硬いお話が続いたので、今日はアネクドート(小話)を再度取り上げたいと思います。
アネクドートは旧共産圏の自由が失われた環境下、ユーモアの中に社会風刺のスパイスを効かせたものだったと思います。
抑圧された市民の、矛盾だらけの社会体制に対する精一杯の抵抗だったかもしれません。幾つかご紹介します。
その1
「お前の職業は?」「作家です」
「労働者じゃないのか。両親は何をしていた?」「裕福な商人でした」
「しかもブルジョワか。お前の妻は?」「貴族の娘です」
「最低だ。資本主義の犬め! 名を名乗れ!」「カール マルクスです」
その2
スターリンが川遊びをしていて、誤って川に落ちたが、通りかかった農民に助けられた。
「命を助けてくれた恩人だ。褒美を取らせよう。なんでもいいから言ってみろ。」
「同志、あなたを助けたことを国家機密にして頂きたい。」
その3
ブラント(西ドイツ首相)が神に尋ねた「神よ、西ドイツ経済はいつ良くなりますか?」「あなたの任期中に良くなる」
ニクソン(米大統領)が神に尋ねた。「神よ、アメリカ経済はいつ良くなりますか?」「あなたの任期中は無理だ」
ブレジネフ(ソ連書記長)が神に尋ねた。「神よ、ソ連の経済はいつ良くなりますか?」「私の任期中は無理だ」
その4
ブレジネフ書記長が誘拐された。誘拐犯から脅迫の電話がかかってきた。「100万ドル払わないと、ブレジネフを生きて返すぞ」
その5
ラーゲリ(強制収容所)に入れられた新入りと古株の会話
「おまえ、何年くらったんだい」
「20年です。でも何もやっていません」
「そんなはずはあるめい。無実なら10年のはずだ」
その6
同じく強制収容所で、三人の囚人の会話
「イワンの事を批判したら、こんなざまだ。」
「イワンの事を支持したら、こんなざまだ。」
「私がイワンです。」
その7
ソ連のある幼稚園に外国使節団が視察に来る事が決まった。保母は園児たちに、なんでも「ソ連のものは世界一です」と言うように教育した。
「おもちゃはどう?」「ソ連のものが世界一です」
「食事はどう?」「ソ連のものが世界一です」
するとある園児が泣きながら叫んだ。「ソ連に行きたいよう」
その8
エリツィン大統領は、ゴルバチェフ書記長よりロシア国民に愛されていましたが、酒乱としても有名でした。
エリツィン大統領と息子の会話
「お父さん、お酒に酔っ払うというのはどんな感じ?」
「今、テーブルの上に二つグラスがあるだろ。これが四つに見えるという感じかな」
「お父さん、テーブルには一つしかグラスないよ」
政治家を茶化すと言う意味では日本にも面白い小話があります。これ実話だったとの噂もありますが、真偽の程はわかりません。日本の某首相とクリントン大統領の会話です。
この首相は、英語が下手でしたが、せっかくクリントンに会うのだから、最初の挨拶くらいはできる様にしておこうと、スタッフの助けを得て、次の様な挨拶を事前に十分練習しました。
首相 How are you?
クリントン I am fine. and you?
首相 Me too.
たったこれだけのやり取りですが、実際にクリントンが目の前に現れると、首相は緊張したのか、How are you?の代わりにWho are you?と言ってしまいました。これに驚いたのはクリントンです。大統領の自分に対して変な質問だなと思いつつ、これは首相のジョークだろうと推測し、 I am the husband of Hillalyと返しました。これに対して首相がMe tooと返してしまったそうです。これありそうで怖い話ですね。
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