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アップルカーの出現は自動車メーカーの下請け化を促すか

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アップルカーが現実に

アップルが車を売り出すというニュースが波紋を呼んでいます。

アップルの名前を冠した車ですから、おそらく通常の車とはかなり異なるはずです。

個人的には完全に雑音を消した車を実現して欲しいですね。

すでに様々なイヤフォンの開発を通じてノイズキャンセリングの技術を、アップルは蓄積していると思いますので、その気になれば殆ど雑音が耳に入ってこない車を作る事ができるのではないでしょうか。

アップルのノイズキャンセリングはイヤーカップの外側と内側に設置したマイクが外部の音を検出し、これと逆の位相の音を合成する事で無音の状態を作る「アクティブノイズキャンセリング」という技術を使っています。

ゆくゆくは無人運転者になっていくのでしょうから、車で移動中に映画を観たり、睡眠を取ったりという楽しみ方も可能になってくるでしょう。

その際にノイズキャンセリングの技術は非常に重要になると思います。

2014年に、アップルがヘッドフォンメーカーのBeats を買収しましたが、アップルカーを最終的に作るための布石だったのかも知れません。

アップルカーの計画に関して米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Making an Apple EV Is a Poisoned Chalice for Car Companies」(アップルカーの委託生産は自動車メーカーにとって自殺行為か)と題して記事を掲載しました、

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要旨

「アップルカー」が世に出るなら、大きな出来事でしょう。

しかし、委託生産メーカーが得る報酬は僅かなものとなるでしょう。

韓国の現代自動車の株価は11日、アップルと自動運転電気自動車(EV)開発で契約締結を計画しているとの報道を受け、9%上昇しました。

アップルは2014年に自動車開発構想を開始しましたが、このプロジェクトの進捗(しんちょく)はこれまで断続的で、アップルがこの件を公に認めたことはほぼありません。

ロイター通信は先月、アップルが自動運転車として高機能なものを目指すのであれば、2024年発売というのは、かなり野心的な目標だと報じました。

現代自は、アイフォーンの組み立てを請け負っている台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ)のような役割を果たす生産パートナーとなる公算が大きいと見られています。

「アップル」ブランドの自動車に関わるという魅力、そしてそれに伴って予想される生産台数を考えても、現代自の時価総額が7日の終値以降約150億ドル(約1兆5600億円)膨らんだことを正当化するのは困難です。

協議がまとまらないリスクや、想定外に長く赤字になるリスクがあるだけでなく、委託生産は特別に魅力的な事業ではないからです。

同じくアップルのパートナー候補とみられているカナダの マグナ・インターナショナル は、ジャガーなどの電気自動車を組み立てていますが、この組み立て事業はあまり収益性が良くありません。

マグナの「完成車」部門の営業利益率は2019年が2.1%、2018年が1.1%となっており、同社部品部門に比べて低いです。

それでは、ライバルとなる可能性のある企業のEV生産に名乗りを挙げる大手自動車メーカーがあるのはどうしてでしょうか。

現代自とアップルの協議だけでなく、 ゼネラル・モーターズ (GM)は昨年、米新興EVメーカーのニコラのピックアップトラック生産で合意しました。

GMのケースでは、この取り決めは、GMブランドが付くか否かにかかわらず、同社のEV技術のコストをより広範囲な自動車に広げ、新たな成長軌道を敷くための方法でした。

現代自は先月、自社開発のEVプラットフォームを発表しており、アップルとの協議でGMと同様の計算をしているのかもしれません。

この2つの自動車メーカーは先見性があるとみられるようになり、株価の上昇は過去最高に迫る勢いです。

 

現在、自動車業界の多くの活動は、 テスラ の時価総額が8,340億ドル(約87兆円)となったことに動機付けられています。

もし、この数字を合理的に説明するということが可能だとすれば、それはテスラのブランドと製品開発の価値に関するものでしょうが、それら一番価値の高い部分を外注したいと思う新興EV企業はありません。

自動車メーカーにとって、組み立て契約は、アップルのような強力なブランドであっても、行き詰まる恐れのある成長戦略です。

自動車メーカーの下請け化

アップルカーのニュースは、これから自動車産業が経験する激しい変革期の前触れだと思います。

Googleも無人運転車を独自に開発しようとしていますが、テスラを含め、資金力のあるこれら巨大IT会社が、無人運転車を開発し、製造はコストの安いメーカーに委託するという、iPhoneの製造パターンが自動車産業に持ち込まれる事になるでしょう。

内燃機関という開発に膨大なお金と経験が必要なコンポーネントがあったからこそ、自動車メーカーは新規参入者を排除でき、大きな利益をあげる事ができました。

しかし、電気自動車は製造が遥かに簡単です。

むしろ無人運転を司るソフトウェアが重要になりますので、IT大手が圧倒的に有利です。

日本の自動車メーカーもこれからこの100年に一度の大変革に直面する事になります。

各社がどの様に対応するか注目です。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。