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カショギ氏殺害事件のCIA報告書は公開されるか - バイデン 氏の決断は如何に

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カショギ氏殺害の真の犯人は

昨日のブログでも触れましたが、2018年10月にイスタンブールで行われた国際ジャーナリストであるジャマル カショギ氏の殺害事件は、サウジアラビア政府の独裁的な体質とそれを庇った米国政府のダブルスタンダードを浮き彫りにした事件でした。

この事件、日本ではあまり報道されなかったのでご存知ない方も多いと思いますので、簡単にご説明します。

カショギ氏はサウジ人ですが、彼の祖父はサウジアラビアの初代国王の主治医を務めたと言いますから、大変な名家の出身と言えます。

ジャーナリストとして活躍していましたが、リベラルな論調がサウジ保守派の怒りを買い、殺害される前年2017年に米国に事実上亡命し、ワシントンポスト紙などに投稿していました。

彼は婚約者がトルコ人だった事もあり、イスタンブールを訪れた2018年10月にイスタンブールのサウジアラビア総領事館を訪れた後、姿を消しました。

その後の捜査で、総領事館内でサウジ アラビアの工作員によって殺害されたことが明らかになりました。

批判者を他国で暗殺する手法はマレーシアで実の兄を暗殺した北朝鮮の金正恩と変わりません。

大勢の政府工作員が関与したこの事件、その後ろ盾はサウジの事実上の統治者むハンマド ビン サルマン皇太子である事は明らかですが、トランプ政権は彼を擁護しました。

この問題について、米誌Foreign Policyが「Biden Should Release the CIA Report on Jamal Khashoggi’s Killers - Trump has protected Saudi Crown Prince Mohammed bin Salman despite the U.S. intelligence community’s conclusion that he ordered the assassination of a U.S. resident. The new administration should reveal the truth.」(バイデン 氏はジャマルカショギ氏の真の殺害者に関するCIA報告書を公にすべきだ - トランプ氏は米国居住者であるカショギ氏の殺害を命じたのがサウジのムハンマドビンサルマン皇太子であるとの報告書を握り潰したが、新政権は真実を明らかにすべきである)と題した論文を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Foreign Policy論文要旨

2018年10月にサウジアラビアの工作員がイスタンブールのサウジ領事館でジャーナリストのジャマルカショギを残酷に殺害してから6週間後、CIAはサウジアラビア皇太子ムハンマドビンサルマンが暗殺を命じたという結論を漏らしました。

それ以来、米国議会は、トランプ政権に犯人に関する米国諜報機関の調査結果を明らかにするよう試みましたが成功しませんでした。

次期大統領のバイデン氏は、大統領に就任した際に、この情報を公開する必要があります。

CIAの報告を公表することは、米国居住者の暗殺に関する説明責任を果たすでしょう。

バイデン政権が自発的に動かない場合、米国の裁判所はそれを強制する可能性があります。

2018年10月2日のカショギの殺害以来、トランプ米大統領とその政権は、モハメッド ビン サルマン皇太子が犯罪に関与したとの追求から守るためにできる限りのことをしました。

しかし、トランプ政権が過去のものを過去のものとする努力は、かなりの抵抗に直面しました。

議会は公聴会を開き、殺害を非難し、サウジアラビア皇太子がその責任を負うべきだと宣言する決議を可決しました。

議員たちは2019年に、サウジアラビアへの軍事援助を停止する法案を可決しました。

トランプ大統領はこの法案に拒否権を行使し、独裁的なサウジ政権に武器を流し続けました。

これに応えて、2019年12月、議会はその年の国防授権法に、カショギ氏の殺害に関与した個人を特定する機密扱いでない報告書を提出するよう行政に要求する条項を挿入しました。

法案の可決は、アメリカ国民が殺人者の身元を知る権利を持っているという珍しい超党派のコンセンサスを表しています。

 

議会の努力にも拘らず、トランプと彼の部下はモハメッド ビン サルマンを見捨てるつもりはありませんでした。

立法期限の1か月後の2020年2月、国家情報長官(ODNI)は、カショギの殺害に関する報告書を議会に提出しました。

これには、皇太子の極めて重要な役割に関するCIAの情報が含まれていると伝えられています。

しかし、ODNIは、機密扱いでないレポートを提出するという法的義務を拒否し、そうすれば情報源と方法が危険にさらされると主張しました。

 

トランプ政権が議会に反対したため、「開かれた社会の正義イニシアチブ」は、情報公開法に基づいて2020年8月にODNIを訴え、報告書の公開を求めました。

政府は議会と同じ法的姿勢を法廷で採用し、カショギの殺人者に関する情報を公開すると機密情報が明らかになり、米国の国家安全保障に害を及ぼすと主張しました。

政府の国家安全保障の議論は、複数の理由で根本的に欠陥があります。

政府は、報告書の適切な部分を編集して、どのように結論に達したのかを隠しながら、殺人者の身元を明らかにすることができます。

トランプ氏自身はすでに、「尻拭いをした」方法を自慢して、殺害における皇太子の役割をほのめかしています。

さらに、米国居住者の殺害における皇太子とサウジ政権の役割を明らかにする証拠を保護することは、彼らと他の独裁者に、米国政府が彼らを守ってくれると信じるように促すだけです。

また、地域の不安定さの主な原因であり、本質的に脆弱である残忍な独裁者と同じ側に立つ事は、長期的なセキュリティコストがかかります。

彼らは常に反対意見を抑え、押しつぶそうとしているからです。

米国当局は彼らを保護することによって彼らの虐待に貢献しているだけでなく、彼らが将来大衆の抵抗に直面するとき、米国政府は政権の片棒を担いだ事になります。

 

連邦判事は、国家安全保障上の利益に関する主張に関して、米国政府が公益のために情報を公開する義務を免れるべきではないとしています。

2020年12月8日、米国地方裁判所のPaul Engelmayer裁判官は、CIAとODNIに、カショギの殺害のオーディオテープとこの問題に関するCIAの報告の2つの項目の存在を開示し、差し控えの根拠を説明するよう命じました。

最終的には、行政府が国家安全保障上の理由で、議会が公に要求している情報を隠そうとした場合、米国の司法はその発言権を持つことになります。

バイデン政権は、カショギ氏の殺害に対する説明責任の約束を守り、関連情報を公開する必要があります。

バイデン氏の決断

バイデン 大統領がCIA報告書を公にするかどうか見ものですね。

もし公開すれば米国政権の性格が完全に変わった事を世界中に示す事になります。

公開しなければ、やはりバイデン 氏は圧力に弱い優柔不断の政治家という事になるでしょう。

バイデン 氏が米国のダブルスタンダードに終止符を打つ事を期待しましょう。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。