トルコとイランに挟まれた国アルメニア
アルメニアという国をご存知でしょうか。
トルコ、ジョージア、アゼルバイジャンとイランに囲まれた小さな内陸国アルメニアは1991年にソ連から独立した国の一つです。
首都エレバンはアララット山(ノアの方舟で有名。標高5,165m)の麓にあります。
国土全体が高地にあることや、資源がないことから、国内にはこれといった産業がありません。
従い、アルメニア人の成人男子の9割は国外に出稼ぎに行くと言われています。
アルメニアの人口は約300万人ですが、海外に居住するアルメニア人の数は約800万人と言われています。
ロシアに280万人、米国にも100万人が居住していると言われています。
芸術分野で活躍している人も多く、ちょっと古いですが、名画「ローマの休日」でオードリー ヘップバーンの相手役を務めたグレゴリー ペックや指揮者のカラヤン、フランスの歌手のシャルル アズナブールやシルビー バルタンはアルメニア系と言われています。
エレバン放送
そんなアルメニアで旧ソ連時代に、首都の名前をとった「エレバン放送(Raido Yerevan)」という放送局が人気を博しました。
この放送局は架空のもので、アルメニア人が生み出したアネクドート(小話)を対話形式で纏めたものでした。
アルメニア人の鋭い社会風刺が見られますので、ご紹介したいと思います。
その1
「ソ連にも言論の自由があるというのは本当ですか。」
「本当です。ホワイトハウスの前で『くたばれレーガン』と言っても逮捕されませんが、クレムリンの前で同じ事を言っても逮捕されません。」
その2
「スターリンの死後、我が国の裁判制度はどのように変わりましたか。」
「判決の前に撃ち殺される事は禁止になりました。」
その3
「南京虫は革命を行う事ができますか。」
「原則できます。南京虫には農民と労働者の血が流れていますから。」
その4
「ソ連の社会主義憲法とアメリカの憲法の違いはなんですか。」
「どちらの憲法も言論の自由を保証していますが、アメリカの憲法は発言後の自由も保証しています。」
その5
「共産主義者と反共産主義者の違いはなんですか。」
「共産主義者は、マルクスやレーニンの著作を読んだ人。反共産主義者は、マルクスやレーニンの著作を読んで理解した人。」
その6
ブレジネフ書記長の長い演説の間に、聴衆から一人のスパイが逮捕されました。ブレジネフが逮捕した警察官に聞きました。
「どうして彼がスパイだとわかったのかね。」
「書記長の演説の中の『敵は眠っていない』という一節で気づいたのです。」
その7
「潔白で立派な人間を買う事はできるか。」
「買う事はできない。売る事はできるが。」
(旧ソ連の密告制度を批判しています。)
その8
「なぜソルジェニーツィンや反体制派が国外追放になったのですか。」
「我が国では、最上のものは輸出に回されるのです。」
アルメニアで有名な物がもう一つあります。それはブランデーです。
チャーチル元英国首相がキューバの葉巻と並んで愛したとされるブランデー飲んでみたいですね。
アルメニアの人たちは、ブランデーを飲み交わしながら、アネクドートを披露しあっているのでしょう。
いやこれは間違った推測かもしれません。最上のものは輸出に回されるんでした。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。