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日本はデジタル後進国から抜け出せるか

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デジタル化が決定的に遅れた日本

日本のお役所に行くと、そこで働いている人々の感じの良さと勤勉さには驚かされます。

外国ではつっけんどんな対応しか期待できません。

しかし、一方で日本はデジタル化において致命的に遅れています。

戸籍抄本一枚取るにしても、手書きの申請書を書かされます。

その上様々な書類に印鑑が必要で、その効力を証明する書類として印鑑証明書の取得が求められます。

更に言えばこれらの書類取得に関する決済は現金払いしかありません。

効率が悪いのはお役所だけではありません。

民間企業でも決済書類には印鑑が必要で、このコロナのご時世で、書類に印鑑を押すためだけに出社するというサラリーマンがいる様です。

昭和のシステムをそのまま引きずっている日本を外国人はどの様に見ているのでしょうか。

英誌Economistが「Few reforms would benefit Japan as much as digitising government - It is one of the world’s most wired countries. Yet its public sector lags behind Mexico’s」(政府のデジタル化ほど日本に利益をもたらす改革はない - 世界で最もネット環境が整った国ですが、そのお役所はメキシコにも遅れをとっています)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Economist記事要約

毎年恒例の桜の観賞会と同じくらいつかの間の儀式です。

新しく樹立された日本政府は、より多くの公共サービスをオンラインに移行することを約束します。

約束がなされるとすぐに、それは桜の花びらのようにあっという間に散ります。

2001年、政府は2003年までにすべての手続きをデジタル化すると発表しましたが、20年後、行政手続きのわずか7.5%しかオンラインで完了できません。

韓国とアイスランドはいうまでもなく、メキシコとスロバキアにも大きく遅れをとっており、日本人のわずか7.3%しか公的サービスにオンラインを利用しません。

日本は電子政府の失敗例です。

 

それは役所で窓口から窓口へとさまよっている不幸な日本人にとってだけではなく、日本人全員にとって残念なことです。

日本の人口は減少し、高齢化しています。

労働力の衰退により、日本は繁栄を維持するためには、他国よりも生産性を向上させなければなりません。

大和総研は、政府をオンライン化すると、一人当たりの国内総生産が恒久的に1%増加する可能性があると考えています。

日本の富と技術の高さを考えると、この問題は不可解です。

何年にもわたって、地元の大手IT企業は、政府部門向けのシステムを開発するために、公的サービスに関する契約を争ってきました。

ほとんどの場合、ジョブごとに特注のソフトウェアを設計することになりました。

その結果、互換性のないシステムが大量に発生されました。

 

幸いなことに、2020年9月に首相に就任した菅義偉政権は、問題解決に通常の儀式以上の関心を持っている様です。

政府機関をデジタルの世界に引きずり込むことを目的とした新しい政府機関を創設しています。

この政府機関はは、政府全体のシステムの調達を担当し、真の影響力を与える様です。この機関は官僚ではなく、民間の技術者によって率いられます。

 

先進国の中で、デジタル公共サービスの採用が遅れている日本には、他国の経験から学ぶことができるという利点があります。

政府部門全体にデータ標準を課すためのアドバイスをエストニアに求めることができます。

エストニアはモデルとなる国民IDシステムも運用しています(日本は人口の20%未満しかマイカードを使用しておらず、パンデミックはその欠点を浮き彫りにしました)。

韓国の例に倣って、公開データ、プロセス、サービスを「デフォルトでオープン」にし、ポリシーを考案してサービスを設計する際のデータの使用について透明性を持たせることができます。

そして、実際の運用を後押しするために、デンマークからも学ぶことができます。

デンマークでは、州の年金の95%と出産給付金の100%の申請がデジタルで処理されています。

これらの成功は、官僚やIT慣れしていない年金受給者から予想される反発を抑えて、前進することによって達成されるでしょう。

日本はこれまで、デジタルシステムの使用を強制しない事で、そのような人々をなだめる傾向がありました。

デジタルサービスの利用を増加させるには、市民や公務員に使用を強制させる必要があります。

実際、当局は、デジタル政府をよりスムーズに機能させると、オンラインで事務処理を行うことから生じる利点とコスト削減がより明らかになるため、デジタル政府に対する抵抗の多くが解消されることに気付くかもしれません。

待ったなしのデジタル改革

日本はもはやデジタル後進国になってしまった様です。

この様な事態に陥ってしまった原因として次の様なものが挙げられます。

  1. 日本は大きな変革を行うのをためらいます。最近よく使われる言葉に「ゆでがえる」という言葉がありますが、日本全体が世界第3位の経済大国である事に満足し、改革に消極的になってしまっているのではないかと思います。日本の人口は先進国の中で米国についで二番目に大きいので、GDPが世界第三位なのは当たり前です。しかし、一人当たりのGDPは毎年順位を下げており、今や世界25位(IMF2019年)で韓国との差は急激に縮小しています。世界三位と喜んでいる場合ではないのですが、都合の悪いことは耳に入れようとしないのがゆでがえるの特徴です。
  2. もう一つの理由は、役所の縦割り制度です。省ごとに採用したITシステムが異なり、その間に互換性がないというのは縦割り制度の弊害です。これでは国民に効率的なサービスは提供できません。マイカードの普及が進まないのは、運転免許証や健康保険証もIDカードとして機能しており、敢えて追加のカードを持つ必然性を国民が感じていないからだと思います。

菅政権はこの問題に着目し、デジタル庁を創設して、本格的に取り組む様です。

これは大変結構な事ですが、生半可な姿勢で望めば、デジタル化とは名ばかりの中途半端な変更に終わるでしょう。

お手並み拝見です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。