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英国航空(BA)が向き合う難局

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BAの苦悩

コロナの世界的感染拡大により、各国の航空会社は、どこも経営破綻の危機に瀕している様です。

英国航空(BA)は、業界を代表する欧州の翼ですが、彼らも例外ではありません。BAの最新状況について、BBCがレポートしましたので、ご紹介したいと思います。

英国が欧州で最悪の感染国になった事から、BAは、ほとんどのフライトを運行中止にせざるを得ませんでした。

航空会社は飛行機のコストや人件費といった固定費の負担が非常に重く、毎日キャッシュが湯水の様に出ていきますので、BAも経営破綻を避けるべく懸命の努力を行っている模様です。

ところが、ここにきて同社がとった行動が、英国議会で大変な非難を浴びることになりました。

英国政府は、コロナ流行を受けて、雇用を維持するために、民間企業に対して補助金を出していますが、BAはこの雇用維持制度を利用して、3万人分の給与を受け取った直後に、12,000人の従業員を解雇したのです。

英国議会にしてみれば、雇用を維持するために国民の税金を使ったのに、直ちに解雇するとはけしからんという事でしょう。

一方、BAにしてみれば、手元の現金がなくなり、背に腹は変えられなかったのでしょう。

2週間自主隔離が引き起こす問題

英国政府とBAとの間には、もう一つ論争が持ち上がりました。

英国政府は、現在外国からの訪問客に対して、英国入国後2週間の自主隔離を義務付けています。

BAを初めとする英国航空会社は、この自主隔離を解除してほしいと要請していますが、英国政府はこれに応じません。

確かに英国に入国後、2週間も外出禁止となったら、誰も英国に行こうとはしませんよね。

でも英国政府としてみれば、欧州で最大の死者を生んでしまった反省から、状況をこれ以上悪化させたく無いのだと思います。

こういう環境の中で、BAがパテル内務大臣との面談を拒否するという事態にまで発展してしまった様です。民間企業が大臣との面談を断るという事、普通あり得ませんから、両者の状態はは相当悪化しているとみた方が良さそうです。

BAが現在の苦境を脱するには、国の財政的支援が不可欠ですから、政府との関係修復は急務だと思われます。

エアブリッジって何?

現在、英国では、エアブリッジという協定を他国と結んで、先ほど述べた自主隔離をお互い解除しようとういう動きがある様です。

英国がこのエアブリッジを結びたい国はどこかと言えば、ポルトガルやスペイン、フランスと言った南欧の観光地の他にオーストラリアやシンガポールが挙げられます

おいおい、スペイン、フランスはいずれもコロナで大きなダメージを受けた国じゃないですか。

これらの国とお互いに自主隔離を棚上げして大丈夫でしょうか。ちょっと調べてみました。

各国の6月5日の新規感染者(出典:Johns Hopkins大学)を、上記の通り、グラフで示してみました。

一目でお分かりの通り、英国の新規感染者が圧倒的に多いんですよね。

1日で1,600人も新規感染者が出ています。東京が二桁になったと大騒ぎしている日本とは桁違いです。

英国は未だにコロナ退治に成功していないのです。この様な状況でエアブリッジを結ぼうと思っても、フランスやスペインが断ってくる可能性があります。

しかし英国の旅行者はドイツと並んで、南欧諸国からしてみると大のお得意様です。観光収入に目がくらんで、エアブリッジを英国と結ぶかもしれません。

そうなると南欧のリゾートでクラスター発生の危険性が高まります。皆さんワクチンができるまで、あまり欧州に近寄らない方が良さそうです。

海外旅行は大きく変わるか

海外旅行を専門とするYouTuberとして200万人以上のフォロワーを持つサム チュイさんは、コロナ後の飛行機による旅行は大きく変わると、次の様に語っています。

  • 今まで以上に空港で時間がかかる。
  • 体温検査だけでなく、コロナに関する書類(場合によっては抗体パスポート)がチェックされる。
  • 機内持ち込み荷物もチェックインラゲージも紫外線で殺菌されることになるので、これにも時間がかかる。

航空業界の現在の状況はかなり深刻です。

現在、運行停止されている機体は17,000機に上ります。これは世界の機体の3分の2にあたるそうです。

今年、世界全体で15億便が減便となり、航空業界全体の損害はおよそ30兆円に達すると言われています。

チュイさんは航空業界が顧客を取り戻す上で大切なのは、信頼を回復することだと言います。

その対策の一つとして、航空会社は、機内の座席を一つずつ空ける事を検討している様です。

トルコ航空では、全員にマスクとバイザー(めがね型のグラス)の着用を義務付ける様です。

そこまでして海外旅行するのかと思われるかも知れませんが、私は、いずれ飛行機に客は戻ってくると思います。

それほど外国に行ってみたいという人間の好奇心は強いのです。

しかし、元に戻るには相当時間がかかるでしょう。当面はワクチンができることが、最も重要だと思います。

 

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