史上最高齢の大統領
ジョー バイデン氏が78歳で大統領に就任しました。これは就任時歴代最高齢となります。
彼が大統領にたどり着くまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。
思い返せば、昨年民主党の大統領候補を選ぶレースにおいても、当初旗色が悪く、一時は戦線離脱を予想する向きもありました。
しかし、スーパーチューズデイを境に、中道派の支持を集め、最終的には民主党の候補となりました。
その粘り腰はなかなかのものだったのですが、彼のこれまでの人生に彼の粘り腰の秘密が隠されている様です。
新大統領の半生について、英BBCが‘「There’s always hope - How Joe Biden overcame public and personal adversity」(常に希望があります - ジョー・バイデンが公的および個人的な逆境をどのように克服した)と題した記事を掲載しました。
かいつまんでご紹介したいと思います。
英BBC記事要旨
一年前、バイデン氏は苦境に立たされていました。ニューハンプシャー州予備選挙で彼への支持は崩壊し、2020年の大統領選挙は深刻な危機に瀕していました。
誰の目からも、彼の敗北は明らかでした。
ニューハンプシャー州の投票に先立つ選挙集会で、バイデン氏は目に見えて感情的でした。
彼は、ほぼ5年前に長男のボーが亡くなったことについて話しました。
しかし、彼は聴衆に対して語りました。
「常に希望はあります」
バイデン氏は、父親から学んだ最も重要な教えは、人間の価値は、ノックダウンされた回数ではなく、どれだけ早く立ち上がるかで決まる事だと頻繁に語ります。
1972年12月18日、バイデンの電話が鳴りました。
バイデンの家族を巻き込んだ「軽微な事故」があったと、彼の妹は伝えました。
「心配することは何もありません」と彼女は言いました。 「しかし、家に帰るべきです。」
彼の妻ネイリアは、その日、運転していた車が大型トラックと衝突し、幼い娘のナオミと共に死亡しました。
彼の2人の幼い息子、ボーとハンターも重傷を負いました。
上院に選出されたばかりのバイデンが、家族のために新居の購入を決めている間、家族はクリスマスツリーを買いに行っていました。
今、その家族は粉々になりました。
彼は自暴自棄となり、獲得したばかりの上院議席をあきらめることを考えました
「私は自分がそのような逆境に耐えられるとは知らなかった」と彼は書いています。
その日まで、バイデンの人生は目覚ましい上昇軌道に乗っていました。
ちょうど1か月前、当時29歳だった民主党員は、米国上院議員に選出された2番目に若い人物になりました
彼は、リチャード・ニクソンと共和党によって打ちのめされた民主党の希望の星と見なされていました。
バイデンは最終的に上院議席を受け入れ、2人の息子が入院していたデラウェア病院から就任宣誓を行いました。
それはその後44年間続く上院議員のキャリアの始まりを示しました。
ワシントンでの最初の14年間、私生活を再建しました。
彼は2人の生きている子供たちに普通の生活を約束し、毎日デラウェアの自宅からワシントンに通勤しました。
彼は最終的にジル・ジェイコブスという名の学校の先生と再婚し、アシュリーという子供ができました。
彼は上院司法委員会に身を置き、全国的な存在感を築き始めました。
しかし彼は新たな悲劇にみまわれます。
2015年5月、長男のボーが46歳で脳腫瘍で亡くなりました。
ボーは父親と同様に、デラウェア州の司法長官を務め、政治のキャリアを追求してきました。
バイデン氏は2008年の大統領選キャンペーンに敗れた後、議員としてキャリアを終えると思われていました。
しかし、意外なことにオバマは彼を副大統領候補として選んだのです。
彼の副大統領候補としての選択を発表してから数時間後、オバマはイリノイ州でステージに上がり、集まった群衆にバイデンを紹介しました。
オバマは、吃音の克服(バイデンは少年時代吃音に悩んだ)、妻と子供の死、脳動脈瘤、バルカン内戦の終結交渉への関与など、バイデンの人生の重要な転機を語りました。
オバマ政権の初期の頃、バイデンはオバマと頻繁に衝突しました。
30年以上の間、バイデンは上院議員として彼自身の政治的領地を確保していました。
彼は他の誰かの政策を追求することに慣れていなかったのです。
しかし、彼は副大統領として8年間を終える頃には、オバマ大統領との間に強い信頼関係を築いていました。
バイデンの成功は、少なからず、オバマの忠実な代理人としての彼の奉仕によるものであり、それによって彼を黒人民主党員の間で圧倒的な支持を得ました。
「ジョー・バイデンについて説明させてください」と、黒人女性ローリー・ゴフは書いています。 「この年老いた金持ちの白人男性は、黒人男性に仕えました。 自分よりも若い黒人、賢い黒人に 1日ではなく、8年もです。」
「これは、彼が我々の味方であることを示しています。」と彼女は結論付けています。
最後まで希望を失わない大統領
この記事を読むと、バイデン氏の人生が如何に波乱に富んでいたかが良く解ります。
人間これだけの試練に遭遇すると普通立ち上がれないものですが、彼の希望を失わない姿勢には感心させられます。
米国は、現在未曾有の危機に直面しています。
感染症対策だけでも大変なのに、国民の分断、中国の挑戦など複数の困難な課題が目前にあります。
バイデン氏は妥協を得意とする政治家だと時に批判されますが、これまでの彼の半生を振り返れば、彼が決して物事を諦めず、困難を克服してきた人間であることが解ります。
新大統領が米国民のみならず世界中の人々に希望を与え続け、現在の局面を打開してくれることを期待します。
最後まで読んで頂き、有り難うございました。