピーディーな裁判を

カルロス ゴーン氏はレバノンに逃亡したので、裁判所が日産事件にどの様な判断を示すかわからず仕舞いですが、ゴーン氏の直属の部下だったケリー氏の裁判は第一審の結果が出て、ほとんどの容疑に対して無罪判決が示されました。

ケリー氏は米国に帰国が許された様です。

今回の事件は詳細を筆者も知りませんので、どちらが正しいかはわかりません。

一つ言える事は、我が国も司法のプロセスをオープンにし、外国人にも納得のいくものにしないと、優秀な外国人が日本で働く事を躊躇するのではと心配です。

東京をファイナンシャルハブに」という日本政府の目標を達成するためには、外国の優秀な人材に東京に来てもらう事が必要です。

WSJの記事の最後の段落を読めば、そういう人材が二の足を踏むのではと心配です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。