MIYOSHIN海外ニュース

世界の役立つ情報をわかりやすくお伝えします。

ロシア原油を人民元建てで購入しようとするインド

f:id:MIYOSHIN:20220316231129j:plain

したたかなインド

先日のブログでもご紹介した通り、インドは中国と同じく、国連でのウクライナ侵攻非難決議を棄権しました。

インドはクワッドの一員で西側の同盟国ではないかとおっしゃる方もおられるかも知れませんが、この国は一筋縄ではいきません。

歴史的に見ると旧ソ連との関係が深く、軍備はロシア製が基本です。

トルコが購入して欧米から制裁を受けたロシア製の防空システムS-400もインドは既に購入済みです。

そんなインドがロシアから割引き原油をしかも中国元建ての購入を検討しているというニュースが飛び込んできました。

中国の環球時報が「India reportedly explores yuan in oil trade with Russia, as frustration grows over US sanctions」(米国の制裁でフラストレーションが高まる中、ロシアの原油購入に中国元使用を検討するインド)と題した記事をかいつまんでご紹介したいと思います。

環球時報記事要約

伝えられるところによると、インドはロシアの石油を割引価格で購入することを計画しており、中国の人民元をインドとロシアの支払いメカニズムの決済通貨とする事を検討しています。

米国とインド両国間の外交関係が強まっているにもかかわらず、インドはロシアに対する制裁に参加を求める米国の圧力をかわしている様です。

今回のインドの動きは、金融システムが制裁の武器として使われるリスクをかわすために、米国が支配する世界的な金融メカニズムの代替案を模索している国々の傾向を表しているとアナリストは指摘しました。

 

解決すべき問題の1つは、貿易がどの通貨で決済されるかであり、インドの報道機関であるLivemintは、インドとロシアが人民元を決済通貨として使用する可能性を模索していると伝えました。

ルピーとルーブルの貿易メカニズムにおいては、どちらの通貨も国際貿易で広く使用されていないため、懸念がありました。

これまでエネルギー貿易は、2つの国の通貨間の為替レートを設定するためのベースとして、米ドルまたはユーロを使用することが普通でした。

インド当局は、通貨の安定した価値と、米ドル、ユーロ、ポンドに次ぐ世界第4位の人民元としての地位により、人民元を使用する可能性に着目しました。

一方、ダウ・ジョーンズは火曜日に、「サウジアラビアが、石油販売の一部において人民元で値付けする方向で中国政府と活発に交渉している」と報じました。

米国とその同盟国によるロシアへの制裁は、米国とは違う価値を持っている国々に、新しい貿易メカニズムの設立への動機を与えました。

中国政府は火曜日に次の様に述べました。

「制裁の対象は、今日はロシアですが明日は他の国かもしれません。この動きは、関連国が現在の国際貿易システムからの独立を求めるようにさらに刺激するだろう」と彼は述べた。

 

ヨーロッパ諸国がロシア産原油の購入をやめると、インドは割引価格で原油を手に入れることができ、一方でロシアに大規模な新規市場を提供することができます。

世界第3位の石油輸入国であるインドは、国内でインフレ圧力の高まりに直面しています。 2月の消費者物価指数は、前年比6.07%と8か月ぶりの高値となりました。

ロシア・ウクライナ戦争の中での石油価格の上昇は、1日あたり420万バーレルもの原油を輸入するインドのインフレ圧力を煽りました。

何年にもわたって、中東とアフリカからの輸入の割合は減少し、米国の制裁がイランとベネズエラからの原油購入を困難にする中で、米国とカナダの輸入の割合が増加しました。

 

インドは、国連でロシアに反対票を投じることを控えた後、ロシアを非難するようにと西側諸国から圧力を受けてきました

しかし清華大学の銭鳳氏は、「米国とその同盟国からの圧力にもかかわらず、ロシアとの貿易関係を維持するというコンセンサスがインドで形成された。」と述べました。

制裁の効果は期待するほど長くない

米国はロシアに対する経済制裁特にロシアの銀行のSWIFTからの排除が大きな効果を挙げていると自画自賛していますが、制裁というのは最初は効果を生みますが、時間が経てば、制裁を受ける国が抜け穴を探し出します。

今回の人民元を使った取引はまさにその抜け穴です。

米国はロシアにSWIFTを使わせない事によって、SWIFTに対抗する新たな決済システムを作る事を促してしまっているかも知れません。

制裁を受けている北朝鮮、イラン、ベネズエラ、ミャンマーなどが全て中国にすり寄っていくのを見ると、西側の制裁は逆にライバルを太らせてしまっている様な気がします。

下手をすれば、米国ドルは基軸通貨としての価値を大きく減じてしまうかも知れません。

SWIFTは「金融の核兵器」と称されますが、まさに禁じ手なのかも知れません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。