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コロナがもたらすもの - パリの高級不動産市場には追い風が

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コロナに負けない業種

新型コロナ感染は世界経済に大きなダメージを与えました。

飲食業や旅行業などはその際たるものです。

一方、コロナの影響を受けないどころか前年を上回る数字を示している業界もあります。

アマゾンなど電子商取引が典型的な例ですが、主要都市の高級不動産も好調を維持している様です。

仏紙Les Echosパリの高級不動産に関して「L'immobilier de luxe fait fi du Covid」(高級不動産はコロナを知らない)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約 

新型コロナ感染拡大にもかかわらず、昨年は高級不動産市場にとって特別な年になりました。

パリの100万ユーロ(1億2600万円)から300万ユーロ(3億7800万円)の価格帯の高級不動産に関する取引件数はわずかに減少しましたが、価格は上昇しました。

一方、300万ユーロを超える物件については、販売数も価格も上昇しました。

不動産仲介業者のジョトラス社長は説明します。 「昨年の平方メートルあたりの販売価格は、2019年の17,091ユーロに対して、18,667ユーロで、9.2%増加しました」

同じく高級不動産セグメントで有名なジョン・テイラー社は、2020年に記録的な取引を行いました。

モンテーニュ通りのペントハウスは、外国人に1平方メートルあたり45,000ユーロ以上で販売され、パリの最高値を更新しました。

2020年の取引が2019年と比較して18%減少したパリの不動産市場全体と比較すると、高級不動産は非常によく持ちこたえていると言えます。

 

地方についても同じ傾向がみられます。サザビーズのクラフト氏は、次のように述べています。

「2020年は、フランスのバイヤーの間で、この地域の高級不動産住に前例のない関心が寄せられました。」

「ロックダウンは在宅勤務を一般化し、スペースと緑に対するフランス人の欲求を強化しました。さらに、彼らは不動産が長期的な戦略的投資であり、危機がその価値を証明していることを認識しています。

同様に、別の不動産会社ジョン・テイラー社においては、2020年に南フランスで1,000万ユーロを超える取引の大部分を実行しました。

これは外国人の数が急激に減少したにもかかわらずです。 

「高級及び超高級セグメントは、長距離フライトが出来なかった中国人やアメリカ人バイヤーの不在による影響を受けました」とジョトラス社長は語ります。

「一方、中東からの顧客はプライベートジェットのおかげで旅行することができ、ブレグジット効果もあったおかげで特に英国からのバイヤーが増加し、売上の5%近くを占めています。」と彼は付け加えます。

 外国人はフランス人よりも高価な物件を好み、超高級マンションにおいて価格を押し上げ続けています。

 しかし、外国のバイヤーの減少は、いくつかの理由でフランスの顧客によって相殺されました。

ロックダウンによる在宅勤務の間、人々は自宅ににこれほど長く居た事はありません。 「多くの人々は、不動産資産が日常的に最も利益を得られるものであることを理解しています」とジョトラス氏は強調します。

「私たちはリーマンショックや新型コロナの様な危機の後ほど高級アパートを販売したことはありません。」

「1000万ユーロを超える物件において、5分の2の売り上げがフランス人によって行われていましたが、今や5分の3になりそうです」と彼は付け加えます。

 

新型コロナ感染は、フランスのバイヤーを2つの理由から高級不動産の購買へ向かわせた様です。

それは生活の質を改善すると同時に、安全な投資の避難所として不動産を利用する事です。

新型コロナが再認識させた大都市の価値

パリの不動産は本当に高くなりました。東京が高いと言われますが、パリやロンドンに比べれば比較になりません。

一般庶民には手が出ない価格帯です。

これほど高くなったパリの不動産の売れ行き(特に高級マンション)がこれほど好調とは知りませんでした、

ロックダウンの最中、どの様に下見に行くのでしょうか。

日常品の買い物や犬の散歩は許されていますので、おそらく市民たちは近場の物件を訪問したものと推測されます。

パリの住人は意外に狭いスペースに住んでいます。

外には美味しいレストランやカフェがあふれているので、家は単に寝る場所であり、その場合大きなスペースは必要ありません。

しかし、ロックダウンで自宅で調理する必要が生じ、家族全員が狭いスペースで顔をつき合わさざるを得なくなった時に、家の狭さを感じたのではないでしょうか。

テレワークが広がれば、郊外の大きな家に移り住む様になるので、都心の不動産の価格は下がると予測する人もいますが、パリやロンドンの都心には、外食、エンターテイメント、ショッピング、美術館など郊外では味わえない魅力があります。

一度は住んでみたいと思う外国人も多いので、今後もそう簡単には値が下がらないでしょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。