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日本の迎撃ミサイル突然の配備停止、本当の理由は

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河野大臣の不可解な説明

先月、河野防衛大臣はイージス・アショア(地上型迎撃ミサイル)の配備停止を突然発表しました。

既に数百億円もの公費が投じられた案件、しかも米国からの調達が進んでいた案件だけに、多くの皆さんが驚かれたと思います。

今回の政府発表には腑に落ちない点がありました。特に下記の河野大臣の説明です。

ブースター(迎撃ミサイルの一段目、発射直後に地上に落下する)が自衛隊駐屯地に堕ちると地元の方に説明していたが、精査の結果、この約束を守れない事が判明したので、配備停止を決定した。」

このミサイルは弾道ミサイルを大気圏外で撃ち落とす様に設計されており、明らかに北朝鮮の核ミサイルを標的にするものです。

という事は、この防衛ミサイルが発射される時は、何十万もの犠牲者が出る可能性がある、まさに国家一大事である筈です。

そんな時に、ブースターが落ちて市民を犠牲にする可能性があるから、ミサイルを配備するのを止めるという議論は本末転倒の様な気がします。

人命は確かに大事ですが、核爆弾のリスクとブースターが人を傷つけるリスクとどちらが重いかを考えれば、答えは明らかの様に思います。。

こんな事は河野大臣は百も承知ですので、大臣が今回発表した説明はあくまでも表向きのもので、本当の理由は他にあったのではと推測しています。

イージス・アショアは、時代遅れの代物となっていた

河野大臣はコストカッターとして知られています。

行革大臣を歴任したくらいですから、無駄が嫌いで、役所のトイレットペーパーの使用量までチェックするほどだそうです。

そんな河野大臣は防衛大臣着任以来、日本の防衛システム及び予算の使い方に関して、仔細にチェックしたに違いありません。

日本の対ミサイル防衛システムは、大きく分けると次の三つで構成されています。

  1. イージス艦(来年8隻目が就航しますが、海上からレーダーで、敵の弾道ミサイルを感知、追跡し、SM6と呼ばれる迎撃ミサイルで撃ち落とす。)
  2. イージス・アショア(今回、実戦配備が中止された地上からの迎撃ミサイル)
  3. パトリオットPAC-3(上記二つのミサイルが撃ち漏らした弾道ミサイルを最終段階で撃墜する)

イージス艦は8隻もあるのだから、陸上のイージス・アショアは不要じゃないかと思われるかも知れませんが、船は荒天の時、役に立ちませんし、搭乗員の休養などもあって、365日24時間体制にはならないそうです。

従い、今回のイージス・アショアの配備停止は、日本の防衛網に穴があいたと言わざるを得ません。

しかし、専門家の中には、イージス・アショアは時代遅れになっていると唱える人もいます。Naval Newsは次の様に伝えています。

  1. 元々、イージス・アショアは、弾道ミサイルだけではなく、巡航ミサイルにも対応する事が予定されていたが、両方に対応するとなると、コスト(特にレーダー関連)が嵩むので、巡航ミサイル向けの機能が削られた
  2. 一方、中国は、最近、DF-17と呼ばれる超音速滑空兵器(Hypersonic giide weapon)を開発し、実戦配備したが、イージス・アショアはこのミサイルを撃墜できない。
  3. 日本の防衛省は、この極超音速滑空兵器にも対応するシステムを再考しなければならない。

簡単に言えば、巨費を投じて配備を進めてきたイージス・アショアは既に時代遅れとなっているかもしれないのです。

兵器は毎年急速に進化していきます。日本は見事に置いていかれたという事かも知れません。これは政府としてはそのまま発表できない事実でしょう。

 防衛は機密が付き物です。上記の様な弱点をそのまま発表して自国の弱点を曝け出すわけにはいきません。

それが、河野大臣のイージス・アショア配備停止に関する不可解な説明につながったものと推測します。

河野大臣の本当の狙い

河野大臣はコストカッターと申し上げました。

費用対効果にうるさいとすると、今まで専守防衛だった日本の防衛システムを根本的に変えることを考えているのかも知れません。

既に自民党内では、相手のミサイル発射基地を叩ことを検討しようとの動きが出ています。

確かに、急速に進歩する相手の攻撃兵器に、盾(防御兵器)だけで対応すれば、コストがかかる上に、相手の新兵器が出る度に対応せざるをえないので、後手後手に回る宿命にあります。

大気圏外から突入してくる弾道ミサイルの速度は、ピストルの弾丸の数十倍に達すると言われています。そんなスピードで飛ぶミサイルを撃ち落とす迎撃ミサイルのコストは、撃ち落とされる弾道ミサイルよりも遥かに高くつくわけです。

相手の基地を叩く事は、今までタブーとされてきましたが、彼は専守防衛システムに別れを告げ、新しく矛を手に入れようとしているのかも知れません。

 

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