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ブレグジットの後も土砂降りかージョンソン首相が見据える英国の国家戦略

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英国はブレグジットに関するEUとの離脱交渉にに苦しんでいます。英国が置かれた苦境に関して、米紙ウォールストリートジャーナルが「ブレグジットの後も土砂降り」(After Brexit, the Deluge)と題して面白い記事を掲載しましたので、かいつまんでご紹介したいと思います。

ウォールストリートジャーナル紙要約

英国が向き合う試練

ボリス ジョンソン英国首相ほど、数多くの試練に直面した首相を知りません。

英国の輸出の43%を占めるEUとの離脱交渉が暗礁に乗り上げているのに加えて、コロナウイルスが英国に襲いかかりました。 

それでもまだ足りないかの様に、下記の様な問題が降りかかっています。

  1. 香港に対して中国が、国家安全法をに導入したのに伴い、英国は、香港市民に英国移住の道を開くとともに、香港との間の犯罪者引き渡し協定の効力を停止しました。
  2. 英国はさらに、Huaweiを英国の5G市場から閉め出す計画を発表し、中国を怒らせました。
  3. ロンドンの国際的金融ハブであるシティ国際的な規制強化、脱グローバル化の流れの中で、対応に苦慮しています。ブレグジット後の世界では、欧州当局はシティに対して厳しく当たる事が予想されます。
  4. ロシアとの関係も悪化しており、G7にロシアを呼ぶ事に反対した英国は。トランプ大統領とプーチン大統領を怒らせました。
  5. スコットランドの英国からの離脱については、来年のスコットランドにおける総選挙で離脱派が大勝する可能性があります。 

しぶとい英国のしたたかな戦略

上記のこと全てが英国にとって良くありません。

しかしこの世の終わりという事ではありません。

英国はEUや中国への輸出に関して、苦労すると思いますがが、ゼロにはなりません。

海外の反グローバリズムも難題ではありますが、英国はこういう問題に何度も対処してきました。

香港からの優秀で、企業家精神に富んだ人々の流入は、英国に活力をもたらしてくれるでしょう。

北大西洋条約機構(NATO)が、引き続き英国の安全保障の中核であり続けると思われ、欧州との関係は重要ですが、将来に関しては、英国は別の地域に注目しています。

ハロルド ウイルソン首相が「スエズ運河以東」からの英軍撤退を決めてから50年後の今、ジョンソン首相はインド太平洋地域に回帰しようとしているのです。

EUに代る同盟国としては、アングロサクソン系5カ国で作るファイブアイズ、中国の台頭に懸念を抱くインド等アジア諸国、英国と長い同盟関係にあるペルシャ湾岸国が有力でしょう。

世界人口の29%,、世界の国民総生産の46%を占めるこのブロックは英国に新たな市場と可能性を提供します。

インドは市場及び製造業の基盤として、中国に変わる自然な選択肢となります。

英国とアラブ諸国のエリートの緊密な関係も継続しており、両者の結びつきは世界の金融センターとしての英国にとって重要です。

英国は米国との間に野心的な新貿易協定を望んでいます。

新たに生まれるインド太平洋構想に加わるアジアの国々と共に、自由で公正なルールに基づいた貿易システムを構築する様、米国を説得するでしょう。

今後の展望ー日英の連携

EUに加盟していた英国は、EU以外の国々と自由に貿易協定を結べませんでしたが、EUから離脱した今、英国はフリーハンドを手にしたのです。 

今後、国際的な世論づくりを行っていきたい日本にとって、EUから離脱した英国ほど最適なパートナーはありません。

英国は米国を仲間に引き込む上でこの上ない役割を果たしますし、英国連邦はインド、オーストラリアといった日本にとって戦略的に重要な国々を含んだ連合体です。

しかも英語を母国語とするというアドバンテージもあります。

日経の報道によれば、茂木外相と日英間のFTA(Free Trade Agreement)の交渉に臨んだ英国のトラス国際貿易相TPP(環太平洋パートナーシップ)に関しても、できるだけ早く交渉に向けた作業を進めたいと語り、TPPへの強い関心を示したそうです。

彼女は「英国が日本と通商協定を交渉するのは、自由貿易や民主主義の観点で価値観を共有できるからだ」と強調。

中国に対して「世界貿易機関(WTO)をはじめとした国際ルールの遵守や、透明性ある行動をとることが大事だ」とけん制した様です。

英国がこれほど日本との関係を重視してくれるのは、久方ぶりと思います。

それも彼らがウォールストリートジャーナルが伝える様な、様々な難題に直面しているからでしょう。

今が日本にとってチャンスです。

 

最後まで読んで頂き有り難うございました。