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ウクライナ危機において重みを増すトルコ

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トルコはNATOの一員

トルコは多くの日本人に誤解されている国です。

そもそも日本でトルコと名前のついているものでトルコに存在するものは稀です。

最近日本で流行っている「トルコライス」なるものトルコではお目にかかった事はありません。

そもそも豚を食べないトルコでとんかつが乗っているトルコライスが生まれるはずがありません。

遠い異国の地ですからある程度誤解が生じるのは仕方がありませんが、トルコを語る上で誤解してはならないのは「トルコがNATO加盟国である」という点です。

NATOは欧米の安全保障条約なのになぜ中東のトルコが入ってるのと思われるかもしれませんが、欧米の感覚から言えば、トルコは中東ではなく欧州の一部或いは近東です。

冷戦時代からロシアの南下政策を封じる西側の砦はトルコであった訳です。

今回のウクライナ危機は、改めてトルコが戦略上重要な拠点である事を浮き彫りにしました。

この点について仏紙Les Echosが「Ukraine : le drone TB2, l'atout aérien de Kiev face à la puissance de feu russe」(ウクライナ:トルコ製ドローンがロシア軍に対するウクライナの切り札に)と題する記事を掲載しました。

かいつまんでご紹介したいと思います。

Les Echos記事要約

トルコ製ドローンであるバイラクタルTB2は、ロシアの侵略者に対するウクライナ軍抵抗の象徴となっています。

戦闘の開始以来、ウクライナ人はこの戦闘ドローンが12台の装甲車両、ミサイルシステム、ロシアのトラックを破壊したのを見ました。

耐久性があり軽量な650kgのマシンは、時速220km以上で27時間飛行できます。

それは軽いレーザー誘導ミサイルを搭載可能で、約10キロ離れた移動する標的を攻撃することができます。

同時に複数のドローンを操る事が可能な手ごわい偵察装置です。

フランス軍に装備されている米国製のMQ9リーパーはTB2よりもはるかに大きな攻撃力を持っていますが、 MQ9はTB2の30倍も高価です。

専門家が、「トルコが21世紀のカラシニコフを再発明した」と形容するほど、安くて使いやすい武器です。

 

バイラクタルTB2は、2019年にトルコとウクライナ間の最初の契約が締結された後、ウクライナ軍に配備されました。

キエフはこのドローンを約20機保有していますが、この兵器はすでに15カ国に販売され国際市場で高い評価を受けています。

最近の紛争にも実戦投入され、2020年のナゴルノ・カラバフ紛争ではアルメニアに対してアゼルバイジャンが勝利する原動力となりました。

ウクライナでも2021年4月に東部のドンバスで最初に使用されましたが、ロシアはこの兵器を恐れており、昨年末プーチン大統領は、トルコが「挑発的」かつ「破壊的」な行動をとっているエルドアン大統領に警告しました。

 

「ドローンは、ナゴルノ=カラバフ、シリア、リビアで戦局に違いをもたらすことができましたが、ウクライナではそうはいきません。」と、専門家は語ります。

「これらのドローンが本当に効果的であるためには、空中で脅威のない環境で動作する必要があります。ロシアは洗練された電子戦システムを配備しているので、キエフ周辺の様な最も保護されたターゲットをヒットすることはできません」。

「ウクライナの持つ20機のドローンは、非常に効果的ですが、戦争の進路を変えるには十分ではありません」と、ワシントンの戦略国際問題研究所の顧問であるマーク・カンシアン氏もこれに同意します。

戦争を専門とする英国の研究センターであるジェーンズの分析によると、航空兵力においてウクライナとロシアは比較になりません。

誰がロシアとウクライナを調停するか

今回のウクライナとロシアの戦争は誰かが早い段階で止める必要があります。欧米はウクライナに近すぎるのでロシアが調停役として認めないでしょう。

中国が有力候補ですが、ここで中国が渦中の栗を拾うかどうか疑問です。

トルコはそんな中でNATOのメンバーとして西側とも通じる一方で、ロシアとの関係も緊密です。

トルコとロシアは最近生じた紛争(ナゴルノ=カラバフ、リビア、シリア)で悉く敵と味方に分かれて戦いました

しかし一方でトルコはNATOの反対を押し切ってロシアから対空ミサイルシステムであるS-400の購入に踏み切るなどロシアとも一定の関係を保っています。

来週ロシアとウクライナの外相がトルコで会談を行う事が決まった様です。

トルコの仲介がひょっとすると袋小路に入ったウクライナ危機を解決に導くかも知れません。

 

最後まで読んで頂き、有り難うございました。