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円安の功罪

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悪いインフレ

日本の多くの人は円高に悩みこそすれ、円安に悩んだ事はあまり無いはずです。

第二次大戦直後は固定為替レートの下、貧しい日本人は海外旅行もままならず、当時米国に留学した日本人学生たちは爪に火を灯す様な生活を強いられたと聞いています。

しかし、昭和30年以降日本は高度経済成長に沸き、円は強い通貨の代名詞として知られる様になりました。

特に「有事の円」という言葉が表す通り、世界に戦争の様な大きな危機が生じた時、円は喜んで買われる存在でした。

しかし、今回ウクライナでの戦争は円買いを引き起こしませんでした。

逆に円は大きく売られ、一時は7年ぶりの安値125円まで売られる展開となりました。

円安の理由は何なのでしょうか。

この点について米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)が「Japan Gets a Taste of the Wrong Type of Inflation」(悪いインフレにさいなまれる日本)と題した記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

WSJ記事要約

日本の中央銀行は、債券投機家に対して最初のラウンドで勝利しました。

しかし、円安をめぐる戦いはまだ終わっていません。

日本銀行は今週、中央銀行が金融引き締めに対応することに賭けて債券利回りを押し上げたため、低金利の政策を堅持しました。

月曜日、日本の10年債利回りの利回りは、3月初旬の0.17%から0.25%(日銀の上限)を一時的に上回りました。

しかし、中央銀行が無制限の国債を購入するなどしてベンチマークを守る決意を繰り返した後、円売りは勢いを失いました。

金曜日の10年間の利回りは0.21%でした。

しかし、その決定は、月曜日に記録した7年ぶりの円安の継続を意味する可能性があります。

米国の金利が上昇するにつれ、米国と日本の10年国債間の利回りスプレッドは、2019年以来、最大のレベルに達しました。

このギャップは、特に米国の株式市場が堅調なため、米国に資金を送り続けるでしょう。

日銀の2%インフレ目標は依然として達成に程遠いものです。

生鮮食品を除いた日本の主要消費者物価指数は、2月の前年比0.6%上昇しました。

押し上げ要因となっているのはエネルギー価格で、それを除外すれば、国は依然としてデフレに留まったままです。

 

ロシアのウクライナ侵攻によって悪化したエネルギー価格の上昇は、最終的にはインフレを日銀の目標まで引き上げる可能性があり、それは中央銀行に困難な問題を生み出すでしょう。

金利を引き上げても、ほとんどが輸入品である食料とエネルギーの価格上昇を抑えるには、直接的な効果はほとんどありません。

一方、低金利による円安は、コスト上昇をさらに悪化させる可能性があります。

 

円安は日本の輸出業者を助けるはずですが、効果を出すには時間がかかります。

そして、半導体不足のような供給のボトルネックは、日本の業者が海外市場で買い負けするため問題を更に悪化させる可能性があります。

一方、世界銀行によれば、2019年に国の総輸出の5.4%を占めた観光業は、日本の国境が閉鎖されたままであることを考えると、伸びはあまり期待できません。

バンク オブ アメリカのアナリストは、さらなる円安を日本経済の「痛みを伴う取引」と呼びました。

 

日本は、市場の圧力にもかかわらず、金融政策を緩く保つことにこれまで成功しました。

円安は、国が再開するのを待っている外国人観光客にとっては朗報かもしれませんが、エネルギー価格が高止まりする場合、日本の中央銀行にとって頭痛の種となるでしょう。

歓迎すべきでない円安

以前、円安になると貿易立国の日本は、自動車メーカーなど輸出業者の国際競争力が増して有利だと言われましたが、今やグローバリゼーションが進み、日本企業は日本であまり物を作らなくなってしまいました。

円安は日本国民にとってもはや歓迎すべき事では無い様に思います。

今後、悪いインフレが進めば、国民の実質所得が目減りする可能性があります。

金融緩和策を続けてきた我が国ですが、そろそろこの問題に対策を講じる必要がありそうです。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。